文学

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などてすめろぎは

1936年の今日、安藤輝三大尉ら3人の陸軍将校が処刑されました。 言わずと知れた2.26事件の犯人です。 磯部元一等主計などに比べると、安藤大尉は部下から慕われる人格者だったようです。 磯部元一等主計は、おのれの信念を否定した昭和天皇を呪い、獄中で陛下を叱り続けていたと言います。 2.26事件の失敗の最大の理由は、昭和天皇が自分たちの過激な行動に理解を示してくれると信じたこと。 お人よしですねぇ。 クーデターをやるなら、宮城を占拠して昭和天皇を幽閉し、あくまで自分たちの傀儡とならないとみたら暗殺し、意のままに動く皇族を天皇に立てるべきであったでしょう。 2.26事件というと、三島由紀夫の「英霊の聲」を思い出します。 2.26事件で刑死した英霊、特攻に散った英霊などが代わる代わる現れて依代の声を借り、戦後の天皇に恨みの声を挙げるのです。  などてすめろぎは人となり給いし、などてすめろぎは人となり給いし、と延々と続く恨みの声は不気味な迫力をもって迫ってきます。 英霊にとって天皇はあくまでも神々の子孫でなければならず、昭和天皇の人間宣言は許しがたい暴挙だったのでしょう。 安藤大尉はクーデター...
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サラダ記念日とカラダ記念日

今日はサラダ記念日なんだそうで。 もちろん、俵万智の、 この味が いいねと君が 言ったから 七月六日はサラダ記念日 という気色悪い歌から採ったものです。 そんなこと言い出したら、毎日毎日なんかの記念日になってしまい、煩わしくて仕方ありません。 女性の厭らしさが全面に出ていて、私の好むところではありません。  今は未婚の母となって、子どもと石垣島で暮らしているとか。 どこまでも見た目どおりの気色悪い女性ですねぇ。 筒井康隆に、「カラダ記念日」というパロディーがあります。 「薬菜飯店」という短編集に所収されています。 「この刺青いいわ」 と女(スケ)が 言ったから 七月六日はカラダ記念日 サラダ記念日のまんまパクリですね。 他にも「組長を殺(や)るぞ」 だなんて カンチューハイ二本で 言ってしまっていいのヤッちゃんと 我を呼ぶとき わが情婦(イロ)の その一瞬の おののきが好き手紙には 恨みあふれて その恨み 密告(タレコミ)決めた その日の恨み食べたいでも痩せたい というコピーあり 殺したい でもつかまりたくない などなど、主にヤクザの視点から詠まれた歌が満載で笑えます。 小林薫主演で映...
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隠れキリシタン

私は外国人宣教師が去った後も密かに信仰を持ち続けた隠れキリシタンに不思議なほど惹かれます。 捕らえられれば拷問の末に死罪となるのが明白なのに、また、指導者たるべき外国人宣教師がいないのに、よく信仰を保持し続けたものだと思います。 外国人宣教師が国外に退去させられ、あるいは殺害された後、隠れキリシタンを指導したのは、バスチャンと呼ばれる日本人であったようです。 ある村でキリシタン狩りが行われ、生きたまま600人ものキリシタンが海に投げ込まれたそうですが、岸に打ち寄せる遺体をせっせと葬ったのがバスチャンだったとか。 そのバスチャンも役人に囚われ、3年半もの監獄生活の間、78回も拷問にあっているとか。 よく生きていたものです。 いよいよ首をはねられると言う時、バスチャンは四つのことを言い残しました。1、汝らは七代までは、わが子とみなすがそれ以後は救霊が難しくなる。 2、コンエソーロ(聴罪司祭)が大きな黒船に乗ってくる。毎週でもコンビサン(告白)が申される。 3、どこでもキリシタンの教えを広めることができる。 4、途中で異教徒に出会っても、こちらから道譲らぬ前に先から避けるであろう。 バスチャ...
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夏、夏、夏、

週末は梅雨の晴れ間。 梅雨の晴れ間はもう夏ですねぇ。夏、夏、夏、露西亜ざかひの黄の蕊(しべ)の 花じゃがいもの大ぶりの雨 北原白秋の和歌です。 大きな歌ですねぇ。 夏の三連発、これ、反則じゃないでしょうか。 蕊(しべ)とはおしべめしべのこと。 それが花ジャガイモの大ぶりの雨に降り注ぐというのです。 なんとも力強い、生命力に溢れた和歌ではありませんか。 やや抒情的なイメージが強い北原白秋ですが、このような生命賛歌のような歌も詠むのですねぇ。 ちょっと驚きました。 打って変わって、北原白秋らしい和歌を。病める兒は ハモニカを吹き 夜に入りぬ もろこし畑の 黄なる月の出 これはまた、異様なまでに美的で繊細な歌ですね。 病気の子どもがハーモニカを吹きながら夜の中に入っていく、そこはモロコシ畑で黄色い月が出ているというわけです。 ハーモニカ、もろこし畑、黄色い月、小道具がすべて良いですねぇ。 これは必ずしも夏の歌ではないかもしれませんが、私はあえて夏の歌だと読みたいと思います。 だってこのシチュエーションで肌寒い時期ではやれんじゃありませんか。 私も一つ、酔眼をぎらつかせて、伊達ハーモニカでも持...
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桜桃忌

今日、6月19日は太宰治の命日、桜桃忌ですね。 今も若者を中心に多くの愛読者を持つ不世出の天才作家です。 毎年この日にはお墓参りを欠かさないファンも多いと聞きます。 私も中学生の頃、文庫本で読める作品はすべて読みました。 当時は「人間失格」やら「斜陽」やらのいわゆる代表作にのめり込みましたが、今思えば、彼の精神が最も安定していた中期の短編群が小説としての完成度が高いように感じます。 太宰治が「駆け込み訴え」を口述筆記した時その場に居合わせたという編集者曰く、酒を含みながら、よどみなく一気に話し、しかも文字に起こすと完璧な文章になっていた、と言いますから、やはり天才だったのでしょうね。 ただ、彼の私生活をみると、どうしても人物としては好きになれません。 心中未遂を繰り返してそのたびに女が亡くなって自分だけが生き残ったり、妻子がありながら浮気を繰り返して不義の子をもうけたり、芥川賞欲しさに川端康成などに泣きついたり、いわゆるだらしのない人ですね。 高校、大学と古典文学や擬古典的な近代浪漫文学に魅力を感じるようになり、自然と、太宰治の作品からは離れて行きました。 でも今、自分が中年になってみ...
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