君の話

文学


 昨日、千葉県はひどい豪雨に見舞われました。
 千葉市に引っ越して27年くらい経ちますが、これほどの大雨は初めてで、電車は止まり、道路はあちこち冠水していました。
 幸い私は夏季休暇中だったので、出勤せずに済みましたが、出勤した人々はえらい目にあったことでしょう。

 今日は静かに読書をして過ごしました。
 文庫本で410頁ほどの小説「君の話」を一気読みしました。








 記憶を巡る物語です。
 
 近未来、記憶を消し去る薬や、在ったかもしれない過去の記憶を偽憶と称して埋め込む薬が開発されます。
 記憶を消す薬は当然嫌な記憶から逃れるためで、偽憶を埋め込む薬は、例えば暗い青春時代を送った者が長じて麗しい思い出に換えたいなどの理由で服用するものです。

 偽の記憶によって7歳で出会ってから15歳までの記憶を持つ幼馴染の話が描かれます。
 何とも切ない話です。
 本当は幼馴染でもなんでもない二人の男女が、それぞれに記憶を書き換えて恋に落ちるのです。

 人の記憶なんて曖昧で不確かなものですが、その不確かさを逆手に取った優れた青春SF小説に仕上がっています。

 この作者の作品を読むのは初めてですが、他の作品も読んでみたくなりました。