文学 蕪村句集講義
日曜日、「坂の上の雲」が放映されていました。 香川照之演じる正岡子規の最後は、凄絶なものでした。 苦痛に悲鳴を上げながらも句作の筆をとる執念、怖ろしいばかりです。 足あり、仁王の足の如し。 足あり、他人の足の如し。 足あり、大盤石の如し。 僅かに指頭をもってこの脚頭に触るれば、大地震動、草木号叫、女媧氏いまだこの足を断じ去って、五色の石を作らず。 「病床六尺」からの引用です。 女媧氏云々というのは、昔天地を支える柱が折れたとき、亀の足を切って柱を支えたという話から、その女媧氏でさえ自分の足は切れまい、という慨嘆でしょう。 大げさな表現にも見えますが、結核の毒が全身にまわったその痛みというのは、想像を絶するものであったでしょう。 正岡子規の母親は、臨終後、「もう一度痛いと言うてみい」と言って子規の足を叩いたそうです。 痛ましいかぎりです。 最近、子規が高浜虚子、河東碧梧桐と「蕪村句集」の輪読会を開いた様子を記した「蕪村句集講義」が出版されました。 それぞれの俳人が蕪村の句を取り上げて、これは昼だ、いや夜だ、後家だ、いやいかず後家だ、そっちのほうが趣がある、と談論風発。 誠に楽しげに蕪村...