文学 死の季節ー右大臣の憂鬱ー
冬季うつ病なんて言って、冬はうつ状態に陥る人が増えるそうですね。 寒いし、日は短いし、死を予感させる季節であってみれば、仕方ないのかもしれません。 28歳で甥、公卿に殺害された右大臣源実朝は、父、頼朝亡きあと、政情不安が続き、兄の頼家が追放されてなお殺害された事実から、家臣に次のような絶望的な言葉を述べています。 源氏の正統は此の時に縮まりをはんぬ。子孫敢えて之を相継ぐべからず。 源氏の嫡流は自分で終わりにしようというわけです。 おそらくは、そう遠くないうちに、家臣らに暗殺されるであろう運命を、かなり明瞭に意識していたのではないかと思います。 そういう意味では、12歳で将軍になった時から、死の季節を生き続けていたのかもしれません。 現とも 夢とも 知らぬ世にしあれば ありとてありと 頼むべき身か 現実とも夢ともつかぬ世の中で、生きているといってもそれを頼みにできるだろうか、といった意かと思います。 聞きてしも 驚くべきにあらねども はかなき夢の 世にこそありけれ 人の死を聞いても驚くにあたらないが、それにしてもなんとはかない夢のような世の中であることよ、といった意でしょうか。 いずれ...