放課後戦記

映画

 午前中、「放課後戦記」というDVDを鑑賞しました。

 美少女たちのバトル・ロワイヤル、ということで、気楽で馬鹿馬鹿しいバイオレンスを期待したのですが、内容は結構複雑なつくりになっていて、思わずひきこまれました。

 



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市川美織
ポニーキャニオン

 

放課後戦記 [DVD]
市川美織
ポニーキャニオン

 主人公の女子高生、セナは放課後、屋上で居眠りしてしまい、目を覚ますと、そこは女子高の生徒たちが殺し合いを続け、生き残った一人のみが生存を許される、という、往年の名作「バトル・ロワイアル」を彷彿とさせる設定に放り込まれます。

バトル・ロワイアル [DVD]
高見広春,深作健太
東映ビデオ

 セーラー服だったり、ブレザーだったり、さらにはジャージ、ゴスロリ、アーミーなど、様々な衣装を身にまとった美少女たちの殺し合いが最初は描かれるのですが、それはごくあっさりしたもの。

 やがてその世界は、父親から性的虐待を受け、友人から苛められ、恋心を寄せる唯一の親友から同性愛的な接触を拒まれたセナが、手首を切って自殺をはかり、生死の境を彷徨っている間に、一種の夢の中で、自分から派生した人格であるあまたの少女たちを殺すことで、本当の自分を取り戻す、一種の自分探しなのだということが判明します。

 つまり、殺し合いの相手はすべて自分の何がしかの部分が人格化したもので、最終勝利者はセナでなければいけないのです。

 それに気付いたセナの葛藤は推して知るべし。

 実体が無いとはいえ、まるで生身の少女にしか見えないのですから。

 しかもその中には、自分を愛し、守る存在や、自分が抱いていた絵本作家になりたい、という夢を持った気弱な少女なども混じっているのです。

 それらを皆殺しにしなければならないとしたら、それが成長の代償だとしたら、とても怖ろしいことですね。

 いわゆる夢オチで、そこが物足りない部分ですが、美少女ばかりが田舎の美しい風景のなかで、同性愛っぽさを濃厚に漂わせて戦う姿は、美的なものではありました。

 中二病っぽい物語ではありますが、いつまで経っても現実を現実として受け入れられないまま、何者でも無いと自身を感じている私には、心に響く物語でした。

 大分病んでる感じなので、精神障害者の私に感応したのかもしれません。