文学

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妖怪怪異

今日は昨日に比べて蒸し暑いですね。 暑くなると見聞したくなるのが、怪談話。 昔の日本人は、怪談を聞いて冷やっとして涼を取ったというから優雅なものです。 むしろ脂汗のようないやな汗をかくんじゃないかと思いますが。 現代ではエアコンが普及し、簡単に涼しい空気を味わうことができます。 現代に生まれて良かった。 わが国の怪談の世界で活躍するのは、圧倒的に若い女性が多いですね。 お岩さんだったり、お菊さんだったり。 どうも若い女というのは、どこか神秘的で怖ろしいもののようです。               こんなの出てきたらちびっちゃいますね。                  こちらはいかにも儚げです。     井戸の前に立っている所を見ると、井戸になげこまれたんでしょうか。貞子みたいですね。 平安時代には鬼や妖怪が跳梁跋扈していたんだとか。 現代ではトイレの花子さんのような学校に出没する妖怪怪異や、インターネット空間や携帯を媒介する幽霊などが、「携帯彼氏」や「携帯彼女」に生き生きと描かれています。 怪談も時代に合わせて進化するのですねぇ。 精神障害発症後、時折、この世のものではない人物に遭遇...
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草木國土

島田修二という平成16年頃に亡くなった歌人がいます。 若い頃広島で被爆し、反戦めいた歌や反政府的な歌を多く作りながら、晩年は歌会始の選者になったりした、破天荒な人です。 家庭では問題のある父親であったらしく、両足が不自由であった息子を、大金を積んで中国人女性と結婚させ、大連に住まわせたり、息子の結婚に反対していた妻と離婚訴訟を三年も続けたり、歌の才はあっても、いやあったからこそ、困った人であったろうと推測します。 西行も妻と幼い娘を捨てて出家しました。 その際幼い娘を足下にしたというのは本当でしょうか。 お釈迦様も釈迦族の皇太子でありながら、王の務めを嫌い、おのれ一人真理を悟らんと、出家してしまいます。 悟りを開いて後も、しばらくは悟りの境地があまりに深遠であり、人々には理解不能であろうと考え、教えを説くことはありませんでした。 三度請われて、やっと悟りについて語り始めますが、最初のうちは本当に難解な説教だったと聞きます。 それが年を取るごとに分かりやすく、面白い話になっていったんだとか。 亀の甲より年の効ですねぇ。 島田修二もまた、年老いて力が抜けたのか、晩年、悟りを開いたのでは、と...
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郵便夫にビール

今日は初夏らしい爽やかで暑い一日でした。 昨日の雨模様と違って、私の気分も上々です。 そういえば北原白秋が一時やたらと自由律俳句を作っていた時期がありました。 意外ですねぇ。 初夏だ初夏だ 郵便夫に ビールのませた なんだかやけくそ感が漂っていますねぇ。 よほどビール好きだったと見えます。 勤務時間中にビールを飲まされた郵便夫もたまったものではありません。今だったら懲戒の対象になること間違いなしですが、当時は大らかだったんでしょうかねぇ。 光りかけた 時計の表 梅若葉いま 梅若葉とは何事でしょうね。 聞いたことがありません。 初夏の光が窓から差し込んで掛け時計を照らしている今、梅の若葉がさかりだ、ということなのでしょうけれど、梅を持ち出して花ではなく若葉に目を付けるとは驚きです。 後に北原白秋は自由律俳句を脱し、多くの和歌を詠むことになります。 お気入りには、 草若葉 色鉛筆の 赤き粉の ちるがいとしく 寝て削るなり ですねぇ。 なんとなくメランコリックな感じがして良いのですよねぇ。 上の自由律俳句と比較すれば一目瞭然ですが、短歌制作に打ち込むようになると、北原白秋はかちっとした擬古典...
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性交禁忌

今日、5月16日は性交禁忌の日、なんだそうで。 江戸時代の艶本「艶話枕筥(つやばなしまくらばこ)」に五月十六日房内禁事、犯すときは三年を出ずして死す、と書かれたのが最初だとか。 なんだか無粋ですねぇ。 男女が、あるいは同性同士が愛し合うのにこの日は駄目、なんてねぇ。 房事過多で体を壊してはいけませんが、どうしてこんなことを言うようになったんでしょうねぇ。 しかも江戸時代の人々はけっこうこれを守っていたようです。 私見では、春になると人間も動物であるため、発情期のような状態になり、どうしても房事が過剰になり、春がおさまる旧暦5月16日=新暦6月下旬のこの頃に禁欲の日を定め、無理な性交を禁じたのではないでしょうか。 私事ですが、平成16年の精神障害発症以来、一時的な躁状態の頃を除けば、毎日が性交禁忌の日みたいなものです。 いや、性交不能の日、かな? しかしこれ、意外と爽やかで良いのですよねぇ。 よけいな煩悩が一つ減ったというか。 幸い同居人も私の精神障害を心配して、性交なしの暮らしに文句も言いません。 ありがたいことです。にほんブログ村 本・書籍 ブログランキングへ ↓の評価ボタンを押して...
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牧水先生

今日はなんだか肌寒いですねぇ。 初夏という感じはしません。 暑い真夏が来るのを怖れながらも待ち焦がれる、矛盾した私がいます。 蒼ざめし 額つめたく 濡れわたり 月夜の夏の 街を我が行く 若山牧水の和歌です。 月夜の夏、蒼ざめた顔で町を彷徨する歌人が目に浮かぶようです。 牧水先生のことですから、きっと酔った頭で、しかし頭の芯は冴えたまま、ふらついているのでしょう。 不気味な迫力を感じる秀歌です。 疲れはてて 帰り来れば 珍しき もの見るごとく つどふ妻子ら これも若山牧水の和歌です。 上の和歌とは別の歌集に載っていますが、続きだと思って読むことは、なかなか楽しいものです。 感傷的な深夜の散歩から酔眼で帰宅してみれば、珍しいお客様が来たかのように、妻子が集うというのです。 それだけ妻子を放ってふらついているのでしょうね。 芸術家の孤独な魂を感じずにはいられません。 飲むなと 叱り叱りながら母がつぐ  うす暗き部屋の 夜の酒のいろ 牧水先生、老母に叱られながらも酒を飲むという、ほのぼのした面もあったのですねぇ。 それにしてもお母さん、飲むなと叱りながらついじゃあいけませんよ。 われとわが 悩...
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