午後は2本目のDVDを観ました。
スペインのホラー「パラノーマル・エクスペリエンス」です。
直訳すれば、超自然現象体験ということになりましょうか。
あまりにストレートなタイトルですねぇ。
![]() | パラノーマル・エクスペリエンス [DVD] |
アマイア・サラマンカ | |
ファインフィルムズ |
精神科医を目指して勉学に励む大学生男女5人と、リーダー的存在の女子大生の妹とで、1960年代に岩塩鉱山で栄えた町で起きた、町医者による大量殺人と、今も行方不明の町医者をめぐる超常現象の噂を科学的に調べようと、はるばるワゴン車で今は廃村となってしまった村を訪れます。
じつは妹は霊媒体質。
妹が触媒となって町医者の霊が現われ、若者達を次々に残虐な方法で殺害していきます。
ネタバレになってしまいますが、実際に殺害を実行しているのは霊媒体質の妹。
憑依されての犯行なのか、精神に異常をきたしての犯行なのか、それはよくわかりません。
Jホラーでは「サイレン」、Kホラーでは名作「箪笥」などがこの手法を採っており、東洋人が好む手法なのかもしれません。
![]() | 箪笥-たんす- [DVD] |
キム・ジウン | |
アミューズソフトエンタテインメント |
![]() | サイレン スタンダード・エディション [DVD] |
高山直也 | |
東宝 |
この手の映画は、残虐描写や心理描写もさることながら、映像美が命です。
「箪笥」が名作とされ、ハリウッドでリメイクされたのも、その映像美ゆえであろうと思います。
「パラノーマル・エクスペリエンス」では、姉妹の幼い頃の原罪とでも言うべき記憶、すなわち虐待を繰り返す父親を殺害したことをめぐって、姉妹の葛藤が描かれます。
妹は幼かったため、虐待の記憶も父殺しの記憶も失っていますが、心の奥深くにそれは刻み込まれ、トラウマとなっています。
姉が小麦色の肌でリーダーシップを発揮する活動的な女性なのに対し、妹は青白くて大人しい、しかし精神状態が不安定でリスト・カットを繰り返す美少女として描かれ、その対比は美的と言えるでしょうね。
また、スペインの田舎の美しい自然と、廃墟となって薄汚れた村、町医者の診察室に隠されたグロテスクな拷問道具もまた、対比をなして美的です。
そういう意味では、ホラー映画としてのツボを押さえているわけですが、タイトル同様あんまりにもストレートな展開で先が読めてしまうのは苦しいところです。
及第点ではありますが優れた作品とは言えないような気がします。