文学

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政治あるいは歴史における物語

先ごろ、わが国はワールドカップでベルギーに惜敗し、8強進出はなりませんでした。 それは誠に残念なことですが、今回のワールドカップによるわが国をめぐる物語が、二転三転したことは興味深く感じられます。 予選リーグでは3連敗を予想する解説者もいるなか、一勝一分け。 これは物語の始まり。 しかし、ポーランド戦で、わが国はあえて1点差での負けを選び、10分にも渡って無駄なパスを続け、わが国には、フェアプレーの精神が欠けているだとか、それでも侍か、だとか批判をされて、わが国は予選突破のためにはなんでもやるダーティな国、という物語が生まれたと感じました。 ところが決勝トーナメントにおいて、ベルギーに善戦したことにより、諦めないチーム、組織力の強いチームという物語が、泣きながらゴミ拾いをするサポーターとともに、美しくよみがえったように感じます。 私は何度もこのブログで、物語の中にしか真実は存在し得ない、と指摘してきました。 ことはサッカーのような、実生活にさしたる影響を及ぼさない事柄に限りません。 大日本帝國はかつて、東亜解放の大義名分を掲げて、太平洋戦争を戦いました。 今でも、あれは聖戦であったとい...
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機巧のイブ 新世界覚醒篇

せっかくの土曜日ですが、あいにくの雨。 梅雨時ですから仕方ありますまい。 午前中は、静かに読書をして過ごしました。 以前読んだ、SF時代伝奇ロマン、「機巧のイブ」の続編、「機巧のイブ 新世界覚醒篇」を読みました。機巧のイヴ: 新世界覚醒篇 (新潮文庫)乾 緑郎新潮社 「機巧のイブ」の感想は以下からお読みください。          ↓機巧のイヴ (新潮文庫)乾 緑郎新潮社 美しい女の姿をした機巧=ロボットの伊武。 江戸時代後期を舞台とした前作から、ざっくり百年後。 今度は米国を模したと思しき新世界大陸を舞台として、伊武を巡る物語が描かれます。 前作が、どちらかというとかちっとまとまった、文学的香気の漂う作品だったのに対し、「新世界覚醒篇」は、大活劇というか、エンターテイメントに徹した感じで、伊武の役割というか、比重が落ちているように感じられ、そこは残念な点。 ただし、面白さという点においては、前作を圧倒しています。 伊武を欲しがる大会社や、そこに雇われて伊武を盗もうとする私立探偵、伊武に恋する少年、私立探偵の暗い過去、伊武の秘密を知りたがる電気会社の技術屋であり社長でもある女などが、物...
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滅びの園

昨夜は、当代の作家で私が最も偏愛する、恒川光太郎の最新作を一気に読みました。 滅びの園です。滅びの園 (幽BOOKS)恒川 光太郎KADOKAWA 相変わらず平易な文章で美しく切ない世界が繰り広げられますが、今作はSF的要素が大きかったように思います。 突如上空に現れた未知なるもの。 そこには、穏やかで美しい、想念の世界が広がっています。 なぜかそこに住むことになった鈴上という男の目線で、甘美な世界での生活が描かれます。 しかし、未知なるものの影響か、地上にはプーニーと呼ばれる不定形生物が爆発的勢いで増殖していきます。 プーニーに対する耐性が弱い人間は、それに触れただけで死んでしまいます。 プーニーに対する耐性が高い者は、これを退治するために活躍します。 プーニーを根絶させるには、未知なるものの核を破壊するしかないと考えられています。 しかし、核とは何なのか、最後まで明かされません。 想念の世界で生きる鈴上の存在が人類滅亡の危機を救うと考えられ、次元移動装置を使って、何百人もの人が、未知なるものに突入していきますが、生還できた者は一人もいません。 そして、甘美な生活を送る鈴上は、地球か...
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紫陽花

今日は雨。 いよいよ梅雨でしょうか。 嫌な季節が始まります。 紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘 正岡子規の句です。 6月と言えば紫陽花。 紫陽花が日々色を変えていく様を擬人化したものでしょうか。 私はと言えば、毎日嘘で固めた生活を送っています。 なにしろ毎日出勤しているということ自体、私には嘘のような話です。 これからも嘘を重ねて年を取っていくんでしょうねぇ。
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メルキオールの惨劇

昨夜はかなりぶっ飛んだ小説を読みました。 「メルキオールの惨劇」です。メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)平山 夢明角川春樹事務所 人の不幸を犯罪遺族など、人の不幸を喜ぶ老人に依頼されて片田舎の一家に潜入した男が経験する奇妙な世界の物語です。 なにしろ登場人物がかなりイッチャッテいます。 まるで躁うつ病患者のように、天才になったり、白痴になったりを繰り返す男。 この男は白痴の時は朔太郎と名乗り、天才になるとメルキオールと名乗ります。 こいつには二人の弟がおり、一人はいずれ白痴化が免れない、今は天才のバルタザール。 末っ子は殺害されており、末っ子の殺害を巡って、男は不幸の証拠を集めようとするのです。 独特の文体、比喩の多様、まるで米国の片田舎を描いたような風情ですが、舞台は日本の田舎です。 好悪の分かれる作品だと思います。 私にはちょっと付いていけない感じでしたが、はまる人ははまるでしょうね。 イッチャッテる物語をお求めの方は是非どうぞ。
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