美術

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平山郁夫展

今日は珍しく千葉県立美術館に出かけました。 ここは箱物は立派ですが、何しろ予算が涙金ほどのため、通常、県内の中高生や美術サークルの人々の貸し会場みたいになっています。 ここで学芸員をやっている友人がおり、彼から聞いた年間予算では、とても大規模な企画展示など出来ようはずもありません。 それに比べ、千葉市美術館は、どういうからくりか、小規模ながら興味深い企画展示をたびたび行っているため、よく出かけます。 貧乏な千葉県立美術館が、なんと平山郁夫展を開催したというのですから、さしてかの画家に興味がない私としても、出向かざるを得なかったというしだい。 平山郁夫というと、なんとなく茶色っぽい、砂漠を行くシルクロードの絵画を思い浮かべますが、多くの画業の間には、様々な作品を残しています。 シルクロードの絵もそうですが、仏画、日本の風景画、人物画、果ては抽象画まで。 中でも私は、飛天という作品に心惹かれました。 飛天です。 飛天とは、如来の周りを飛び回って仏を礼賛する、一種の天使です。 古くは翼が描かれていたという説がありますが、今見られる仏教美術の飛天には翼はなく、ただひらひらと飛んでいます。 そし...
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雪月花

今日は日本橋の三井記念美術館に出かけました。 雪と月と花展を観るためです。  まずは車を日本橋三越の駐車場に停めました。 三越で3,000円以上買い物をすると90分無料になるうえ、超過しても30分200円とお得です。 お昼に着いたので、三越の中華屋で海鮮塩ラーメンを食しました。 二人で食べて、もう3,000円を超えました。 海鮮出汁の効いた上品な味わいで、絶品でした。 その後呉服売り場を冷やかしました。 呉服専門店を除けば、おそらく首都圏で一番広い売り場面積を誇っているものと思われます。 さすがは越後屋呉服店を前身とするだけあります。 その後、美術館へ。 雪と月と花といえば、本朝の美意識の三本柱とでも言うべき存在で、私はしばしうっとり。 三井家所蔵の名品が並んでいましたが、なんといっても円山応挙の筆になる国宝、雪松図に止めを刺すでしょう。 円山応挙といえば幽霊画が有名ですが、こちらも張り詰めたような冷たい空気が感じられるようで、圧巻でした。 チラシで観るのと実物とでは、あまりにも異なる印象を与えます。 美術作品は印刷物と実物で異なる印象を与えるものとはいえ、ここまで明白に違っているのも...
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鏑木清方と江戸の風情

今日は千葉市美術館に出かけました。 「鏑木清方と江戸の風情」展を観るためです。 この画家は明治30年頃から昭和40年代まで長く活躍した画家で、儚げでうつろな美人画が有名です。 同時代に活躍した、やはり美人画で有名な上村松園と並び称せられますが、上村松園の美人画は、ただ綺麗に過ぎ、鏑木清方のほうがセクシャルな感じを受けます。 上村松園が女性だったせいでしょうか。 で、時代を追って作品がずらりと並べられていたのですが、初期の挿絵を中心とした美人画はじつに活き活きとして、儚げながらも健康的な美を感じさせるのに対し、晩年、自身が幼少期を過ごした明治半ばの、江戸情緒を色濃く残す風俗を描き出した絵画群は、ぞっとするほど美的ながら、そこに描かれている人々に生気が感じられないのです。 まるでノスタルジックで美しい幽霊ででもあるかのような。 なんとなく、映画「異人たちとの夏」を思い出しました。あの頃映画 「異人たちとの夏」 風間杜夫,秋吉久美子,片岡鶴太郎,永島敏行,名取裕子SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D) 解説では、関東大震災で彼のふるさと、東京が大きく変貌したのみならず、東京大空襲、...
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憂世絵 米倉斉加年のもう一つの顔

気持ちよく晴れた秋分の日。 昨日休暇を取った私にとって、4連休の最後の日でもありました。 なんということもなく、千葉市中心部を散策しました。 千葉三越を冷やかすと、8月に80歳で亡くなった俳優で画家でもあった米倉斉加年の作品を数多く販売していました。 夢野久作の小説の表紙などを手がけた彼。 金子国義と竹久夢二の間のような幻想的な画風に、しばし酔いしれました。 浮世絵ならぬ憂世絵を名乗っていましたね。 読めば気が狂うといううたい文句の夢野久作の大作「ドグラ・マグラ」の表紙絵です。 まさにこの表紙の角川文庫版を高校生の頃耽読したことを思い出しました。ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)夢野 久作角川書店ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)夢野 久作角川書店 他にも、 のような、独特の美的世界が展開されていました。 お値段は概ね10万円から20万円。 絵画としては、高いほうではないかもしれませんね。 そうはいっても、私に購入するほどの財力はありませんし、あったとしても、家に飾るには少々妖しすぎます。  名脇役として活躍した彼の、もう一つの顔を見せ付けられました。 老俳優はこれらの絵に、何を込...
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浮世絵に描かれた子どもたち

今日は千葉市美術館に出かけました。 観に行ったのは、「浮世絵に描かれた子どもたち」展です。 正直、浮世絵にこれほど子どもに材を取った物が多くあるとは知りませんでした。 浮世絵と言えば、美人画、風景画、役者絵、春画などですから。 七五三の絵やら寺子屋の絵やら、悪戯する子どもの絵やら、ずいぶん多彩で、愛らしくもあり、憎たらしくもあり。 そういえばコクトーの小説に、「恐るべき子供たち」と言う作品があり、映画化もされました。恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)中条 省平,中条 志穂光文社恐るべき子供たち ジャン・コクトー東北新社 純真なようで邪悪な思春期の子供たちを描いた作品で、多くの子供たちは彼らに共感したのではないでしょうか。 大人から見る子供と、子供が自己認識する子供というのはずいぶんかけ離れているのではないかと思います。 七つまでは神のうち、などと言って、体力が弱く、いつ亡くなってしまってもおかしくない、儚い存在ともされていますね。 今回の展覧会では、それら儚くも邪悪でいながら、どこまでいっても愛らしい、子供の矛盾に満ちた性が、存分に味わえたものと思います。にほんブログ村 美術館・...
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