文学 夏、夏、夏、
週末は梅雨の晴れ間。 梅雨の晴れ間はもう夏ですねぇ。夏、夏、夏、露西亜ざかひの黄の蕊(しべ)の 花じゃがいもの大ぶりの雨 北原白秋の和歌です。 大きな歌ですねぇ。 夏の三連発、これ、反則じゃないでしょうか。 蕊(しべ)とはおしべめしべのこと。 それが花ジャガイモの大ぶりの雨に降り注ぐというのです。 なんとも力強い、生命力に溢れた和歌ではありませんか。 やや抒情的なイメージが強い北原白秋ですが、このような生命賛歌のような歌も詠むのですねぇ。 ちょっと驚きました。 打って変わって、北原白秋らしい和歌を。病める兒は ハモニカを吹き 夜に入りぬ もろこし畑の 黄なる月の出 これはまた、異様なまでに美的で繊細な歌ですね。 病気の子どもがハーモニカを吹きながら夜の中に入っていく、そこはモロコシ畑で黄色い月が出ているというわけです。 ハーモニカ、もろこし畑、黄色い月、小道具がすべて良いですねぇ。 これは必ずしも夏の歌ではないかもしれませんが、私はあえて夏の歌だと読みたいと思います。 だってこのシチュエーションで肌寒い時期ではやれんじゃありませんか。 私も一つ、酔眼をぎらつかせて、伊達ハーモニカでも持...