文学

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家族じまい

やっと迎えた週末。 週末の喜びだけが私を生かしているようなものです。 勤務中の私は死んでいないだけです。 今日は午前中、読書をして過ごしました。 読んだのは「家族じまい」。 近頃お気に入りの桜木紫乃の小説です。 午後は本屋と和菓子屋に出かけ、小説を2冊と栗蒸し羊羹を購入。家族じまい (集英社文庫)桜木紫乃集英社 家族じまいと聞くと、誰もが墓じまいという言葉を連想するかと思います。 墓を終わらせるがごとく家族を終わらせる物語ではありません。 5つの短編小説から成っており、それらが、例えば長女を主人公にした小説から二女を主人公にした小説になり、両親、伯母、何の関係もないが両親の旅で行きあう若いサックス奏者と、何らかのつながりを持った連作短編集になっています。 家族を終わらせることは、例えば離婚とか死別とか色々あるでしょうが、結局、何となく終わっていくのだろうと思います。 おぎゃぁと生まれた子供が成長する過程で父母や祖父母、きょうだいらと過ごして家族の中で生き、長じて自分もまた結婚して家族を持つ。 切れ目の無い繰り返しのようでいて、全ての家族は終焉を迎え、二度とその家族がもとに戻ることはあり...
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恥ずかしながら昨日38度4分の熱を出して寝込んでしまいました。 連休中に寝込むなんて初めてのことです。 今日解熱剤を飲んで36度9分まで下がりました。 もったいないことをしました。 目が熱い感じや肩や腰が痛む感じ、ひどくだるい感じ。 これらによって精神状態が激しく動揺します。 全然考えていなかった連休明けの仕事のことがやけに気になったりします。 休みはあと二日あります。 楽しまなければ損ですね。
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よいお年を

昨夜、カルーセル麻紀をモデルにしたという小説、「緋の河」を読みました。緋の河(新潮文庫)桜木紫乃新潮社 カルーセル麻紀をモデルにしたと言っても、家族構成から何から、ほとんど作者の空想による虚構だそうで、ドキュメンタリーみたいな物とはかけ離れています。 この世の者とは思えないほどの美少年がゲイボーイとなって成功し、テレビ番組への出演が決まるまでの半生を描いています。 この作者らしいストーリー展開の妙は感じましたが、私は失敗作だと感じました。 無駄に長いし、主人公の描き方がステレオタイプです。 桜木紫乃という小説家、最近よく読んでいて、どれも面白いのに、残念な作品でした。 それはさておき。 今日で令和6年(2024年)も終わりです。 大晦日だからと言って特別の感慨はありませんが、今年も一年生き延びることが出来たことには感謝しています。 私の駄文にお付き合いいただいた皆様には感謝の言葉もありません。 良いお年をお迎えください。
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瞑目

日曜日の夕方。 この時間帯、勤め人にしろ学生にしろ、月曜日から金曜日まで嫌々どこかに通って暮らしている者なら、誰だって憂鬱でしょう。 私も3つの年に幼稚園に上がってから52年間、平日はどこかに通う生活を送っていますが、日曜日の夕方の気鬱に慣れることはないし、つける薬もありません。 今日は昨日と打って変わって北風の冷たい日で、外を歩き回って憂鬱を紛らわすこともできません。 最近お気に入りの桜木紫乃の「起終点駅(ターミナル)」という短編集を読んで気晴らしを試みましたが、この人の小説は流されて生きていく人の無常をうまく描くのが特徴で、非常に興味深く読んだものの、気鬱を紛らわせるには少々重すぎたようです。起終点駅 (講談社文庫)桜木紫乃講談社 この作者、北海道出身で、どの小説も舞台は北海道です。 寒々しい感じがとても良いスパイスになっています。 列車の窓から眺めるように、どんな美しい景色も瞬きひとつで流れていってしまう。そのくらいのことが分かる程度に年は取った。 表題作の主人公、国選弁護しか引き受けないという老いた弁護士の独白です。 我が国に生まれ育った人なら理屈なしに分かりあえる仏教的無常観...
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ワン・モア

昨日の日曜日は入院している親族の見舞に行きました。 痩せて元気がなくなってはいましたが、生きるの死ぬのというほどのことではなく、良かったと思います。 50代半ばですので、闘病の体力もあるものと思います。 少々遠い所だったので、行きかえり、小説を読みました。 近頃お気に入りの桜木紫乃の「ワン・モア」という作品です。ワン・モア (角川文庫)桜木 紫乃KADOKAWA 安楽死の罪を犯し、大病院から離島の診療所へと左遷された女医と、元同僚でがんの告知を受けた女医の二人を中心に、関連する人物が次々に主人公として小さな物語が紡がれる連作短編集の体裁を取っています。 二人の女医、死に行く側とそれを現代医学の力で遠ざけようとする側、それぞれの葛藤が描かれて迫力があります。 それ以上に、医師を目指しながらそれが叶わず、放射線技師となって複雑な思いを抱える男の葛藤や恋、女医の元でDV被害による傷の治療を受ける若い女性、女医の元で働く中年看護師の恋など、生きること、死ぬことへの恐怖や諦め、生その物の発露ともいえる恋愛などが螺旋階段のように絡まりあって描かれ、とても魅力的な物語になっています。 さらにその底に...
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