文学

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雪見

首都圏は、雪。 私の職場の窓からも、大粒の雪が降り続いているのが見えます。 今、昼休み。 400円の日替わり弁当で、雪見を楽しんでいます。 本当は熱燗でもほしいところ。 事務室内は暖房が効いていますが、一歩廊下に出れば、縮こまるような寒さです。 酒のめば いとど寝られぬ 夜の雪   松尾芭蕉 雪見の酒を独りでやっていると、人恋しくて眠れない、といったほどの意でしょうか。 俳聖も人の子だったのですねぇ。 雪の内に 春はきにけり うぐひすの こほれる涙 今やとくらむ                           二条の后(古今和歌集) 雪の降っている中に春が来ました、ウグイスの凍っていた涙は今、とけるでしょうか、といったほどの意かと思います。 美しいイメージの歌ですねぇ。 この雪は、きっと春の到来を告げるものでしょう。 逝く冬を惜しみ、今宵は熱燗で雪見酒とでもしゃれこみましょうか。芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)雲英 末雄,佐藤 勝明角川学芸出版新版 古今和歌集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)高田 祐彦角川学芸出版にほんブログ村本・書籍 ブログランキングへ ↓の評価...
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閏日と発情期

今日は4年に1度の閏日ですね。 年齢計算ニ関スル法律では、2月28日の午後12時に一つ年齢が加算されるため、平年における3月1日生まれと同じ扱いながら、戸籍上の誕生日は2月29日となるそうです。 ただし、一般社会で2月28日を誕生日とみなすか、3月1日とみなすかは明確な定めはなく、それぞれの家族がよろしいようにみなしているとか。 だから法的には、何も4年経たなければ年を取らないというわけではなさそうです。 猫の恋 やむとき閨の 朧月  松尾芭蕉 閏と閨は何の関係もありませんが、その漢字の類似から、なんとなく、上の句を思い出しました。 猫の恋する騒々しい声がやんで、閨に朧月がさしかかっている、という何となく人肌恋しそうな句ですね。 松尾芭蕉にしては色っぽい句であるように感じます。 春は恋の季節でもあり、野良猫がさかる姿を時折目にします。 精神障害を発症するまでは、私もオスの本能に従って、早春には何となく人肌恋しいというか、平たく言えば性欲が増進しましたねぇ。 人間は一年中発情期とか言いますが、私個人の経験で言えば、明らかに早春の短い時期、性欲の高まりを自覚しました。 人間にも発情期がある...
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外科室

私の中学時代の友人が、山形大学医学部附属病院で外科医をやっています。 たまたま彼が出張で東京に来るというので、明日、会う予定になっています。 私と彼は、中学時代、互いを意識しあう仲でした。 1学期に彼が学級委員をやれば、2学期は私。 3学期はどちらかの取り巻きがやるという具合。 女子生徒が男子生徒の人気投票をやれば、彼が1位で私は僅差で2位でした。 彼は学力優秀、スポーツ万能の優等生タイプで、私は斜に構えた変人タイプ。 でも二人で話をするのは、楽しいことでした。 外科医というのは体力も要るし知力も要るし、まして人の命に関わる仕事で、ずいぶん苦労も多いようです。 思い立って、何十年ぶりかで泉鏡花の「外科室」を読み返しました。 以前、坂東玉三郎監督、吉永小百合主演で映画化され、50分の短編といことから、入場料1,000円ということが話題になりました。 「外科室」は、外科手術を受けることになった伯爵夫人が、麻酔をかけるとうわ言で秘密を漏らしてしまうから麻酔は嫌だ、と拒否します。 周りはずいぶん説得しますが、外科医はおもむろにメスを取り、麻酔なしで手術を始めます。 メスが骨に達した時、伯爵夫人...
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三好作品の教材

三好達治の詩に、「郷愁」という作品があります。 蝶のやうな私の郷愁!......。 蝶はいくつか籬(まがき)を越え、午後の街角に海を見る......。 私は壁に海を聴く......。 私は本を閉ぢる。 私は壁に凭れる。 隣りの部屋で二時が打つ。 「海、遠い海よ! と私は紙にしたためる。─ 海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる。そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある。」 海という文字には確かに母が潜んでいますね。 で、フランス語では、母はmere(メール)。 そして海はmer(メール)。 二つの言語で、それぞれ海と母が単語に組み込まれています。 母なる海、とかいう言い方は、万国共通のようです。(ただし、海に面している国の言葉に限って) それにしても、「郷愁」というタイトルで海と母を登場させるとは、三好先生もお人が悪い。 そんことやられちゃ、ぐぅの音も出ません。 気持ち悪いですねぇ。 でも「郷愁」、人気あるんですよねぇ。 不思議。 それに比べて、教科書で習った「雪」は見事でしたね。  太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。  次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。短い...
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積雪

朝起きたらびっくりです。 雪が積もっていました。 千葉市内は2センチの積雪。 北国の方からみたらお笑いでしょうけれど、千葉市内で2センチは大雪です。 でも土曜日で良かったです。 平日だったらすってんすってん転倒する人が続出するでしょうし、無謀にも冬タイヤもはかず、チェーンもつけずに車を出して立ち往生する輩が渋滞を引き起こすでしょう。  幸い今日は晴れ。 明日も晴れる予報なので、月曜日には車で出勤できるでしょう。 しかしこの雪景色にこの陽射しの強さ、春はすでに来ているようです。 風まぜに 雪は降りつつ しかすがに 霞たなびき 春は来にけり                                よみひとしらず 「新古今和歌集」所収の和歌です。 風にまぎれて雪はふっているけれど、そうはいっても霞がたなびいているところを見ると春がきたようだ、というほどの意かと思います。 今朝の千葉市の光景は、まさにこういうものかもしれません。 関東南部では、雪は冬というより早春の訪れを告げるもの。 昔「なごり雪」という春先の雪を歌った流行歌がありましたね。 春先の雪が街を一時的にもせよ銀世界に変え、そ...
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