
秋の不気味
おのが身の 闇より吼えて 夜半の秋 今日は雨風強く、家で蕪村全集などめくっていました。 冒頭は、秋の句です。犬に吼えられる情景を詠んだものですが、己自身の闇を感じさせて、どこか不気味な感じもあり、秀逸だと思います。 秋は急激に陽が短くなり、夜の世界がこの世を支配するような、不気味な感じがありますね。冬になってしまうと、逆に寒くて外に出られず、冬ごもりの暖かさが感じられます。 しかし秋は、生命力が奪われていくかのごとくです。 蕪村には秋の句は少ないですが、これは秀句だと思います。 私は少年の頃、晩秋の宵闇を散歩するのが好きでした。街へ出れば明るく、公園などに行くと心細いほど暗いのです。思えばそんな風にして、己の闇を見つめていたのでしょうか。 中年となった今でも、闇の正体は不明ですが。