明治の洋館

仕事

 学士会館での会議は事務方のシナリオどおりに進み、2時間かかる予定が、1時間ちょっとで終ってしまいました。
 2時20分に片付けを終え、3時半には帰宅できました。
 なんだか得した気分。

 学士会館は明治19年建築の古い洋館です。
 天井が高く、コンクリートではなく石で作られた頑丈な建物で装飾も豪華。
 清掃も行き届いていて、古いのにぴかぴかです。
 学士会館といい、東京国立博物館といい、明治期に建てられた洋館は、古くなってもそれがかえって風格を与え、居心地が良いですね。

 それに比べて、高度成長期に建てられた団地などは、わずか50年ほどで見るも無残なぼろ家になってしまいます。
 早く建物を作って復興を成し遂げる必要があったのでしょうが、それにしてもお粗末です。
 建築史上、戦後数十年は最悪の時代かもしれません。

 戦後ぼろくなったのは、ひとり建築だけではありますまい。
 パワーエリートというべき教養が深く、人間の幅が大きい人物が見当たらなくなってしまったような気がするのは、気のせいでしょうか。

 私が思うに、受験戦争だとか、詰め込み教育だとかが批判をあびた影響が大きいように思います。
 受験が厳しいのは昔からで、戦後突如そうなったわけではありません。
 中国での科挙など、それは厳しいものだったようです。
 また、本来、初等中等教育は詰め込みが基本であらねばなりません。
 なぜなら、若いうちにできるだけたくさんの知識を詰め込まないと、年をとってからでは記憶力が落ちて、詰め込むことが不可能になってしまうからです。
 基本的な知識をとにかく詰め込まなければ、応用もできないし、自分が何に向いているかも分かりません。
 空っぽな頭に個性的であれ、と言ったって、戸惑うばかりで、おかしげな自分探しを精神の奥で始めてしまい、迷妄の森に落ち込むだけです。

 そもそも社会は個性的な人間を求めてはいません。
 常識的で、協調性があり、下手に理屈っぽくない、まっとうな大人を求めているのです。
 圧倒的多数の凡人にとっては、嘘でもいいからそういう人間であろうと努力するか、あるいはそういう仮面をかぶって世の中を渡っていくしか、生きる道はないのです。

 私も、そうしています。
 給料をもらえるなら、なんだってします。
 お金をもらうということ、よほど厳しい事と見えます。

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