文学

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雛祭り

今日は雛祭り、桃の節句ですね。 実家では、妹がいたため、七段飾りの豪勢なお雛様を飾っていました。 でもあれ、飾るのもしまうのも重労働なんですよねぇ。 しまうのが遅れるとその家の女の子が嫁き遅れるとかいいますね。 ま、何事も季節の行事はぱっと祝ってさっさとしまうのが良いということでしょう。  雛祭る 都はづれや 桃の月  与謝蕪村 この蕪村の句は雛祭りに主眼があるのではなく、桃の月、という春先の月に趣きがあるということでしょうねぇ。 それでも、雛祭る、という文言に、華やかさが添えられています。 都はずれの田舎でも、お雛様を飾って華やいだ雰囲気の中、月をめでようというわけで、二重におめでたいですねぇ。 草の戸も 住み替わる代ぞ 雛の家  松尾芭蕉 こちらは俳聖、芭蕉の句。 自分が住んでいた草の戸、すなわちあばら家も、旅に出て別の人が住むようになれば、お雛様を飾るような華やいだ家になるだろう、という、どことなく寂しいような、旅への執念を感じさせるような句ですね。 旅に病んで 夢は枯れ野を かけめぐる 松尾芭蕉 という、辞世を残し、あくまで旅を棲家として俳句の道に精進した芭蕉らしい句です。 一...
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一九三四年冬ー乱歩

今日は演出家・脚本家・小説家など、マルチな才能を開花させた才人、久世光彦の忌日です。 たしか2006年だったと記憶しています。  私がこの人の作品として強い印象を残しているのは、「一九三四年冬ー乱歩」です。 彼を語るとき欠かせない、「時間ですよ」などのドラマは、ほとんど覚えていません。  「一九三四年冬ー乱歩」は、スランプを脱するために都内某ホテルに宿泊し、そこで幻想的な経験をする江戸川乱歩を描いたもので、単なる幻想譚としてだけではなく、江戸川乱歩の精神的な苦悩がよく描かれていて見事でした。 当時直木賞候補になりながら、直木賞のレベルを超えている、という奇妙な理由で受賞を逃して話題になりました。 そんな理由じゃ、文句も言えますまい。 当時私は大学生で、通学の地下鉄の中でこの小説を読んでいたのですが、不覚にも涙をこぼしそうになり、慌てて途中の駅で降り、トイレに駆け込んだことを、鮮明に思い出します。 定命は天の知るところとはいうものの、惜しい人を亡くしたものです。一九三四年冬―乱歩 (新潮文庫)久世 光彦新潮社時間ですよ 1971 BOX1 森光子,船越英二,松山英太郎,松原智恵子,堺正章...
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ここの港に寄りもせず

何年前になりますか、浅草から水上バスに乗って東京湾を一周する春の休日を持ったことがあります。 浅草の船着き場は当時、木材でできており、いつポキッといってもおかしくなさそうな、頼りなげな風情でした。 そういえば浅草に観光客向けの人力車があんなに増えたのはいつの頃からでしょうね。 30年前、私が子どもの頃はまったく見かけませんでした。 それと、煮込み横丁。 昼日中から酒を飲ませる店はいくらもありましたが、煮込み横丁のような、観光客でも外国人でも気楽に入れるお店なんてありませんでした。 これも時の移ろいでしょうか。 あるいは、わが国に外国人観光客が増えたのでしょうか。 春白昼 ここの港に 寄りもせず 岬を過ぎて 行く船のあり                              若山 牧水 一説には、三浦半島を詠んだ歌だと伝えられます。 旅が好きで、沼津が気に入って移住したというくらいですから、三浦半島なんて目と鼻の先だったのでしょうね。 牧水先生の歌を、うますぎる、とか、きれいすぎる、と言って嫌う向きもあるようですが、私は近代歌人の中では随一の歌よみだと思っています。 旅人と言う者、常...
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雪見

首都圏は、雪。 私の職場の窓からも、大粒の雪が降り続いているのが見えます。 今、昼休み。 400円の日替わり弁当で、雪見を楽しんでいます。 本当は熱燗でもほしいところ。 事務室内は暖房が効いていますが、一歩廊下に出れば、縮こまるような寒さです。 酒のめば いとど寝られぬ 夜の雪   松尾芭蕉 雪見の酒を独りでやっていると、人恋しくて眠れない、といったほどの意でしょうか。 俳聖も人の子だったのですねぇ。 雪の内に 春はきにけり うぐひすの こほれる涙 今やとくらむ                           二条の后(古今和歌集) 雪の降っている中に春が来ました、ウグイスの凍っていた涙は今、とけるでしょうか、といったほどの意かと思います。 美しいイメージの歌ですねぇ。 この雪は、きっと春の到来を告げるものでしょう。 逝く冬を惜しみ、今宵は熱燗で雪見酒とでもしゃれこみましょうか。芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)雲英 末雄,佐藤 勝明角川学芸出版新版 古今和歌集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)高田 祐彦角川学芸出版にほんブログ村本・書籍 ブログランキングへ ↓の評価...
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閏日と発情期

今日は4年に1度の閏日ですね。 年齢計算ニ関スル法律では、2月28日の午後12時に一つ年齢が加算されるため、平年における3月1日生まれと同じ扱いながら、戸籍上の誕生日は2月29日となるそうです。 ただし、一般社会で2月28日を誕生日とみなすか、3月1日とみなすかは明確な定めはなく、それぞれの家族がよろしいようにみなしているとか。 だから法的には、何も4年経たなければ年を取らないというわけではなさそうです。 猫の恋 やむとき閨の 朧月  松尾芭蕉 閏と閨は何の関係もありませんが、その漢字の類似から、なんとなく、上の句を思い出しました。 猫の恋する騒々しい声がやんで、閨に朧月がさしかかっている、という何となく人肌恋しそうな句ですね。 松尾芭蕉にしては色っぽい句であるように感じます。 春は恋の季節でもあり、野良猫がさかる姿を時折目にします。 精神障害を発症するまでは、私もオスの本能に従って、早春には何となく人肌恋しいというか、平たく言えば性欲が増進しましたねぇ。 人間は一年中発情期とか言いますが、私個人の経験で言えば、明らかに早春の短い時期、性欲の高まりを自覚しました。 人間にも発情期がある...
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