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文学

入梅

昨日は入梅だったそうで。 道理でこのところ大気の状態が不安定です。 うっとうしい季節ではありますが、梅雨の雨がわが国の稲作を支えてきたのは事実で、近年米食が減ってきたとはいえ、今も変わらずわが国民が最も多く食する穀物であることに変わりはありません。 梅雨の時期、梅雨寒という言葉があるくらい、思いがけず肌寒い日がありますね。 今日もけっこうひんやりしていて、上着が手放せません。 まして体重が三カ月余で10キロも落ちてしまった身であれば、寒さは耐えがたいものがあります。 先日半袖姿でスーパーに行ったら、冷凍食品売り場で遭難しそうになりました。 スーパーの冷凍食品売り場は冬山のようです。 その肌寒い感じが、どこか物寂しくも感じられ、正岡子規は、  入梅の中 人静かなり 法花堂 という句を物しています。 法花堂は奈良東大寺にあるお堂。 観光客でにぎわっている東大寺であっても、梅雨寒の時期には静かな感じがするというわけでしょうか。 梅雨といえどもわが国の豊かな四季を構成する重要な要素。 あはれもをかしも感じられませんが、この時季ならではの風情を楽しみたいと思うのです。子規句集 (岩波文庫)高浜 ...
思想・学問

王殺し

亡父の蔵書の中から、英国の人類学者、ジェームズ・フレイザーの大著、「金枝篇」を翻訳した「図説 金枝篇」が出てきました。 亡父の蔵書の森を彷徨うことは、まことに心慰む業です。 本来の「金枝篇」、フレイザーが40年もかけて書き上げた全13巻の大著らしいですが、あまりに大部なために一般に読まれず、それを気に病んだ著者が上下2巻にまとめ、読まれるようになったそうです。 亡父が持っていた講談社学術文庫版は、その要約版を翻訳したもののようです。 ぱらぱらとめくっていると、欧州のみならず広く世界中に王を殺す風習があったとの章が目に留まりました。 もともとギリシア神話に、森の王という者がいて、これは逃亡奴隷なのですが、森の王となりたい逃亡奴隷は今君臨する王を殺害してその座を奪わねばならず、森の王となった者は、折ってはならない金枝を折らなければならない、というお話があり、その神話の謎を解こうと、世界中の神話を調べ、想像力をたくましくして描いた著作だそうです。 世界に普遍的に見られる物語は、王の力は神聖にして強大だが、老いによる衰えは免れず、王の強大な力によって栄えている国家や部族も、王の老衰とともに衰え...
文学

時の力

わが国の精神文化には無常観が深く刻まれ、時とともに万物は流転していくという感覚を、この国に生まれ育った人々は自然に身につけていくようです。 過去を懐かしむのも過ぎ去った時の力によるものであり、未来に希望を抱くのも時が輝かしい時代をはこんでくれるという、時の力を信頼したものでしょう。 私はうつ病発症時、時の力によってしか、この苦しみから解放されることはないのだと知りつつ、しかし病を克服したからと言って輝かしい時を迎えるわけでもないことをも知っていました。 今、精神症状はほぼ治まって、ずいぶん楽になりましたが、平凡に過ぎいく時に感謝するほど老成してはいません。 私ははるか遠く感じられる定年の時を迎えるまで、健康で生き延びたいと願うばかりです。 亡父の蔵書から「花のもの言う 四季のうた」という本を引っ張り出しました。 文字通り四季の名歌を取り上げたものですが、巻末に、時間という章立てがなされていました。 自然を歌った悠久の時間を取り上げた歌もあれば、時間に対する個人的な感想のような歌もありました。 私は時間に対する個人的な思いを詠んだ歌に心惹かれました。 まずは三条院の、 こころにも あらで...
思想・学問

呪の思想 神と人間との間

雨の休日。 先般実家から大量に貰い受けた亡父の蔵書など眺めています。 とりあえず、哲学者・梅原猛と漢文学者にして古代漢字の泰斗・白川静の対談集を読みました。 「呪の思想 神と人間との間」です。 白川静にかかると、漢字というのは大抵呪いから来ていることになるようです。 例えば道。 これは首と進むが一緒になってできた文字で、道というのは敵や生贄の生首を運ぶためのものであったろうと言います。 例えば邊。 これは鼻を上にした髑髏を載せる台このとだそうで。 現在もアマゾンやアフリカの原始的な暮らしをしている部族の小屋には、よく髑髏を並べるための台だ設置してあるんだとか。 魔除けですかねぇ。 梅原猛はそれに応え、わが国の縄文の文様もまた魔除けであったろうと言います。 とくに袖や襟からは魔が入ってきやすいから、袖や襟にとくに念入りに縄文の文様を入れたんだとか。 さらに白川静は、文字はともともと人と人との交流手段ではなく、神と人との交通手段であったはずだと言います。 人間は物が言えますが、神様は物を言わないので、文字を使った、と。 だからわが国の行政文書である木簡や竹簡などは、文字本来の使用方法が廃れ...
映画

マザーズ・デイ

昨夜はなかなかの秀作にあたりました。 「マザーズ・デイ」です。 豪華な郊外の中古住宅を購入し、友人らを招いて新居披露パーティを楽しむ夫婦。 この夫婦は幼い息子を事故で亡くした傷心から、引越しによって心機一転、人生をやり直そうともくろんでいます。 そこへ、その家の元の住人で連続強盗犯の三兄弟が逃げてきます。 三兄弟は家が売られていたことを知らなかったのです。 パーティに集まっていた人々を監禁する三兄弟。 三兄弟は、携帯で悪事の働き方とルールを教えた絶対的存在である母親を呼びます。 数時間後、母親と末っ子の娘が家に到着。 三兄弟は凶悪で乱暴ですが、母親は礼儀正しく、一見親切そうに見えます。 しかしこの母親こそ、最も冷酷で残忍な性格だったのです。 国外逃亡のために国境で待つ案内人が求める1万ドルがどうしても必要。 そこで彼女らは、パーティに集まった人々を銃で脅し、金品を巻き上げます。 しかし、どうしても足りません。 その時、三兄弟はその家に母親宛で多額の金を送金していたはずだと言い出し、母親は家の持ち主夫婦に金のありかを問いただしますが、夫婦は知らないの一点張り。 どちらか、もしくは2人とも...
文学

人を読むほどの書

今週も月曜日から金曜日まで、しっかり通えました。 ありがたいことです。 ちょこちょこ休むと休み癖がついてしまいますので、少々の不調は我慢して働いたほうが気分が良いのですよねぇ。 しかし仕事というのはそもそも体に悪いこと。 いやなことを我慢してやればストレスになるのは当然。 そうはいっても野生の肉食獣は食うために狩りをするのであって、楽しいからするわけではないでしょう。 それが証拠に、檻の中に閉じ込められてさぞストレスだろうと思われる動物園の動物のほうが、野生の動物よりはるかに長生きだとか。 食い物をいつも探している生活のほうが、閉じ込められるよりストレスということでしょうか。 してみると仕事というのは命を削る行為だと言ってよいでしょうね。 十分な財産があって、働かずに食えれば人間の寿命はずいぶん伸びるでしょう。 しかし小人閑居して不善をなすと言うとおり、ろくなことはしないんでしょうね。 飲んだり、打ったり、買ったり。 仕事をせず、酒も飲まず、本も読まず、異性も求めず、映画や芝居も観ず、散歩もしない、そういう風に自分が背負っている業のような物をすべて捨て去ることができれば、こんな楽なこと...
社会・政治

駐中国大使

丹羽駐中国大使、東京都が尖閣諸島を購入する計画に強い懸念を表明しましたね。 曰く、「もし計画が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらす」「過去の努力を台無しにするわけにはいかない」など。 日本政府は丹羽大使の発言を個人的見解として厳重注意するようですが、わが国よりも中国の利益を優先するような人を大使に選んだことが問題です。 さらには、「日本国民の感情はおかしい」だとか、「日本は変な国」などと、自国と自国民を貶しめるような発言をして、恬として恥じないその姿、大使こそ変でおかしいのではないですか。 伊藤忠商事社長時代、よほど中国に儲けさせてもらったんでしょうか。 その恩義でしょうか。 もしそうなら、ただちに更迭すべきでしょう。 しかも経済大国になって役割を終えた対中ODAを復活させろ、とほざいているそうですね。 世界第3位の経済大国が、第2位に政府開発援助を与えるとは、誠に奇妙な話しです。 石原都知事は言わせておけ、と大人な態度を崩していません。 民主党は政権を取った時、とにかく自民党とは違うんだとばかり、お馬鹿な政策を打ち出しました。 普天間の移設先を国外最低でも県外と言ってみたり、挙...
文学

レイ・ブラッドベリ死す

米国のSF作家、レイ・ブラッドベリが亡くなりました。レイ・ブラッドベリです。 この作家には彼を神のように崇める熱狂的ファンがついていましたね。 かくいう私も、長編「火星年代記」や「華氏451度」、「お菓子の髑髏」など、数々の短編集を中学生の頃耽読しました。 人生も後半にさしかかって、レイ・ブラッドベリをほとんど忘れていたところ、このたびの訃報に接したというわけです。 91歳だったとか。 死の直前まで執筆を続けていたというからたまげたものです。 彼の作風は、SFでありながら抒情的というか、やや感傷にはしる面と、SFらしい鬼面人を驚かす面があり、それが抜群のバランスをとって、読む者を引き込むという、プロらしいものです。 もうほとんど彼の小説の細部は忘れてしまいましたが、心に残る不思議な世界、という読後感だけはよく覚えています。 ご冥福を祈ります。火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)小笠原 豊樹早川書房お菓子の髑髏: ブラッドベリ初期ミステリ短篇集 (ちくま文庫)Ray Bradbury,仁賀 克雄筑摩書房華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)Ray Bradbury,宇野 利泰早川書房に...
社会・政治

韓流

韓国のドラマや映画がわが国で幅を利かすようになってから10年以上経つでしょうか。 私は韓国のドラマは一度も観たことが無く、映画は「猟奇的な彼女」というコメディーと「箪笥」というホラーを観ただけです。 「箪笥」は単純なホラーとはいえない深い作り込みになっていて、素晴らしい出来でした。 後にハリウッドでリメイクされています。 「猟奇的な彼女」は最初のうちこそコメディーっぽく、凶暴な若い女が良い味を出していると思いましたが、だんだん大メロドラマになっていき、白けました。 なんでも韓国のドラマや映画は基本的に大メロドラマなのだとか。 韓国の医学ドラマ-病院で恋愛する。パイロットドラマ-空軍で恋愛する。警察ドラマ-警察署で恋愛する。スポーツドラマ-スポーツして恋愛する。 というジョークがあるほどだそうです。 わが国においても欧米においても、近年、どストライクのメロドラマというのはほとんど作られることがありません。 男女関係が希薄になったのか、あるいは性行動が軽薄になったせいかわかりませんが、私自身、ストレートな恋愛ドラマは好みません。 恋愛というのは自分で実行するほうが、恋愛ドラマを観るより恋愛...
文学

ヒゲの殿下、薨去

ヒゲの殿下の愛称で親しまれた寛仁親王(ともひとしんのう)殿下がお隠れあそばしました。 寛仁親王(ともひとしんのう)殿下です。 この人、皇族としてはかなり奔放に振舞って、世間を騒がせていましたね。 アルコール依存症を公表された時には「皇室はストレスの塊」と言ってみたり、力を入れていた福祉活動が思うようにできず、皇籍離脱を宣言されたり。 ラジオの深夜放送でDJを勤めたり、テレビのバラエティーに出たり。 多くの著作もありました。 天皇陛下や皇太子殿下には許されない自由があったものと思われます。 大体皇族の場合、アルコール依存症になるほど飲む前に、宮内庁の職員などに止められるように思いますが、ヒラ皇族の場合は違うんでしょうか。 その後咽頭ガンに侵されて声を失い、ついに66歳で薨去という仕儀にあいなりました。 国民から見ると親しみやすいような、危なっかしいような感じでした。 今上陛下の従兄弟で、麻生太郎元総理の義弟にあたるそうですね。 初めて知りました。 最近では、女帝も女系天皇も反対、という立場を表明されたことが記憶に新しいところです。 私は女帝も女系天皇も一向に問題ないと考えていましたから、...
社会・政治

事実は

事実は小説より奇なり、とか申します。  このほどベルリンから飛び込んできたニュースは、まさしくそういう感じです。 カナダのポルノ男優が、交際していた中国人留学生の男性を殺害してバラバラに切断し、遺体を喰らい、一部始終を撮影してインターネットに動画を流したうえ、遺体の一部を与野党に郵送した、という事件です。 ポルノ男優はフランスを経てドイツへ逃亡。 ベルリンのインターネット・カフェにいる所をドイツ警察に逮捕されたそうです。 怖ろしいですねぇ。 ポルノ男優のルカ・マグノッタ容疑者です。 この手の話、私が偏愛するホラー映画ではよくありますが、それはあくまで作り事。 現実に行われたとなると、ホラー・ファンの私でもどん引きします。 ポルノ男優と言いますけど、殺害した交際相手が男性だったということは、同性愛もしくは両性愛者だったんでしょうかねぇ。 「羊たちの沈黙」シリーズのハンニバル・レクター博士を思わせる事件ですねぇ。 人間すべてに仏性があり、誰でも四諦八正道の実践によって悟りを開き、仏になれるとお釈迦様は説きました。 しかし、某古文書には、お釈迦様は絶対に救われない、生まれついての悪人の存在を...
精神障害

重い

今日は朝から体が重く、だるくて働くのがしんどい一日でした。 よほど早退しようかと思いましたが、急ぎの仕事があったので、リポビタンDを2本飲んで頭を無理やり覚醒させ、なんとか一日をしのぎました。 昨夜は酒を飲まずに早寝したんですが、バイオリズムが悪い方に向かっているようです。 悪いなりに一日働けたことは収穫ですが、明日の朝起き上がれるか心配です。 先週はきっちり5日働けたので、今週も年休を取らずに連続出勤を更新したいものです。 まずは明日の朝の体調しだいということころでしょうか。 精神障害を患ってから、毎日が綱渡りのような気分です。 精神障害発症から9年目。 途中長期病気休暇を取っていたのが合計2年。 7年は綱渡りを続けているのですねぇ。 大分楽になってきたとはいうものの、なかなか発病前のようにはいきません。 だましだましあと18年も働くとは気が遠くなるような年月です。 やれやれ。 にほんブログ村 人気ブログランキングへ ↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
社会・政治

妊婦パッド

近頃中国で奇妙な物が流行っているそうです。 ずばり、妊婦パッド。 バブルの頃は肩パッドというのが流行って、若い女性は肩をいからせて颯爽と歩いていました。 豊胸パッドとか補正ブラジャーとかいいう、胸を大きく見せる道具はもはや定番商品ですね。 では、妊婦パッドとは? じつに単純で、妊娠していないのに妊娠しているように見せかける、お腹を大きく見せる商品です。 何カ月用、と細かく仕様が分かれており、双子用も売られているという芸の細かさ。  代理出産を依頼した女性が、周囲の偏見の目からまだ見ぬわが子を守るため、という涙ぐましい理由で使用する人もいれば、混んだ電車に乗る時、席を譲ってもらえるから、という小ずるい輩もいるようです。 上海万博の時に、身体障害者は並ばずに入れるということで、足はぴんぴんしているのに車椅子を使って入場し、入場するなり脱兎のごとく走りだしたあの光景と同じですね。 許しがたいのは犯罪に使う愚か者。 妊婦だと警戒されないからとすりや置き引き、万引きを犯す時使用するとか。 驚いちゃったのは会社の金を横領した女が解雇を言い渡され、妊娠中の女性は解雇できないという法律を逆手にとって、...
文学

天安門事件から23年

天安門事件、あれは何だったのでしょうね。 東欧や旧ソ連で民主化が進むなか、中国人民もついに立ちあがり、中国は民主化への道を歩き始めるのだと、当時大学生だった私は直感しました。 しかし、4月頃から始まったデモは100万人規模にまで膨れ上がり、公安当局では抑えきれないと判断した当時の中国政府は、6月4日未明、人民解放軍をデモ参加者へ差し向けました。 そして未だに何人が亡くなったのかさえも判らない、自国民への大量虐殺を行ったと見られています。 戦車に一人立ち向かう白いシャツ姿の青年の姿がテレビで映し出された時は衝撃でした。  彼は戦車に踏みつぶされてしまったのでしょうか。 あるいは自動小銃でハチの巣にされてしまったのでしょうか。 事件後の厳しい報道管制によって、真相は闇の中です。 今も、天安門事件に触れることはタブー視されているやに聞き及びます。 自由主義国家群は、2010年には中国の民主化運動家、劉暁波氏にノーベル平和賞を贈って中国政府に民主化を求めるメッセージをつきつけました。 劉暁波氏は「ノーベル平和賞は天安門事件で犠牲となった全ての参加者に贈られたものだ」と語りましたね。 それに対し...
社会・政治

棄教

今朝は菊池直子容疑者逮捕の報について触れなけらばならないでしょうね。 オウム真理教の第2厚生省なる組織で、すでに死刑が確定した土谷正実受刑者の部下としてサリン製造に携わっていたという重大犯罪の容疑者。 事件前テレビに出てくる菊池容疑者は小太りの健康的な若い女性でした。 しかし17年の時を経て、20代前半だった菊池容疑者は40代となり、げっそりとやつれて昔の面影はありません。 まだ逃走中の経緯について詳しい報道はありませんが、よほどしんどい思いをしたものと推測します。 私が興味深いのは、深く信仰した宗教に命じられるままに大規模テロ事件に加担するまでの心境と、逃走中当然目にし、耳にしたであろうオウム真理教をめぐる奇怪な実態を知って、どのように菊池容疑者の心のありようが変化したのか、ということです。 自分が正しいと固く信じていた教えを、間違っていたのだと認めることは、人格が崩壊してしまう怖れがあるほどに辛いことだろうと思料します。 17年も、警察の影に怯えながら、少しずつ思考を積み重ね、それでもオウム真理教を信じ続けるのだと決めたのか、あるいはこれ以上は耐えられない、棄教しようと決心したのか...
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