世の中に

精神障害

 世の中に、寝るほど楽はなかりけり、知らぬ阿呆は起きて働く。

 江戸の昔から、働くは阿呆の仕儀。
 田舎者ほどその理を知らず、懸命に働いて、番頭なんぞになりくさったとか。

 私は、働くほどの阿呆を知らず、それなのに働く大阿呆。
 
 この世に、月を観、花を観、酒を飲むほどの幸せを知らず。
 それなのに働く。これを大阿呆と言わずして何と言うか。

 金さえあれば遊んで暮らせるものを。
 世の金持ちが恨めしい。世の金持ちが恨めしい。