文学

スポンサーリンク
文学

人を読むほどの書

今週も月曜日から金曜日まで、しっかり通えました。 ありがたいことです。 ちょこちょこ休むと休み癖がついてしまいますので、少々の不調は我慢して働いたほうが気分が良いのですよねぇ。 しかし仕事というのはそもそも体に悪いこと。 いやなことを我慢してやればストレスになるのは当然。 そうはいっても野生の肉食獣は食うために狩りをするのであって、楽しいからするわけではないでしょう。 それが証拠に、檻の中に閉じ込められてさぞストレスだろうと思われる動物園の動物のほうが、野生の動物よりはるかに長生きだとか。 食い物をいつも探している生活のほうが、閉じ込められるよりストレスということでしょうか。 してみると仕事というのは命を削る行為だと言ってよいでしょうね。 十分な財産があって、働かずに食えれば人間の寿命はずいぶん伸びるでしょう。 しかし小人閑居して不善をなすと言うとおり、ろくなことはしないんでしょうね。 飲んだり、打ったり、買ったり。 仕事をせず、酒も飲まず、本も読まず、異性も求めず、映画や芝居も観ず、散歩もしない、そういう風に自分が背負っている業のような物をすべて捨て去ることができれば、こんな楽なこと...
文学

レイ・ブラッドベリ死す

米国のSF作家、レイ・ブラッドベリが亡くなりました。レイ・ブラッドベリです。 この作家には彼を神のように崇める熱狂的ファンがついていましたね。 かくいう私も、長編「火星年代記」や「華氏451度」、「お菓子の髑髏」など、数々の短編集を中学生の頃耽読しました。 人生も後半にさしかかって、レイ・ブラッドベリをほとんど忘れていたところ、このたびの訃報に接したというわけです。 91歳だったとか。 死の直前まで執筆を続けていたというからたまげたものです。 彼の作風は、SFでありながら抒情的というか、やや感傷にはしる面と、SFらしい鬼面人を驚かす面があり、それが抜群のバランスをとって、読む者を引き込むという、プロらしいものです。 もうほとんど彼の小説の細部は忘れてしまいましたが、心に残る不思議な世界、という読後感だけはよく覚えています。 ご冥福を祈ります。火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)小笠原 豊樹早川書房お菓子の髑髏: ブラッドベリ初期ミステリ短篇集 (ちくま文庫)Ray Bradbury,仁賀 克雄筑摩書房華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)Ray Bradbury,宇野 利泰早川書房に...
文学

ヒゲの殿下、薨去

ヒゲの殿下の愛称で親しまれた寛仁親王(ともひとしんのう)殿下がお隠れあそばしました。 寛仁親王(ともひとしんのう)殿下です。 この人、皇族としてはかなり奔放に振舞って、世間を騒がせていましたね。 アルコール依存症を公表された時には「皇室はストレスの塊」と言ってみたり、力を入れていた福祉活動が思うようにできず、皇籍離脱を宣言されたり。 ラジオの深夜放送でDJを勤めたり、テレビのバラエティーに出たり。 多くの著作もありました。 天皇陛下や皇太子殿下には許されない自由があったものと思われます。 大体皇族の場合、アルコール依存症になるほど飲む前に、宮内庁の職員などに止められるように思いますが、ヒラ皇族の場合は違うんでしょうか。 その後咽頭ガンに侵されて声を失い、ついに66歳で薨去という仕儀にあいなりました。 国民から見ると親しみやすいような、危なっかしいような感じでした。 今上陛下の従兄弟で、麻生太郎元総理の義弟にあたるそうですね。 初めて知りました。 最近では、女帝も女系天皇も反対、という立場を表明されたことが記憶に新しいところです。 私は女帝も女系天皇も一向に問題ないと考えていましたから、...
文学

天安門事件から23年

天安門事件、あれは何だったのでしょうね。 東欧や旧ソ連で民主化が進むなか、中国人民もついに立ちあがり、中国は民主化への道を歩き始めるのだと、当時大学生だった私は直感しました。 しかし、4月頃から始まったデモは100万人規模にまで膨れ上がり、公安当局では抑えきれないと判断した当時の中国政府は、6月4日未明、人民解放軍をデモ参加者へ差し向けました。 そして未だに何人が亡くなったのかさえも判らない、自国民への大量虐殺を行ったと見られています。 戦車に一人立ち向かう白いシャツ姿の青年の姿がテレビで映し出された時は衝撃でした。  彼は戦車に踏みつぶされてしまったのでしょうか。 あるいは自動小銃でハチの巣にされてしまったのでしょうか。 事件後の厳しい報道管制によって、真相は闇の中です。 今も、天安門事件に触れることはタブー視されているやに聞き及びます。 自由主義国家群は、2010年には中国の民主化運動家、劉暁波氏にノーベル平和賞を贈って中国政府に民主化を求めるメッセージをつきつけました。 劉暁波氏は「ノーベル平和賞は天安門事件で犠牲となった全ての参加者に贈られたものだ」と語りましたね。 それに対し...
文学

カラーブックス 良寛さま

一部を頂戴した亡父の蔵書から、亡父のイメージとは異なる本を見つけました。 「カラーブックス 良寛さま」です。 しかも、何度も読み返したらしく、ボロボロです。 江戸時代後期、名主の跡取りの座を捨てて出家し、僧侶としての出世を求めることをせず、山中の小さな庵で托鉢をして生計を立て、暇があれば子どもと遊び、多くの和歌や俳句を残した、あの良寛の生涯を多くの史跡や書の写真とともに簡潔にまとめた、入門書のようなものです。 何しろ写真や絵が多いので、絵本を見るような感覚で簡単に読める文庫本です。 良寛のことを知らない人が読むのに適していると思われます。 肉を好み、酒も飲み、欲望が旺盛だった亡父ですが、良寛のような、貧しくとも静謐な暮らしに憧れていたんでしょうかねぇ。 それは身の程知らずでは? 良寛というと、特攻兵が好んで口にしたという辞世の句が有名ですね。 散る桜 残る桜も 散る桜 特攻隊の心境そのまんまだったんでしょうねぇ。 良寛さんらしいといえば、 この里に 手毬つきつつ 子どもらと 遊ぶこの日は 暮れずともよし というのが、子どもと遊ぶことを好んだという良寛らしいですねぇ。 子どもの心に仏性を...
スポンサーリンク