その他 幻
最近、職場のある女性と親しくなりました。 親しくなったと言っても、酒を飲みつつ美術や芝居の話をするだけの、他愛無い関係です。 かつては女性の友人など、毎年増えていったのですが、ここ数年では久しぶりです。 男女の友情には、ほんのわずかにせよ、恋情が秘められていることは、経験的に知っています。 要はそのわずかな恋情を認めつつ、飲み友達以上の関係を求めなければ良いだけで、今の性欲衰えた私には、たやすいことです。 相手がそれ以上を求めてきたら、やむを得ず逃げるしかありません。 退屈しのぎの遊びにエネルギーを使う年はとうに過ぎました。 今夜、職場から帰って独り晩酌をやっていると、過去、浅はかな関係を持った女性が次々現れて、私を苦しめます。 それは生霊のような力強いものではなく、ただぼんやりと現れて、私を恨めしげに見るだけです。 おそらくは、若い頃には屁とも思わなかった悪行を、今さらになって悔いる私の精神が見せる幻覚であろうと思います。 思えば20代の頃は、不細工なのに次々女性を落とす先輩に触発されたのか、その先輩と人数を競ったことがありました。 馬鹿なことです。 その先輩の得意技は、私には真似で...