理化学研究所、STAP細胞の再現実験の結果、作れなかったため、STAP細胞は現時点では存在し得ないという結論にいたりました。
予想どおりですが、ずいぶん発表を急いだ感があります。
年内に決着をつけたかったんでしょうか。
来年度の予算は、ざっくり5億円程度減額されるそうで、小保方氏という人、大したものです。
その小保方氏は理化学研究所を退職するそうです。
この一連の経過を聞いて、明治時代に大きな話題をさらった千里眼事件を思い出します。
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東京帝国大学の福来友吉博士が、超能力者と思われる女性を調査して、念写・千里眼などが存在すると主張。
その主張に懐疑的な学者やマスコミが集まり、公開で実験を行いましたが、女性曰く、極めてナイーブな状況で行われ、その場に否定的な空気が流れると、精神上の力が発揮できなかったとのことで、実験は失敗。
福来博士はアカデミズムの世界から追放され、手弁当で研究所を作り、生涯、孤独に研究を続けたそうです。
心理実験のようなものは、安定した結果を得られないのが当たり前で、福来博士の主張が正しかったのか、今となってはわかりません。
しかしSTAP細胞は心理実験とは違います。
純粋に自然科学の問題です。
そうであるなら、一定の条件下で一定の方法である物質が得られるのが真ならば、それを監視されようが、否定的な雰囲気のなかで行われようが、同じ結果を得られなければ、それは真実だと見なされません。
そういう意味で、小保方氏本人が自分の妄執に捕われ、STAP細胞の存在を固く信じているおバカさんか、あるいは稀代の詐欺師か、どちらかでしょうねぇ。
いずれにしろ後味の悪い事件でした。
小保方氏はまだ若く、将来のある身です。
このまま研究者として生き続けるのは難しいでしょうが、人間至る所青山あり、と申します。
人間、どこにだって骨を埋める場所はある、ということです。
新しい活躍の場所を求め、成功されることを祈ります。