文学

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春の雨

今日は朝から雨。 予報では寒くなると言っていましたが、そこは春。 それほどではありません。  春雨や ものがたりゆく 簑と傘    与謝蕪村 春雨のなかをおしゃべりしながら蓑の人と傘の人が歩いているのですね。 二人は恋人同士でしょうか。 あるいは友人。 春雨という言葉と合わせると、何であれ、なんとなく色っぽく感じられるから不思議です。  春雨や いさよふ月の 海半(なかば)   与謝蕪村 これはまた幻想的な句ですねぇ。 春雨のなか、出そうでなかなか出ない月が海に映えているというわけです。 月を出しちゃって、しかもこういう風に詠まれると、もうぐうの音も出ません。 お彼岸のお中日も過ぎて、確実に陽が伸び、暖かくなってきています。 この時季、何がどうということもありませんが、気が焦る感じがします。 何か新しいことをしなければいけないかのような。 あるいは悪習を止めなければいけないかのような。 こういう感覚は正月にもありますが、春にはひどい瘴気が漂うせいか、それが激しいような気がします。 動物の発情期にあたるからでしょうか。 動物はこの時季を逃しては自分の子孫を残せないのですから、それは焦るで...
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梅一輪

今日は暖かいですねぇ。 梅は今が見ごろ。  梅一輪 一輪ごとの あたたかさ     服部嵐雪 芭蕉の高弟、服部嵐雪は梅が一輪咲くごとに暖かくなる春の様を、見事に句にしました。 そして梅が散り、桜が舞う頃には、コート要らずの春がきます。 私は毎年近所の公園で花見をします。 正月と花見だけは、昼酒を自らに許しています。 でも今はまだ、梅を存分に楽しみましょう。 千葉の地酒に、梅一輪というのがあります。 私はこれを好んで飲んでいます。 わりあいと安価で飲みやすい、気取ったところの無い良い酒です。 桜には酒が付き物なのに、梅を観て飲もうという気が起きないのはなぜでしょうねぇ。 寒すぎるのかな? それとも梅のたたずまいが、アルコールを拒絶しているんでしょうか。 もっとも酒好きの私は、花も月も雪も、何もなくても、楽しく飲んで酔いを楽しむ無粋なやつなんですけどねぇ。 蕉門名家句選〈上〉 (岩波文庫)堀切 実岩波書店蕉門名家句選〈下〉 (岩波文庫)堀切 実岩波書店梅一輪 上撰 純米酒 1800ml 九十九里の地酒 【千葉県】【ギフト対応可】梅一輪酒造株式会社梅一輪酒造株式会社梅一輪 特撰 吟醸辛口 1...
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悪の華

近代詩の父とも称されるボードレール。 しかし生前はあまり認められず、世をすねたような詩も数多くあります。 生前唯一発表された「悪の華」は公序良俗に反するとして摘発され、罰金刑に処せられたりしています。 亡父の莫大な遺産を派手に散財し、準禁治産者にされてしまったとか。 後のヴェルレーヌやランボーに影響を与えたことでも有名ですね。 ボードレールです。 「悪の華」から、一篇。 「敵」と題されています。    我が青春は陰惨なる嵐に似たり    時に一筋の光明なきにあらずも    すさまじき雷雨吹き荒れ    ひとつの果実とて実を結ぶことなし    いまや実りの季節というに    鋤と鍬とで 洪水に浸った土地を    あらたに耕しなおさねばならぬ    墓穴のようなこの土地を    我が夢に見る新しき花々が    砂浜の如く不毛なこの地に    実を結ぶことなどあるだろうか    苦しや! 時が命を食いつぶす    我らの心臓をかじる隠れた敵が    血を嘗め尽くして肥え太るのだ ここで敵とは、時間と解するのが一般的なようです。 時間が若さを奪い、得られたであろう名誉や富を奪ったというのですか...
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美少年

昨日NHK-BSの歌舞伎の番組を観ていて、義経が見目麗しい美少年として描かれるようになったのは江戸時代からだと知りました。 たしかに、中尊寺に伝わる義経の肖像は、なんだかやせた髭面のおっさんです。  中尊寺に伝わる源義経公像です。 お世辞にも見目麗しいとは言えません。 それが江戸時代になると、途端に変ります。  歌川重清の浮世絵です。 こちらは陰間のような色気を漂わせていますね。 わが国では少年愛は、女色とならんで大人の男の当たり前の嗜みでした。 団鬼六の小説に、「美少年」という佳作があります。 団鬼六の小説は一般的な意味での官能小説とは一線を画しているものと思われます。 濃厚な性描写は少なく、心理描写などが巧みに描かれます。 「美少年」は、団鬼六の自伝的な作品で、学生時代、日本舞踊の有名な家で育った少年がいわゆる同性愛者で、団鬼六に惚れてしまい、色々と鎌をかけてきますが、団鬼六はあくまでも男同士の友人として接します。 そんな時、番長のような両性愛者の男子学生が、美少年を浚って縛り付け、女子学生2人を交えて美少年を犯し、美少年を縛ったまま、女子学生たちと乱交を楽しみます。 そんなことが...
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彼岸の入り

今日は彼岸の入りですね。 日本仏教独特のもので、彼岸(極楽浄土)を此岸(この世)から思い描く期間であり、善行を積むよう奨励されます。  一方、元は日願と書いて太陽を拝む期間だったとする説もあります。 どちらにしても、わが国民が大切にしてきた行事です。 正岡子規に、 毎年よ 彼岸の入りに 寒いのは という句があります。 なるほど、今日は冷たい雨が降り、寒いですね。  夏目漱石に「彼岸過迄」という小説がありますが、こちらはストーリーの内容と直接関係がありません。 高等遊民のおっさんと若い女と若い男がドロドロする恋愛小説で、私はあまり好きではありません。 いったい夏目漱石と言う人、「吾輩は猫である」、「坊ちゃん」と、ユーモアに富んだ乾いた名作で出発しながら、どういう心境の変化で「こころ」や三四郎三部作のような、暗くてつまらぬものを書き散らすようになったんでしょうね。 才能が泣くというものです。 彼岸にはおはぎを食う習慣がありますが、もう30年くらい口にしていません。 あんこでもち米を覆うというあの思想が許せないのですよ。 お腹一杯になって他のものが食えなくなるし。 正岡子規の寒い彼岸の入りよ...
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