文学 ヘヴンメイカー
昨夜、恒川光太郎の「ヘヴンメイカー」を読み終わりました。ヘブンメイカー スタープレイヤー (角川文庫)恒川 光太郎KADOKAWA / 角川書店 先日読んだ「スタープレイヤー」に連なる作品です。 物語としては独立したものですが、スタープレイヤーが活躍し、最後に前作の主人公が登場して結末を迎えます。スタープレイヤー (角川文庫)恒川 光太郎KADOKAWA 設定は前作と同じく、くじをひいた者が異世界に飛ばされ、10の願いがかなえられるスターボードなる道具を使って冒険を繰り広げる、というものです。 で、「ヘヴンメイカー」。 作者がこの設定で描きたいことはこれだったんだろうなと思わせるくらい、物語は深化しています。 佐伯逸輝という若者が異世界に飛ばされ、スターボードを使って様々な町を造ったり、現地の宗教の聖人、サージイツキになったりと、豊かな物語が紡がれます。 そこに感じられるのは、失ったものへのノスタルジアと、世界の繋がりということ。 佐伯はスターボードを使って、少年時代、淡い恋心を抱いていた、亡くなった女性を生き返らせ、自ら作った故郷、藤沢市そっくりの無人の町で、二人だけの世界を楽しんだ...