文学

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宗教の自殺

亡父の蔵書から、エキサイティングな対談集を読みました。 宗教学者の山折哲雄と哲学者の梅原猛による、日本の宗教をめぐる対談集「宗教の自殺」です。 ちょうどオウムによる蛮行が世間をにぎわせていた時期に出版されたもので、前半はオウム真理教に対する分析が語られ、後半は仏教や神道、儒教などの宗教について語られています。 日本人にとっての善悪の問題、倫理観の問題、ニヒリズムの問題などが、広く浅く語られ、専門書のような難しさはなく、広く浅い知的な読み物に仕上がっています。 その中で、江戸時代までは仏教・神道・儒教などが渾然一体となった日本教とでもいうべき倫理感が日本人の行動を律し、明治以降は天皇を現人神とする国家主義的な考えが日本人の道徳律となり、まがりなりにも欧米におけるキリスト教のような国民全般を律する考えがあったが、戦後はそれらが破壊され、日本人全般を律する一般的な考えがなくなってしまい、欧米におけるようなキリスト教を柱としたうえでの個人主義ではなく、無軌道な個人主義がわが国を覆い、それは今なお続いているということが、危機意識とともに語られます。 さらには、神道の根本思想である、人間のみならず...
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鼻たれ小僧

今朝某新聞で、東京演芸界の大御所、内海桂子師匠のインタヴュー記事を目にしました。 1922年生まれの90歳。 関東大震災の前年生まれというから驚きです。 今なお寄席やテレビで活躍するどころか、ツイッターなども駆使して現代社会を笑い飛ばすその精神の運動が奈辺にあるのか、私には想像もつきません。 しかしこの人にして、高齢者特有のいやらしい言説が見られ、鼻につきました。 つまり、60、70鼻たれ小僧、そのくらいの年で老けこむんじゃない、というものです。 ご当人はたまたま健康に恵まれ、90歳にしてなお元気でいられるからいいものの、定命は天の知るところ、人の知るところではありません。 多くの人が、60、70を過ぎて元気でいられるわけではありません。 若くして健康を害し、亡くなる方もあまたおられます。 自分を基準に他人が老けこむのを責めるのは下品というものです。 相方の内海好江師匠が61歳で亡くなったことをお忘れですか。 自分は特別な健康の天才児に生まれたということを自覚して、天に感謝し、他人の老いを叱るような真似はお止しなさい。 それと、昔は良かった式の言説。 これはもう永遠の繰り返しで、「徒然...
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忽然とわれ星となる

初夏の一日、頂戴した亡父の蔵書の中から、「日本の詩歌」全30巻など紐解いています。 先人の多くの詩歌に触れ、亡き人を友とするのは、じつに楽しいひと時です。 その中で、吉井勇の短歌に心奪われました。 吉井勇は伯爵家に生まれたわりには、いや、生まれたからこそ、どこか耽美的でいて、厭世的な歌を多く残しています。  寂しさの 極まるところ しら玉の 女身のほかに 欲(ほ)るものもなき ずいぶんストレートに女性を求める歌のようですが、女性を求めるのが肉欲なのか、あらいは寂しさのゆえなのか、意味深長な作りこみになっています。 忽然と われ星となる不思議など あれかしこの夜 あまり寂しき ずいぶん寂しがりだったのですねぇ。 でも星になっちゃうかも、なんて詠まずにいられない気持ち、なんとなくわかりますねぇ。 ひとり生き ひとり往かむと思ふかな さばかり猛き われならなくに 気弱な歌ですねぇ。 でも誰だって、お釈迦様が説くように、犀の角のようにただ1人歩め、と言われたら、戸惑っちゃうと思いますよ。思ふこと すべて違いぬ志 やや大にして せんすべもなし これはすべての凡人の魂の叫びでしょうねぇ。 だいたい...
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ウィッカーマン

1973年製作のカルト・ホラー「ウィッカーマン」を鑑賞しました。 2006年にはニコラス・ケイジ主演でハリウッド・リメイク版が作られているそうですが、そちらは観ていません。 スコットランドから寂れた離島に行方不明の少女の捜索にやってきた警部。 島の人々は英国国民でありながら、キリスト教を信仰せず、太陽神や他の神々を信仰する古い宗教を大切に守ってきました。 捜索を続けるうち、警部は島民が何かを隠していると感じるようになります。 やがて行方不明の少女は、次のメイ・デー祭りに生贄として捧げられるため、どこかに監禁されていると確信するようになります。 そして、衝撃のラスト。 欲深い神々に捧げられるのは誰か。 祭りでの島民の喜悦の表情が不気味です。 わが国の古い映画「神々の深き欲望」を彷彿とさせるような、どこか黙示的な映画でした。 お勧めです。ウィッカーマン 特別完全版 ロビン・ハーディ,クリストファー・リー,エドワード・ウッドワードスティングレイウィッカーマン ニコラス・ケイジ,ケイト・ビーハン,エレン・バースティンソニー・ピクチャーズエンタテインメントNIKKATSU COLLECTION ...
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悪そうな男

女性心理の謎の一つに、誠実で良い人そうな男より、悪そうな男に魅力を感じる、ということがあります。 悪そうということは、本当に悪い男である可能性が高く、そんなものとくっついても苦労するのは目に見えているようなもの。  で、テキサスの大学が、興味深い実験を行ったそうです。 排卵時期には、女性はホルモンの影響で悪そうな男を魅力的だと感じてしまうんだそうです。 ただ、なぜそうなのかは、まだ解明されていないとか。 で、結論。 良い人そうに見える男は排卵時期を避けてアプローチし、悪そうに見える男は排卵時期にアプローチすればよいということになります。 でもどうやって愛しいあの子の排卵時期を知れば良いんでしょうね。 さりげなくそういう情報を手に入れちゃうあたりが、悪い男の面目躍如なんでしょうか。 私は当然良い人然としていますから、排卵時期を避けなければなりませんね。 そうだったのですね。 私が女性にもてないのは、良い人然とした見た目のせいだったのですね。 あぁ、もう少し悪そうに生まれたかった。にほんブログ村人気ブログランキングへ↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
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