Nのために

文学

  今日は静かに読書をして過ごしました。
 
 湊なかえの「Nのために」を読みました。
 知りませんでしたが、ドラマ化もされているんですね。

Nのために (双葉文庫)
湊 かなえ
双葉社

 

【Amazon.co.jp限定】Nのために DVD-BOX(コースターセット付)
榮倉奈々,山本剛義,阿南昭宏
TCエンタテインメント

 高級高層マンションで、夫婦が殺されます。
 その現場に居合わせた人たちが、それぞれ一人称で事件について語る、という構成になっています。

 第一章では、警察の質問に答える形で、それぞれの証言の食い違いはありません。

 しかし第二章以降、現場に居合わせた者たちが、真相を語りだしたとき、警察に話した内容とは全く異なる事件の全容が明らかになります。
 一人称ですから、当然、主観で語られます。
 そうなると、同じ事件が異なった様相を呈します。

 ちょうど、芥川龍之介の「藪の中」のように。

藪の中 (講談社文庫)
芥川 龍之介
講談社

 それぞれの生い立ちなども判明し、読後感の悪い作品になっています。

 Nとは、登場人物6人全員を指しています。
 6人ともが、苗字か名前のイニシャルがNなのです。

 それぞれが、自分とは違うNのために、時は嘘をつき、時には自分をだます。

 人間とは救いがたいものだと感じさせられます。

 この作者の作品が大体そうであるように、後味の悪さが快感になるような気分を覚えます。


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