ブータンの国王陛下が結婚されたそうですね。
なかなかの美男美女の微笑ましいカップルです。
ブータンは1907年に王国が成立した、新しい国。
現国王はまだ5代目です。
チベット仏教を国教とし、国民の多くは輪廻転生を固く信じているとか。
また、豊富な水資源での水力発電により、隣国に電力を売っているため、国は総じて豊かで、前国王は、GNP(国民総生産)に対し、GNH(国民総幸福量 Gross National Happiness)という概念を提案し、これによってブータンは大国ではないが幸せに暮らせる国、という印象を植え付けることに成功しました。
しかし、国内でエスカレーターのある建物が建ったのが去年が最初だったとか、1999年まではインターネットはおろかテレビまで禁じられていたとか聞くと、怖ろしい抑圧国家なのかと疑ってしまいます。
今はネット・カフェや携帯電話が普及し、ブータン流の幸福論では我慢できない者たちが増えているやに聞き及びます。
そりゃあ、そうですよねぇ。
国策として経済的な鎖国みたいなことをやったって、情報はどんどん入ってくるわけですから、生活が便利になると思えば、物質的な豊かさを欲しがるのは当然だし、楽したいという欲求が様々な便利な自動車や家電製品などを生み出してきたことは間違いなく、それによって現に人間の暮らしは楽になっています。
物質的豊かさは、幸福のための十分条件ではなくても、必要条件ではあるように感じます。
GNHという指標、考えてみれば傲慢な発想です。
ブータンはそこそこ豊かで、食うに困るほどの経験がないから、そんなゆるいことが言えるのでしょう。
世界最貧国の一つ、ブルキナファソなどは、栄養状態が悪く、公衆衛生も悪いことから、国民の平均寿命が40歳くらいだそうです。
私など、もう2年も前に死んでいなければなりません。
そんな国に行って、GNHなんて言ったら、怒られてしまうでしょう。
なんでもいいから食い物を寄こせ、と言われるのがオチでしょう。
そんな幸せな国の国王夫妻、新婚の喜びもつかの間、これから難しい局面に突きあたるでしょう。
経済発展を目指す開発を進めて自由主義経済を導入し、情報革命という未曽有の事態に立ち向かっている世界の国々と同じ土俵に立つのか。
あるいは前国王が提唱したGNHなるものを念仏のように唱えながら開発を拒絶して貧しくはないが不便な生活を続けるのか。
あんまり考えている時間はありませんよ。
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天外伺朗 | |
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