文学 秋思
今日も見事な秋晴れでした。 しかし私の心はどこか曇りがち。 三連休の最後だからでしょうか。 曇りがちの心を奮い立たせようとして、午後、近所を散歩しました。 昼までは風がなかったのに、午後になると冷たい風が吹き始めました。 つめたきは 風にありけり わがこころ 白布のごとく 吹かれたるかな 風を頬に受けて歩いていると、若山牧水のこんな歌が知らず知らずのうちに心に浮かびました。 私の心もまた、冷たい風に吹き飛ばされそうな気分になりました。 また、同じ歌人の、 骨と肉(み)の すきをぬすみて 浸みもいる この秋の風 しじに吹くかな という歌が続いて口をついて出ました。 白楽天の「陵園妾」でしたか、春愁秋思 という詩句があったように記憶しています。 辞書には、 春の日にふと感じる物悲しさと、秋にふと感じる寂しい思い。よい気候のときに、なんとなく気がふさぐこと。また、いつも心のどこかに悲しみや悩みがあること。 と、ありました。 人間にとって過ごしやすいはずの春や秋に、物悲しさや寂しい思いを強くするのはなぜでしょうね。 私は子どもの頃から、春愁は強く感じ、秋思はあまり感じませんでした。...