スポンサーリンク
文学

バルタザールの遍歴

佐藤亜紀衝撃のデビュー作「バルタザールの遍歴」を読み終わりました。バルタザールの遍歴 (文春文庫)佐藤 亜紀文藝春秋 公爵家に生まれた体が一つで人格が二人の双子、クレヒオールとバルタザール。 普通は二重人格と呼ぶのかもしれませんが、二人は常に対話をし、互いに得意分野をゆずり、すくすくと成長していきます。 さらには、二人は幽体離脱というか、体を抜け出して生活する能力を持っていることが分かります。 ただし、抜け出したほうはパッと見には肉体的実体をもっているように感じられます。 影が無いことと鏡に写らないことを除いては。 ナチが台頭するウィーンを舞台に彼らの少年時代が描かれ、父の死後、パリに長期滞在し、大酒を喰らい、女と遊び、博打を打つ、放蕩三昧の生活を送ります。 金が無くなってくるとアフリカに渡り、安宿に泊まっては放蕩を繰り返す不良貴族です。 ここまで、ナチに付け狙われたり、ならず者に身ぐるみ剥がされたり、散々な目にあいます。 諧謔に満ちた格調高い文章で、SFっぽい驚くべき世界が描かれます。 そして物語は、「バルタザールの遍歴」と言うよりは、「クレヒオールとバルタザールの没落」とでも言うべ...
文学

ゆるめば死ぬる

今日は二十四節季で言う大暑。 「暦便覧」には「暑気いたりつまりたるゆえんなればなり」とあります。 一年中で最も暑い時季。 この前後、ウナギを食す習慣があり、今日のお昼はうな重を頂きました。  念力の ゆるめば死ぬる 大暑かな 村上鬼城の句です。 村上鬼城の世界松本 旭角川書店 いかにも不気味な句ですねぇ。 ひどい今年の暑さ、常人といえども、もし肝心の念力のゆるむ者がいたら、その者は直ちに病んで死んでしまうに違いない、と言ったほどの意かと思われます。 念力がゆるむとは、びっくりするくらいの暑さに気力が萎えて、ということでしょう。 エアコンが普及した現代では、ここまでの過酷な暑さは想像できません。  しかし、熱中症で命を落とす人が、わずかですが毎年出ます。 してみると、上の句、あながち昔の話とばかりも言えないのかもしれません。 にほんブログ村 人気ブログランキングへ
仕事

壊れる

私は学術機関の事務職に絶対的自信を持っており、何事も早め早めに片付けてきました。 ところが最近、仕事が面倒くさくて仕方ありません。 仕事を先延ばしにすることが増えてきました。 かと言って精神的に落ちているわけではないので、うつの再発ではなく、加齢に伴い、堪え性が無くなって来たように感じます。 私を構成する重要な部分である、仕事の完璧な遂行という点が、壊れ始めているようです。 辛いのは、それでも下の者たちが私を頼れる先輩として接すること。 今の私は過去の遺産で食いつないでいるだけで、頼れる存在では無くなってしまったように感じています。 それでも、相談事には誠意をもって臨み、一刻も早く片付けるよう努力しているつもりではいますが、かつてのような馬力はありません。 さすがに40代も半ばになると、疲労しやすくなり、困難な仕事をやり遂げることが苦痛になってきます。 定年までまだ14年半もあります。 このまま私の内部崩壊が進めば、退職もやむを得ないかもしれないと、漠然と不安を感じています。 老眼も進んできたし。 崩壊を止めるにはどうしたら良いのか、良い知恵がありましたらご教示いただきたく、よろしくお...
社会・政治

談話

来月、戦後70年にあたり、首相談話を出すそうですね。 安倍総理は過去の談話を全体として引き継ぐ、と言っているのに、なんで新たに談話を出す必要があるんでしょうか。 どんな内容であれ、近隣国に文句を言われるに違いないのに。 寝た子を起こすような真似はおよしなさい、と言いたいところです。 そもそも談話にはなんら拘束力もなく、また出さなければいけないものではありません。 一言一句苦労してそんなものを練り上げたところで、さしたる意味は内ように思います。 無駄なことはしないのが一番です。
文学

夏籠や

いよいよ猛暑がやってきました。 職場も自宅もエアコンが効いているうえ、通勤も車なので、正直、ほとんど暑さを感じない夏が、20年ばかり続いています。 そういう意味では、現代の内勤者には、夏らしい夏は無いのかもしれませんね。 そういえば、夏の光に照らされて、毎日弁当を入れているバッグ、大分汚れていることに気づきました。 なんだか侘しい安サラリーマンを地で行っているようで、侘しくなりました。 夏籠や 月ひそやかに 山の上 村上鬼城の句です。 夏籠とは、夏のバッグ。 今風に言うならトートバッグということになりましょうか。 涼しげな夏籠と、妖しい光を放つ月の光との対比が面白いですねぇ。 でもあんまり強烈な暑さは感じられないというか、どちらかと言えば涼しげでさえあります。 わが国は夏が過酷で、建物にしても夏を快適に過ごせるように作られていますが、一方夏は儚くもあります。 冬のようなしつこさは無く、むしろすぐに秋になってしまうイメージです。 それが夏に激しくも物悲しげな彩りを添えるのかもしれません。
スポンサーリンク