今日は18時から勝どきにある料亭で会食の予定が入っています。
定時は17時15分なので、到底間に合いません。
年休は1時間単位で取れるので、16時15分から1時間休暇を取ろうかとも思いましたが、とりあえず急ぎの仕事も無いことだし、思い切って1日休暇を取りました。
で、朝っぱらから恒例のホラー鑑賞です。
観たのは、「アウェイクニング」。
1921年のロンドン郊外の全寮制の男子校を舞台にした本格心霊ホラーです。
ちなみに、Awakeningとは、覚醒とか目覚めるとかいった意味のようです。
1921年当時の衣装や車、家具などの古めかしい感じが雰囲気を盛り上げます。
心霊現象の嘘を暴露する著書で有名になった若い女性。
この人、交霊術の現場に乗り込んでインチキを暴露するような過激な行動を取ったりします。
ある日、小学生から中学生くらいの全寮制の男子校で教師をしているという中年の男が彼女の自宅を訪れます。
なんでも最近ある生徒が謎の死を遂げ、かねてから学校に伝わる18年前に亡くなった生徒の幽霊の仕業ではないかと噂が広まり、生徒たちが怯えているので調査してほしい、というのです。
わりと呆気なく犯人を突き止め、なんだか物足りないし、尺がこんなに短いはずはない、と思っていたら、この事件は前奏に過ぎず、そこから様ざまな奇怪なことが起きるのです。
第一次大戦の英雄である教師は、自分一人が生き残ってしまったことに罪悪感を覚え、自傷行為を繰り返しています。
そして心霊現象のインチキを暴く女には、もっと怖ろしい秘密が隠されていたのです。
さらには生徒たちの生活の面倒をみている初老の寮母が、なんとも不気味で、良い味を出しています。
教師の孤独、女の秘密、寮母の寂しさ、そこに、夏休みでみな家に帰ってしまったのに、両親がインドに赴任中ということで一人寮に残った少年の孤独感が加わって、恐怖というより哀切な感じが漂います。
ロンドン郊外の自然があまりにも美的で、もとは個人の邸宅だった古いお屋敷を学校にした、その威厳あるたたずまいが、いっそ残酷なまでの美しさを醸し出しています。
少々中ダレしますが、舞台装置と言い、登場人物の複雑な関係と言い、上質なゴシック・ロマンに仕上がっていることは間違いありません。
それにしてもこの世とあの世の境界が開いてしまったとき、人はどう対処すれば良いのでしょうねぇ。
私は幽霊だの超常現象だのというもの、人の心が作り出した実態の無いものだと思っています。
しかし一方、一見確からしく見える現実の社会もまた、人の心が作り出した実態の無いものであることに変わりはありますまい。
科学が証明したことしか信じない、と件の女性は言いますが、猿知恵が思いついたに過ぎない不完全な宗教とでも言うべき科学教を盲信していると言うに等しいと感じました。
宗教であれ思想であれ哲学であれ科学であれ超常現象であれ、そこに真実は存在していません。
イワシの頭を信心するのと同じようなことです。
おそらく、言葉が在る物は、在るのでしょう。
鬼であれ妖怪であれ幽霊であれ。
それが例え実態が無いのだとしても、そういう概念を表す言葉が存在している以上、それは在るとしか言い様がありません。
私は特定の何かを信じるということはありません。
何かを信じるのは、一種の逃避であるように思われます。
何も信じないことが、とびお教とでも言うべき、教祖一人信者なしの、私の宗教です。
ただ一つ、何事も変化していくということだけは、間違いないものとして信じるほかないと思ってはいますが。
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