代理 ミュンヒハウゼン症候群

思想・学問

 先日、生後八カ月の自分の子供の点滴に水道水を混ぜ、死に至らしめた女に懲役10年の一審判決が下りました。なぜそのようなことを、と疑問に思っていたら、代理ミュンヒハウゼン症候群という精神疾患を患っていたそうです。

 ドイツでほら吹き男爵と言われたミュンヒハウゼン男爵からとった名前で、ミュンヒハウゼン症候群とは、周囲の注目を集めるために自傷行為を続ける者、代理ミュンヒハウゼン症候群とは身近な者に傷害行為を繰り返す者、だそうです。
 代理ミュンヒハウゼン症候群には女性が多く、自分の子供を傷つけ、周囲から献身的に看護する母親、と見られることに快感を覚えるとか。
 治療法は、時間をかけたカウンセリングだそうで、薬物療法は有効ではない、とのことでした。

 厄介な病気です。

 自分の子供を殺して懲役10年は軽い、と思いましたが、この病気の患者だと知ると、簡単に軽い、とも思えません。裁判長は、身勝手で自己中心的な犯行、と断じていましたが、それはそういう病気なんだから当たり前です。
 しかしそうかといって、無罪にしてよいものやら。
 裁判員のみなさんは相当苦悩したことでしょう。

 精神病者の犯罪というのは刑罰のつけかたが難しいですね。
 私が裁判員なら、執行猶予つきの有罪にして、当分精神病院に措置入院させる、というくらいしか思いつきません。