文学

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また猫と

今朝は朝一番で内科に行きました。 4カ月に一度の血液検査のため、採血があったからです。 その後しばし休んでそごう千葉店に行きました。 今使っているバスタオルが大分くたびれてきたからです。 ネット通販でも良いのですが、身に着ける物と同様、手触りを確かめてから購入したいと思いましたので。 で、少し高いけど極めて肌触りの良いバスタオルを2枚購入。 その後昼食を摂り、本屋へ。 文庫本の小説を2冊購入。 帰宅してから、かねて購入してあった歌集を読みました。 「また猫と」という猫の挽歌集です。 歌人は大の猫好きで、多くの保護猫を飼ったり、里親とのパイプ役になったり、猫無しの生活は考えられない人のようです。 私はたまに愛でるくらいなら良いですが、飼うのは犬も猫も絶対に嫌です。 実家で犬を飼っていたことがあり、野良猫を餌付けしたりもしていました。 犬猫は当たり前ですが生きているので、その体温が暑苦しく、しかもほぼ確実に10数年で死んでしまうし、金はかかるしで、私にとって良いことは何もありません。また猫と 猫の挽歌集仁尾 智雷鳥社 で、「また猫と」。 不謹慎 かもしれないが猫の死は ひとのそれよりこたえ...
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私、死体と結婚します

今朝は半年に一度の視野検査のため、千葉大学医学部附属病院に行きました。 大学病院はとにかく待たされます。 視力検査で待たされ、視野検査で待たされ、診察で待たされ、会計で待たされ、合計2時間ばかり待たされたでしょうか。 どうせ待たされると思っていたので、未読の小説を持っていき、文庫本で229頁、軽やかな文体で読みやすく、待ち時間の間に読み終わってしまいました。私、死体と結婚します (ハルキ文庫 さ 25-2)桜井 美奈角川春樹事務所 近頃お気に入りの桜井美奈の「私、死体と結婚します」を読みました。 比喩的なタイトルかと思いきや、本当に死体と結婚してしまいます。 結婚間近で同棲しているカップル。 明日には入籍しようというタイミングで、女が帰宅すると、男が寝室で冷たくなっています。 女は看護師で、一見して死んでいると分かってしまいます。 古いヒーターを使用したがゆえの一酸化中毒とみられます。 しかし女は、冬の北海道での出来事から、4日くらいは死体は腐らないだろうと思い、わずかでも新婚生活をおくりたいと、男の死を隠したまま、役所に婚姻届を提出し、それは受理されます。 もちろん、違法行為です。 ...
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B面の夏

30年も前に刊行された黛まどかの句集「B面の夏」を昨夜読みました。 この人の名前はもちろん30年前から知っているし、代表的な句のいくつかはなぜ覚えたのか分かりませんが、諳んじることもできます。 それなのに句集を読まなかったのは、この人、もしくはその周辺のファン達のイメージが恋愛依存的な雰囲気を醸し出し、気持ち悪くて面倒くさいように感じたからです。 改めて読んでみると特段恋愛依存とは感じませんでした。  ふらここや 恋を忘るる ための恋のような句が恋愛依存的に感じたのかもしれません。 公園デートでしょうか、ぶらんこに乗りながら前の恋を忘れようと新たな恋を求めているというほどの意かと思います。  また、こんな句。 夜桜や ひとつ筵(むしろ)に 恋敵なんて、怖いですねぇ。 私が最も好む句は、 飛ぶ夢を 見たくて夜の 金魚たち です。 近頃では高校の国語の教科書に載っているのだとか。 一生を狭い金魚鉢で過ごす金魚でさえ、せめて夢の中では広い世界を飛び回りたいのでしょうか。B面の夏 (角川文庫)黛 まどかKADOKAWA もはや大御所となり、いくつかの大学で客員教授を務めているそうです。 一口に...
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殺した夫が帰ってきました

近頃お気に入りの桜井美奈のミステリー「殺した夫が帰ってきました」を昨夜読みました。 タイトルが極めて刺激的です。殺した夫が帰ってきました (小学館文庫)桜井美奈小学館 DV夫を崖から突き落として殺した女。 その後独身と偽ってファッションデザインの会社に勤め、充実した毎日を送ります。 しかし罪の意識に苛まれるのも事実。 そして夫殺害から5年も経って、記憶を失った夫が帰ってくるのです。 崖下で奇跡的に生き残ったのか、はたまた化物か、とにかく女は記憶を失ってすっかり優しくなった夫と奇妙な同居生活を始めます。 女の不幸な生い立ちが語られ、様々な登場人物が真実に近づき、あっと驚く結末を迎えます。 謎が重層的に絡まる物語で、何を書いてもネタバレになってしまうので、これ以上は書きません。  切ない真実に、つい、落涙を禁じ得ませんでした。
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幻想列車 上野駅18番線

金曜の夜、小説を読んで過ごしました。 読んだのは桜井美奈の「幻想列車 上野駅18番線」です。 先般この作者の「私が先生を殺した」という上質なサスペンスを読んで気に入り、他の作品も読んでみようと手に取った1冊です。幻想列車 上野駅18番線 (講談社タイガ)桜井美奈講談社私が先生を殺した (小学館文庫)桜井美奈小学館 内容は「私が先生を殺した」はサスペンス、「幻想列車 上野駅18番線」はファンタジーというか寓話というか、とにかくこの世の存在では無い者が登場します。 心に傷を持った者が上野駅の隅、人けの無いベンチに座っていると、不思議なことが起こります。 テオと呼ばれるぬいぐるみのように可愛らしい架空の生き物が、その外観からは不釣り合いな乱暴な口調で鍵を渡し、秘密のドアを開けるよう誘います。 ドアを開けるとレトロな一両編成の列車(一両で列車というのは変ですが)が止っています。  上野駅には存在しないはずの18番線 テオに促されるまま列車に乗ると深く真っ黒な瞳の車掌がにこやかに待っています。 この車掌、とんでもないくらいの美青年です。 そこで、誘われた者は不思議なことを聞かされます。 一つだけ...
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私が先生を殺した

今夜はミステリーを読みました。 テンポが良くて物語が疾走する快感に心奪われ、400頁を一気読みしてしまいました。 読んだのは「私が先生を殺した」です。私が先生を殺した (小学館文庫)桜井美奈小学館 物語の冒頭、ある私立高校の避難訓練で校庭に全校生徒が集まる中、27歳の人気教師が屋上から飛び降り自殺します。 一体何があったのか。 物語は語り手が次々と変わり、それぞれの視点から事件に関する一部が語られます。 このあたり、湊かなえの「告白」との類似を感じさせます。告白 (双葉文庫)湊かなえ双葉社告白松たか子 語り手が変われば物語が多重的になっていくというのは、芥川龍之介の名作「藪の中」でよく示されています。藪の中・将軍 (角川文庫)芥川 龍之介KADOKAWA そのため、この手法は時折見かけますが、「私が先生を殺した」では、物語が多重的になるかと思いきや、最後の語り手である自殺した人気教師によって、怖ろしい真実と切ない自殺動機が語られ、一つに収斂していくという、エンターテイメントらしい分かりやすい結末が待っています。 久しぶりに平易で抜群に面白いエンターテイメントに接することが出来たのは私に...
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他人事

今日はあまりの暑さのせいで家から一歩も出ず、冷房を効かせた自宅で快適に過ごしました。 で、珍しく短編集というか、ショート・ショートを読みました。 平山夢明という作家の「他人事」です。他人事 (集英社文庫)平山夢明集英社 私はこの作家を知らなかったのですが、本屋で偶然見つけて面白そうだと思い、購入。 しばらく前までは本はほとんどネットで購入していたのですが、本屋では新鮮な出会いがあるので、よく大型書店に出かけるようになりました。 この短編集、322頁に14のショート・ショートが収められています。 どれも奇妙な味の、残酷で滑稽な物語たちです。 短編集というもの、短い話ばかりなので、つい、もう一つだけ、もう一つだけ、なんて思いながら一気読みしてしまうことがあります。 これがそうでした。 ホラーだったりSFだったり、ブラックユーモアだったり、どれも私にとってお好みの作品でした。 幸せな気分になりました。
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35年目のラブレター

昨夜は珍しくノンフィクションを読みました。 読んだのは「35年目のラブレター」です。35年目のラブレター小倉孝保講談社 山間部に建つ小さな小屋で炭焼きを営む西畑家。 そこの長男、西畑保の生涯に取材したもので、小説のような体裁を取っています。 小学校までは獣道みたいな未舗装の細い道を3時間も歩かなくてはなりません。 それでも同学年の友達が出来ることを楽しみに通い始めます。 しかし、草鞋履きで継接ぎだらけのボロを着た見るからに貧しい彼は、その貧しさゆえにイジメにあってしまいます。 しかも教師までが、彼を疎んじ、イジメを止めさせようとしません。 西畑少年は登校拒否になり、山間部にぽつんと建つ自宅で父親の仕事を手伝ったり、同じ山間部に住む年上の少年と唯一の友達になり、遊びまわったりします。 家庭では白飯を食うことなど出来ず、薄い粥ばかりで、いつもお腹を空かせています。 小学校もろくに通っていないのだから、当たり前ですが読み書きが出来ません。 それが西畑保を苦しめ続けることになります。 長じて町に出、食堂で下働きのようなことを始めますが、メモが取れないので注文を受けることが非常に困難です。。 出...
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吸血鬼

今日は読書をして過ごしました。 読んだのは佐藤亜紀の「吸血鬼」です。 吸血鬼とはいっても、ヴァンパイアが出てきて活躍するわけではありません。吸血鬼 (角川文庫)佐藤 亜紀KADOKAWA 1845年のポーランド。 その当時、ポーランドはオーストリア帝国の支配下にあります。 ポーランドの片田舎の村にオーストラリアの行政官が赴任します。 因習的で気味の悪い村です。 ここで続いて3件、不審死が起こります。 村民は動揺します。 村民の不安を鎮めるため、行政官は村に伝わる因習的な方法を採ることを決意。 それは棺を掘り起こし、遺体の首を切断するというもの。 行政官は当然そんな迷信を信じているわけではありません。 あくまで民心を安んじるための方便です。 時を同じくして、ポーランド全土でオーストリア帝国打倒のための反乱計画が密かに進められます。 この村の地主もこれに呼応するため、大量のライフルを調達して納屋の地下に隠します。 反乱と因習が結びついて、大きな事件を予感させます。  私はかつて、佐藤亜紀の小説を2冊だけ読んでいます。 日本の内乱を描いた「戦争の法」という作品がとにかく面白くて、続けて「バル...
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寛解

昨日は月に一度の精神科受診日でした。 もう寛解にいたって15年以上経ちます。 日常の苦しみはもはや生きるうえで避けられないと分かっています。 単に予防的に飲む薬が欲しくて通っているだけのような状態が続いています。
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その世とこの世

昨夜は京懐石の店(なぜか千葉にある)で結婚26周年のお祝いをしました。 京都で長年修行したという板前が10年前に開いた店で、まぁまぁ満足できました。 良い夜だったと思います。 今日は「その世とこの世」という、大詩人の谷川俊太郎とライターのブレイディみかこの往復書簡集を読みました。 150ページ程度ですので、すぐに読み終わりました。その世とこの世谷川 俊太郎岩波書店 タイトルのその世とこの世は、あの世とは別にその世があり、世界はこの世とその世とあの世で成り立っている、という示唆に富んだ書簡から取ったものです。 詩人とライターという関係性ですが、幽霊とお化けの話から、ウクライナ戦争やコロナ禍の話、果てはトランスヒューマニズムという一種の未来の人間の在り方を規定しようとする思想の話まで出てきて、スリリングな内容になっています。 少々昨日の酒が残っている身には、読みやすくて興味深い書簡集だったと思います。
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永遠と横道世之介

横道世之介3部作の最後、「永遠と横道世之介」を読み終わりました。 上下2巻。 合わせて700頁に及ぶ長編です。 第1作では大学1年生の一年間を、第2作では就職に失敗してバイトで過ごす24歳の1年間を、今作ではまがりなりにもプロのカメラマンとなった39歳の世之介が描かれています。 お調子者で誰からも好かれる世之介。 唯一、女性からはもてません。 今作では、30歳でお付き合いした薄幸の女性との思い出が頻繁に語られます。 世之介が彼女に出会った時、すでに彼女は余命2年の宣告を受けていました。 しかし世之介は、彼女に「早く出会えて良かった」と言います。 2年遅かったら彼女は亡くなっていたと思うと、2年といえど長い年月なのかもしれません。 短い夏の思い出も、クリスマスの思い出も、2回だけ。 それでも世之介にとっては最高の彼女なのです。 彼女と死に別れて後、新しい彼女と付き合うことになりますが、あろうことか最初の告白の時に、「2番目に好き」と言ってしまいます。 死に別れた彼女が永遠に一番ということでしょうか。 世之介にとって最高の人生はリラックスして生きること。 世之介は実際にそうやって生きていま...
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おかえり 横道世之介

今朝はなんだかひどく体が重く、起き上がる気が起きなかっので、思い切って休暇を取りました。 あらかじめ申請してあった休暇と違い、何となく罪悪感がありますが、仕方ありません。 重い頭でベッドから出ずに読書しました。 かねて読み進めていた「おかえり 横道世之介」を読み終わりました。おかえり横道世之介 (中公文庫 よ 43-5)吉田 修一中央公論新社 前作では18歳から19歳にかけての、大学1年生という設定でしたが、続編では24歳にして就職に失敗し、バイトとパチンコに明け暮れながらぼんやりと写真家を目指す姿がゆるーく描かれています。 舞台が小岩のせいか江戸川区出身の私には親しみやすい物語でもありました。 いわゆる良い人であることが唯一の取柄のゆるーい横道世之介、それでも生きていかなければなりません。  死なないかぎり生きていかなければならないのは当然のことで、私もまた、あと30年だか20年だか生きなければなりません。 現役で働いている間は難しいと思いますが、退職したならば、自己実現を目指そうと思うのも、誰もが同じことなのかもしれません。
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イノセント・デイズ

昨日はどこに出かけるでもなく、読書をして過ごしました。 読んだのは「イノセント・デイズ」という小説です。イノセント・デイズ(新潮文庫)早見和真新潮社 早見和真という作家の本です。 この人の小説を読むのは初めてです。 書店で見て、興味を持ちました。 ミステリー、ということになるんでしょうか。 私には文芸作品のように感じられました。  30歳の確定死刑囚の女が処刑される日から物語は始まります。 その後に死刑囚の生い立ちや性格、生まれ育った環境等が友人や恋人らの視線から語られます。 とりわけ小学生時代の仲良しグループで、秘密基地で遊んだ男の子が長じて弁護士になっており、弁護士は女囚に再審請求を勧めますが、拒否されます。 女囚は死刑を怖れてはいません。 それどころか、早期の執行を望んでさえいます。 女囚は短い生涯のなかで、必要とされること、愛されることに飢えてきました。 そういうことがほとんど無かったのです。 太宰治の「人間失格」ではありませんが、生まれてきてごめんなさい、というセリフまで飛びだします。人間失格 (新潮文庫)人間失格【新潮文庫】 (新潮文庫 (た-2-5)) 治, 太宰治, 太...
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横道世之介

昨夜は吉田修一の長編「横道世之介」を読みました。 平易な読みやすい文章と、テンポ良く転がる物語の世界に引き込まれ、文庫本で470頁強の小説を、少々夜更かしして最後まで読んでしまいました。 青春小説ということになるんでしょうね。 主人公の横道世之介はバブル全盛期に長崎県の片田舎から大学進学のため上京します。 時に18歳。 大学名は明記されませんが、武道館で入学式をやったとか、武道館から歩いて大学に戻るとかいった描写があり、法政大学で間違いないと思います。 作者のプロフィールを見ると長崎県出身で法政大学卒業とありますから、かなりデフォルメしてあるにせよ、作者自身がモデルになっているものと思われます。 18歳から19歳の、大学一年生の1年間が月ごとに章立てされ、描かれます。 バイトやサークル、恋に友情等、青春小説のエキスとでも言うべきものがたっぷりと盛られ、飽きさせません。 バブル全盛期に大学生活を送ったのは私と同じ。 作者の年齢が55歳、私が54歳ですから、あの狂乱の時代をともに大学生として生きていたわけです。 嫌でも親近感がわくというものです。 時折横道世之介をめぐる人々、友人だったり恋...
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