文学

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向島

だいぶすずしくなったので、昨日は向島界隈を散歩しました。 まずは東向島駅に隣接する東武博物館で東武電車の古い列車に乗ったりして遊び、そのあと街を歩きました。 永井荷風が「濹東綺譚」で描いた昔の私娼街ですが、今は花街らしい面影はありませんでした。小さな古い商店や家、アパートなどが立ち並ぶ、いわゆる下町です。 久しぶりに、リヤカーを引いている人や、腹巻にステテコの老人、浴衣で闊歩する老旦那などを見ました。タイムスリップしたかのようでした。 しかし、あまりにごみごみしているので、住むのは無理かな、と思いました。 白鬚神社に詣で、帰路につきました。
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エヴリブレス

瀬名秀明が昨年出版した、「エヴリブレス」を読みました。 現実世界と、無限に存在するコンピュータ上の仮想社会との共鳴を描いています。 例えば、私が今日死んだとします。私のこれまでの記事や性格、行動をプログラミングした人口知能(仮とびお)に、現実の出来事や新しく発表される映画や小説の内容をダウンロードして、仮とびおにブログを更新させれば、このブログは、私の死後も、半永久的に続くことになります。 さらに、無数に存在するブログやホームページにも同様のことをし、その内容をリンクさせれば、仮想社会が成立します。 この小説では「BRT」という仮想現実ソフトに自身の仮の姿を投影させ、人口知能に「自動モード」という機能を付加します。もちろん手動で現実の本人が仮の姿を操ることもできますが、放っておけば「自動モード」で「BRT」の人物は勝手に生きていきます。しかも「BRT」には死がなく、人物を消去する機能が意図的に付与されていないので、現実社会の人間が死ねば、必ず、「自動モード」で永遠に生きていく運命にあります。 しかも、現実社会の投影である「BRT」の住民も、自分たちの世界の下位に「BRT」を持つので、階...
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1Q84

先日、村上春樹のベストセラー「1Q84」を読みました。 同じ作者の手による幻想文学としては、「羊をめぐる冒険」や「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」のほうが小説としての完成度は高いように思います。 今回の作品は、より思索的というか、哲学的という感じがします。 どこか思わせぶりなような。 しかし私は、千ページにも及ぶ長編を、二日で読んでしまいました。 読ませる力は圧倒的です。 作家志望の予備校講師と、元同級生の女テロリストの話が、並行して描かれます。二人は最後まで直接からむことはありませんが、互いを思いながら、それぞれの方法で、あるカルト集団と戦います。 石川淳を思わせるような、精神の運動が描かれます。 一読の価値はあるというべきでしょう。1Q84 BOOK 1村上 春樹新潮社1Q84 BOOK 2村上 春樹新潮社1Q84 BOOK 3村上 春樹新潮社1Q84 1-3巻セット村上 春樹新潮社
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三行書き

三行書きの短歌は、石川啄木が有名ですね。 昨日の新聞に、啄木の親友で、新聞記者であり、歌人でもあった土岐善麿という人が紹介されていました。 じつは三行書きの短歌を始めたのは、啄木ではなく、土岐善麿だったそうです。知りませんでした。 その人の歌です。 哀しきは、 職業のある、その事を幸福とする、 いまの、心かな。 サラリーマンとして働きながら歌作を続けた歌人らしく、勤め人の哀感がよく出ていますね。 私は、毎朝、職場に行くのが嫌で、今日こそ休もう、今日こそ休もうと思いながら、出勤しています。 そのとき言い聞かせるのが、「今のご時勢、仕事があるだけありがたい」という言葉です。 それはそうなのですが、そう思うことは哀しいですね。 生活の糧を得るのが仕事です。 仕事をするのは生きるための手段であって目的ではありません。 そのことに感謝する、というのは何か変ですね。 勉強したり、面接を受けたりして、自分の力で得た仕事です。 仕事があることが有難いのではなくて、給料をもらえることがありがたいのです。
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戦国イケメンパラダイス

NHK大河ドラマ「天地人」に、いわゆる「腐女子」が萌えている、と聞きました。 「腐女子」とは青少年の同性愛を扱った漫画や小説を愛好する女性だそうです。年をとると「貴腐人」になり、さらに進むと「汚超腐人(おちょうふじん)」と呼ばれるそうです。 私は、古くは「モーリス」「覇王別姫」、近頃では「ブロークバックマウンテン」など、男性同性愛を扱った作品をよく見てきました。 そこには、映像美だけでなく、差別の問題や、社会性、愛情など、様々な問題が浮きぼりになっているからです。 しかし、「腐女子」は、美的なものと、性愛だけを求めているようで、違和感を感じます。 ある人に言わせると、「天地人」は最高にエロいそうです。
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