文学

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梅雨はげし

今日も雨模様。 そのうえ梅雨寒。 職場は寒くて、あったか下着を着てさらに上着を着、密かに股引きを履いています。 それでも半袖シャツ一枚の人がいるから不思議です。  こんな梅雨を、激しいととらえた句があります。 梅雨はげし 百虫足殺せし 女と寝る西東三鬼 女は百足を踏みつぶしてしまったのでしょうか。 その女と寝るとは、なるほど梅雨は激しい道理です。 なんだか雨にぬれた虫の死骸や女体の臭気が匂ってくるようで、不気味ですねぇ。 梅雨富士の 黒い三角 兄死ぬか   西東三鬼 梅雨の富士を黒い三角と見立てているのが面白いですねぇ。 そして唐突に出てくる兄の死。 黒い富士に死を暗示させているのでしょうか。 一般に俳句では病は詠んでも死は詠まないように思います。 それを俳句であえてやると、不気味さが増すようです。 梅雨はなんとなく体が重く、気分が沈みますが、梅雨をこんな風に句にすることができれば、なかなか楽しい季節のような気がしてくるから不思議です。西東三鬼句集 (芸林21世紀文庫)西東 三鬼,橋本 真理芸林書房神戸・続神戸・俳愚伝 (講談社文芸文庫)西東 三鬼講談社にほんブログ村 本・書籍 ブログ...
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入梅

昨日は入梅だったそうで。 道理でこのところ大気の状態が不安定です。 うっとうしい季節ではありますが、梅雨の雨がわが国の稲作を支えてきたのは事実で、近年米食が減ってきたとはいえ、今も変わらずわが国民が最も多く食する穀物であることに変わりはありません。 梅雨の時期、梅雨寒という言葉があるくらい、思いがけず肌寒い日がありますね。 今日もけっこうひんやりしていて、上着が手放せません。 まして体重が三カ月余で10キロも落ちてしまった身であれば、寒さは耐えがたいものがあります。 先日半袖姿でスーパーに行ったら、冷凍食品売り場で遭難しそうになりました。 スーパーの冷凍食品売り場は冬山のようです。 その肌寒い感じが、どこか物寂しくも感じられ、正岡子規は、  入梅の中 人静かなり 法花堂 という句を物しています。 法花堂は奈良東大寺にあるお堂。 観光客でにぎわっている東大寺であっても、梅雨寒の時期には静かな感じがするというわけでしょうか。 梅雨といえどもわが国の豊かな四季を構成する重要な要素。 あはれもをかしも感じられませんが、この時季ならではの風情を楽しみたいと思うのです。子規句集 (岩波文庫)高浜 ...
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時の力

わが国の精神文化には無常観が深く刻まれ、時とともに万物は流転していくという感覚を、この国に生まれ育った人々は自然に身につけていくようです。 過去を懐かしむのも過ぎ去った時の力によるものであり、未来に希望を抱くのも時が輝かしい時代をはこんでくれるという、時の力を信頼したものでしょう。 私はうつ病発症時、時の力によってしか、この苦しみから解放されることはないのだと知りつつ、しかし病を克服したからと言って輝かしい時を迎えるわけでもないことをも知っていました。 今、精神症状はほぼ治まって、ずいぶん楽になりましたが、平凡に過ぎいく時に感謝するほど老成してはいません。 私ははるか遠く感じられる定年の時を迎えるまで、健康で生き延びたいと願うばかりです。 亡父の蔵書から「花のもの言う 四季のうた」という本を引っ張り出しました。 文字通り四季の名歌を取り上げたものですが、巻末に、時間という章立てがなされていました。 自然を歌った悠久の時間を取り上げた歌もあれば、時間に対する個人的な感想のような歌もありました。 私は時間に対する個人的な思いを詠んだ歌に心惹かれました。 まずは三条院の、 こころにも あらで...
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人を読むほどの書

今週も月曜日から金曜日まで、しっかり通えました。 ありがたいことです。 ちょこちょこ休むと休み癖がついてしまいますので、少々の不調は我慢して働いたほうが気分が良いのですよねぇ。 しかし仕事というのはそもそも体に悪いこと。 いやなことを我慢してやればストレスになるのは当然。 そうはいっても野生の肉食獣は食うために狩りをするのであって、楽しいからするわけではないでしょう。 それが証拠に、檻の中に閉じ込められてさぞストレスだろうと思われる動物園の動物のほうが、野生の動物よりはるかに長生きだとか。 食い物をいつも探している生活のほうが、閉じ込められるよりストレスということでしょうか。 してみると仕事というのは命を削る行為だと言ってよいでしょうね。 十分な財産があって、働かずに食えれば人間の寿命はずいぶん伸びるでしょう。 しかし小人閑居して不善をなすと言うとおり、ろくなことはしないんでしょうね。 飲んだり、打ったり、買ったり。 仕事をせず、酒も飲まず、本も読まず、異性も求めず、映画や芝居も観ず、散歩もしない、そういう風に自分が背負っている業のような物をすべて捨て去ることができれば、こんな楽なこと...
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レイ・ブラッドベリ死す

米国のSF作家、レイ・ブラッドベリが亡くなりました。レイ・ブラッドベリです。 この作家には彼を神のように崇める熱狂的ファンがついていましたね。 かくいう私も、長編「火星年代記」や「華氏451度」、「お菓子の髑髏」など、数々の短編集を中学生の頃耽読しました。 人生も後半にさしかかって、レイ・ブラッドベリをほとんど忘れていたところ、このたびの訃報に接したというわけです。 91歳だったとか。 死の直前まで執筆を続けていたというからたまげたものです。 彼の作風は、SFでありながら抒情的というか、やや感傷にはしる面と、SFらしい鬼面人を驚かす面があり、それが抜群のバランスをとって、読む者を引き込むという、プロらしいものです。 もうほとんど彼の小説の細部は忘れてしまいましたが、心に残る不思議な世界、という読後感だけはよく覚えています。 ご冥福を祈ります。火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)小笠原 豊樹早川書房お菓子の髑髏: ブラッドベリ初期ミステリ短篇集 (ちくま文庫)Ray Bradbury,仁賀 克雄筑摩書房華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)Ray Bradbury,宇野 利泰早川書房に...
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