文学 姥捨
先週、義父が80歳になりました。 大手電機メーカーで技術屋として65歳まで働き、その後は年金生活をおくっています。 毎日2時間の散歩を欠かさない、元気なおじいちゃんです。 まぁ、今どき、元気な80歳なんて珍しくもないのでしょうけれど。 それにしても、少子高齢化はどこまで進むのでしょうね。 このままではわが国は衰退してしまいます。 しかし、かつて老人を山に捨てる、姥捨という風習があったと言います。 誠に怖ろしいことですが、ある意味合理的な選択であったのかもしれません。 姥捨て伝説を描いた深沢七郎の名作「楢山節考」は木下惠介監督によって映画化されました。 雪山に一人座り、合掌する老婆と、それを見ながら悲哀に沈む中年の息子の姿が印象的でした。楢山節考 (新潮文庫)深沢 七郎新潮社楢山節考 今村昌平,深沢七郎TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) 能の「姨捨」では、中秋の名月の晩、姨捨山にやってきた旅人が、かつて捨てられた老女の幽霊から事の次第を聞き、老女は美しい舞を舞います。 一般に能では、恨みを残して死んだ霊が現れ、美しい舞を見せ、旅の僧が念仏を唱え、成仏する、というのが、一種...