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文学

無理

奥田英朗の長編「無理」を読み終わりました。 この作者お得意の、いくつかのストーリーが同時並行的に描かれ、ラストに到ってそれらが結びつく、というお話です。無理〈上〉 (文春文庫)奥田 英朗文藝春秋無理〈下〉 (文春文庫)奥田 英朗文藝春秋 町村合併によってできた地方都市、ゆめの市。 田舎町の退屈さにうんざりしながらも、そこでしか生きられない5人が描かれます。 東京の大学に進学し、田舎町からの脱出を夢見る女子高生。 田舎町のしがらみのなかで生きる市議会議員。 元暴走族で、今は詐欺まがいの訪問販売を生業とする青年。 新興宗教にはまる、スーパー保安員の中年女。 県庁から市役所に出向になり、勤務時間中に外回りと称して人妻専門の風俗にはまる公務員。 これらの人々が、様々な無理目な事情を抱え、奮闘しつつ堕ちていく物語になっています。  読ませる力は十分にあるのですが、この作者にしては人物の作りこみや物語の魅力に、やや物足りなさを感じます。 それは東北の架空の田舎町を舞台にしているからだけではないでしょう。 もっとどうしようもなく堕ちていく群像劇に仕立てることができれば、一皮むけた作品になっただろうに...
映画

パージ

昨夜はひどく暴力的な映画をDVDで鑑賞しました。 「パージ」です。 近未来の米国。 犯罪の抑止のためと称して、年に一晩だけ、12時間、殺人を含むあらゆる犯罪を合法とする法律が施行されます。 この夜、人々は己の獣性をむき出しにして、残虐行為にふけるのです。 この映画では、完璧なセキュリティシステムを完備した豪邸の一家が、各地で行われる残虐行為を横目に、優雅な夜を楽しもうとするところから始まります。 ところが18歳の娘の交際相手が昼間のうちから豪邸に忍び込み、パージの始まりを告げるサイレンの音を合図に、交際に反対する父親を撃ち殺そうと試みます。 しかし護身用に銃を携帯していた父親が、逆に交際相手を撃ち殺してしまいます。  さらにはお金持ちの若者の集団が黒人のホームレスを追い詰め、黒人が助けを求め、見ていられなくなった中学生とおぼしき長男がホームレスを豪邸に入れてしまったところから、一家に深刻な悲劇が訪れます。 若者の集団が完璧だったはずのセキュリティシステムを破壊し、殺戮を開始するのです。 銃、ショットガン、機関銃、斧、などなどで家族と若者の集団が戦いを開始するのです。 この手の、殺人をあ...
映画

ジェサベル

朝っぱらからDVDでホラー映画を堪能しました。 「ジェサベル」です。 これはなかなかの掘り出し物でした。 同棲を始めようという日に、彼が自動車事故で亡くなり、自身も車椅子の生活を余儀なくされることになったジェシー。 仕方なく、田舎に戻り、父親と二人で暮らし始めます。 母親はとうの昔に亡くなっています。 妊娠中の母親がまだ見ぬわが子に送ったビデオレターを発見。 そこから不可思議な現象が起き始めます。 悪夢を見続け、悪夢にはゾンビのような黒人の若い女が登場します。 そして近所の沼地でジェシーの誕生日が刻印された墓石を発見。 男友達に掘り返してもらい、DNA鑑定を。 ジェシーはてっきり死産した双子がいるものと想像しますが、なんと結果は黒人の女児で、しかも首の骨を折られて殺害されていたことが判明。 謎は深まるばかりです。 雰囲気満点の、沼地に建つ田舎の古い家、謎めいたビデオレター、ブードゥーの儀式、父親の不可解な態度。 じつに気分が盛り上がります。 そして、明かされる秘密。 よく出来たホラーで、震え上がりました。 コアなホラーファンである私を満足させる快作です。ジェサベル *セルDVD洋画エイ...
文学

花に酔う 事を許さぬ

なんだかずいぶん春めいてえきましたねぇ。 あと3週間もすれば、桜の季節です。  そして、今日は亡父の4回目の忌日。 あれから4年も経つんですねぇ。 私も年を取るわけです。 花に酔ふ 事を許さぬ 物思ひ 夏目漱石の句です。漱石俳句集 (岩波文庫)坪内 稔典岩波書店 夏目漱石は小説家として大成しましたが、俳句もよくしました。 その特徴は、どこか厭世的で愁いに満ちていること。 上の句も、春の物思いを詠んで、メランコリックな心地よさすら感じさせます。 以前、今年の春は珍しく春愁の気にあてられていない、と、このブログに書きました。 しかしいよいよ春めいてくると、やっぱり愁いが濃くなります。 年度末も近づいてきました。 木端役人をやっているかぎり、桜を見て憂鬱になるのは仕方ないのかもしれません。 午前中、実家の寺に墓参りに行きました。 座敷には7段飾りのお雛様が、庭には梅が、見事でした。
映画

心霊写真部 劇場版

今日は休暇を取りました。 朝寝して、たっぷりと昼寝もして、元気になったところでDVDを借りにいきました。 「心霊写真部 劇場版」です。 タイトルからしてB級臭さが漂いますが、やっぱりB級でした。 しかしB級ホラーというのは、一種のほめ言葉でもあります。 起承転結がはっきりとした、かっちりとした作りこみになっていて、楽しめました。 ある高校に心霊写真部というのが存在します。 その名のとおり、心霊スポットに出かけては写真を撮ったり、心霊写真と称せられるものを分析したり。 なかなか楽しそうです。 ある時、謎の美少女が現れ、30年も前の心霊写真部で起きた悲劇を示唆します。 そこから、世間を騒がす謎の連続殺人鬼と心霊写真部の関係、過去の悲劇が現代の部に及ぼす影響などが、疾走感をもって語られます。 美少女たちの下手な演技もご愛嬌。 また、冒頭にサイドストーリーが語られ、それと本編とがラスト近くにつながるという、小粋なくすぐりも用意されています。 B級ホラーの名作といったら言語矛盾でしょうか? でもそんな評価をしたくなる、面白い作品でした。 ただし、あんまり怖くはありません。 子供向けのジュヴナイル...
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