日本美術のヴィーナス

美術


 日比谷の出光美術館に出かけました。
 日比谷公園の地下駐車場に車を停めましたが、ガラガラでした。お盆なんですねぇ。
 
 展覧会は、「日本美術のヴィーナス」です。
 江戸から終戦直後までの、浮世絵を始めとする美人画を一堂に並べたものです。
 最初の絵が普賢菩薩だったのには驚きました。
 中性的に表現されてはいるものの、男じゃないですか。

 しかしその後は、遊女やら少女やらの美人画ばかりで、飽きさせません。
 
 私がとくに気に入ったのが、葛飾北斎の月下歩行美人図です。


 図録の写真を撮ったのですが、フラッシュで焼けてしまいました。
 
 はかなげな美人が物思わしげに月の下をゆるゆると歩く姿は、なんとも幻想的で、私はしばし、この絵の前に立ち尽くしました。

 この図録を枕の下に入れたら、満月の晩、現れて、私と夜の散歩を共にしてくれないでしょうか。
 あるいは夢に現れて、月夜の逢瀬を演じてはくれないでしょうか。

 画狂老人の筆の冴えは、はるか時を越え、私に恋心を抱かせたのです。