今日はこの前の日曜日出勤だったため、振替でお休み。
朝一番で話題の大作「ブラック・スワン」を観て来ました。
平日の朝だというのに、映画館は結構にぎわっていました。
それも、スーツ姿の一人客が目に付きました。
時間調整なのか確信犯的なさぼりなのかわかりませんが、世の中けっこう暇人がいるものです。
映画はニュー・ヨークのバレエ団で「白鳥の湖」の主役に抜擢されたニナが、役のプレッシャーと役を奪われるのではないかという疑心暗鬼から精神を冒されていく過程を描いています。
いかにも大作らしい作りこみで飽きさせません。
ニナはバレエ一筋で完璧主義。
白鳥を舞うことに関しては問題ありませんが、ライバルの黒鳥を舞わせると、技術は完璧なのに悪役らしい放逸な感じや官能的な感じがうまく表現できません。
そこに、一人のバレリーナ、リリーが加入してきます。
この女、酒は飲むは、クスリはやるわ、背中に彫り物まである享楽主義者。
黒鳥を舞わせたら、誰をも魅了する情熱的な女です。
リリーがニナに悪い遊びを教え、それがためにかえってニナは黒鳥の踊りを上達させます。
ニナを妊娠したためにバレエの道を諦めた母親とニナとの葛藤。
ニナが抜擢されたために引退を余儀なくされた元トップとの葛藤。
芸術至上主義で厳しく、女好きでもある監督とニナとの関係性の変化。
ニナとリリーの友情とライバル心。
そしてニナの中の白鳥と黒鳥とのせめぎあい。
映画、「アマデウス」や、芥川龍之介の小説、「地獄変」を思わせる美と狂気のせめぎ合いが鮮やかに描かれています。
あまりにも鮮やかであるがために、かえってうそ臭くさえあります。
見所は満載なのですが、私にはどうしても白いバレエの衣装が、30年前志村けんが東村山音頭を歌いながら腰を振っていた時の衣装に見えてしかたありませんでしたし、大音量で流れるチャイコフスキーの「白鳥の湖」が、やはり30年前、赤シリーズで不治の病に侵された娘を案じるあまり居てもたっても居られなくなった宇津井健演じる父親が病院の廊下で踊りだすシーンが思い出されて仕方ありませんでした。
http://movies2.foxjapan.com/blackswan/ ⇒「ブラック・スワン」の公式サイトです。
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