中国の反日デモがますます盛んになっているようです。
困った事態です。
日本では、特定の国を非難するために略奪や破壊活動をするなんてことは、常識外れの誹りを免れません。
しかし一方、日本の常識は世界の非常識、とよく言われます。
これは多分、世界の、ではなく、米英の、なんだろうと思います。
米英に敗れて現在の国の形ができたので、米英追随が習い性になったわが国で、国防面だけは両国と常識が異なっている、ということでしょう。
常識ということを言えば、場所、時代で異なるのは当然です。
イスラム原理主義の人々の常識と我々日本人の常識はまるで異なっているでしょう。
また、戦国時代の日本人と現代を生きる我々とでは、常識は全く違っています。
当然、今の中国と日本の常識もまた、相容れることができません。
唯一とれる手段は、分からないけど相手の言い分をとりあえず聞くこと。そしてこちらの言い分を言うこと。両者は理解しあえなくてもいいから、落としどころを探ることでしょう。
奥崎謙三という人をご存知でしょうか。
「ゆきゆきて、神軍」というドキュメンタリー映画で有名な元日本兵です。
金銭トラブルから傷害致死事件を起こしたり、天皇陛下にパチンコを打ったり、猥褻図画をばらまいたり、何かとお騒がせな人物です。
しかし最も有名なのは、映画で描かれた、日本軍の暴行を暴くため、かつての上官を訪ねて、時には脅したり、殴りつけたりして、飢餓ゆえの人肉食や、違法な部下殺害を白状させた事件でしょう。
応対に出た元上官の長男に発砲し、刑務所に収監されています。
出所して、五年ほど前に亡くなっていますが、「ゆきゆきて、神軍」の強烈さは、ますます輝いています。
彼は自らを神の兵と呼び、天皇の兵であった犯罪者たちを裁こうとします。
その目は異常な正義感に燃え、行動は狂気を帯びています。
彼の常識は、現在の日本人とは相容れません。
もちろん、戦前の日本のそれとも、相容れなかったことでしょう。
しかし彼は、おのれこそ正義と信じ、他の人々の常識を受け入れようとしません。
高校での銃乱射事件を取材した「ボウリング・フォー・コロンバイン」や、ブッシュ前大統領をコケにしてカンヌでパルムドールを受賞した「華氏911」等で有名なドキュメンタリーの第一人者、マイケル・ムーア監督は、「ゆきゆきて、神軍」をこれまで観たなかで最高の作品と讃えています。
重臣がみな狂気に陥ったとき、正気の殿様が狂人にされそうになり、殿様は気が狂う薬を飲んで狂気となり、殿様と重臣は仲良く暮らした、というお話しを子どもの頃に聞きました。
常識も正気も、狂気や盲信と紙一重。
おのれ一人の小さな常識に捉われることなく、常に自分が非常識なのではないかと疑いつつ、しかし常識人を装って生きていく他ありますまい。
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