桜木紫乃の小説を読みました。
「星々たち」です。

星とは人のこと。
中島みゆきにも「地上の星」という曲がありましたね。
物語は千春という、何を考えているのか分からない、愚鈍なところがある女が子供から大人になり、老いていくさまを、連作短編集の手法で描いています。
連作短編集であるため、必ずしも千春が主人公ではなく、チョイ役の作品もあります。
ただし必ず登場するのです。
千春は父にも母にも捨てられ、祖父母に育てられます。
無口でお世辞にも魅力的な人物とは言えません。
しかし小学校高学年くらいから、細見の体には不釣り合いなほどの胸のふくらみを得ることになります。
当然、体目当ての男が現れます。
この作品にも、桜木作品によく見られる印象的なフレーズが多用されます。
いつの間にか、体は義務でしか、心は体裁でしか動かなくなっていた。
表面的に優しくしながら、生かさず殺さず長い時間をかけて相手をへこませ続けるんだよ。
赤ん坊が乳を飲む様を、これは命の、尊い貪欲さだ、と描いて見せます。
私はそれらの文章に感銘を受けるとともに、嬉しい気分になります。
これら短編集も、他の桜木作品同様、北海道が舞台になっています。
私には想像も出来ない寒さのなか、逞しく、あるいは弱々しく生きる人間は、まさに星なのかもしれません。