文学

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豆の上で眠る

今日はのんびりと自宅で読書をして過ごしました。 読んだのは、湊かなえの「豆の上で眠る」です。 大学生の姉妹。 物語は、妹が大学生の現在の生活と小学生の頃の記憶を追憶する場面が同時並行的に描かれながら進みます。 小学校3年生の頃、姉は謎の失踪をとげ、2年後、ふいに戻ってくるのです。 しかし妹の目には、帰ってきた少女が姉だとは思えません。 姉の偽者としか。 いったいどういうことか、分からないまま物語は進み、唐突に、真実が語られます。 やや強引な感じがする筋立てです。 一気に読んでしまいましたが、ミステリーとしてはやや破綻しているように感じました。豆の上で眠る (新潮文庫)湊 かなえ新潮社
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短夜(みじかよ)

梅雨明けはまだ宣言されていませんが、このところの陽気を見るかぎり、もう梅雨はあけているようです。 今年はあまり雨が降らなかったように感じます。 秋の夜長に対して、夏は短夜(みじかよ)と言われます。 夜長に比べて暑苦しいイメージがある季語ですが、夏には夏の風情があり、それを感じさせてくれます。 もっとも、現代ではエアコンが普及していますから、熱帯夜で寝苦しいということもないのではないでしょうか。 私ももう四半世紀ばかり、夏の夜は冷房を入れっぱなしで、寝苦しい夜はせいぜい大学生くらいまでの、昔の思い出に過ぎません。 みじか夜の 残りすくなく ふけゆけば かねてものうき あかつきのそら 「新古今和歌集」にみられる短歌です。 これは夏の夜に恋しい女性のもとに行き、その逢瀬を楽しみながらも、夜の短さを恨むというものです。新古今和歌集―ビギナーズ・クラシックス (角川ソフィア文庫 88 ビギナーズ・クラシックス)小林 大輔角川学芸出版 恋の歌と思えば、物憂さもどこかメランコリックな心地よさがあるのでしょうが、疲れた中年サラリーマンの私には、そんなロマンティックな味よりも、朝が来てしまい、また出勤し...
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母性

今日は出勤しても急ぎの仕事が無いことが分かっていたので、あらかじめ休暇を取っておきました。 今日も引き続き暑いので、自宅冷房を効かせ、読書をして過ごしました。 湊かなえの「母性」という小説を読みました。母性 (新潮文庫)湊 かなえ新潮社 母と娘をめぐる物語で、読みやすくて、グイグイと読めました。 女子高生の娘が飛び降り自殺を図るところから物語は始まります。 母と娘、それぞれの独白という形式で物語は進みますが、同じ物事でも母と娘の間で受け取り方が全く異なり、親子といえども他人じゃなぁ、という思いを強くしました。 自分以外の人間という意味では、親子であろうと夫婦であろうと親友であろうと、全て他人です。 親しき仲にも礼儀ありではないですが、親しい仲でも、人間関係の要諦は、赤の他人と接するのと同じことです。 相手を尊重すること、自分の考えや意見を押し付けず、意見の違いを認めること。 冷たいようですが、そうすれば親子喧嘩や夫婦喧嘩など起きないと思います。 子供の頃は別として、私は親子喧嘩も兄弟喧嘩も夫婦喧嘩もしたことがありません。 簡単なことです。 相手は他人だということを肝に銘じれば良いのです...
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怖いお話

私は幼い頃から、不思議な話や怖い話が大好きで、それは今も変わりません。 考えてみれば、文学の祖とも言うべき神話は、洋の東西を問わず、不思議な物語の連続です。 また、源氏物語にしても、お能の曲にしても、古典文学の場合、多くが、死霊や生霊、化け物が登場します。 物語の本質は、この世ならぬものへの憧れや予感にあると言ってもよいでしょう。 明治維新以降、わが国文学は西洋の影響もあってか、不可思議なお話よりもシリアスな物語が増え、特に私小説などと呼ばれる分野は、貧乏自慢や自己憐憫のようなもので、文学の正統性が失われた感があります。 現在はシリアスなものから不思議なものまで様々あり、何が文学の正統かなんて、考える意味もなくなりました。 良い時代なんだろうと思います。 お好みの物語を堪能すれば良いのですから。 私がどうしてこれほど不思議な話や怖い話を好むのか、よく分かりません。 しかし、不思議な話や怖い話にこそ、人間の本質である、欲望や願望、恐怖、祈りなど、が隠されているように思うのです。 優れた物語に接すると、本当に幸せな気持ちになります。 だから私は、本であれば小説ばかり読みますし、映画であれば...
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さよならの代わりに

今日は午前中、都内の某ホテルで会議でした。 学界の重鎮に何人もご足労願い、私が所属する機関の研究の方向性を話し合う重要な会議。 疲れました。 午後、職場に戻るのが面倒なので、休暇を取って帰宅しました。 午後は読書。 貫井徳郎の小説。 「さよならの代わりに」というミステリ仕立てのSFを読みました。 なんとなく切ない、青春コメディといった趣。 気楽に読むことができました。 明日からまた職場に通わなければいけません。 いつまでも物語の世界にどっぷり浸かって生きていければ、こんな幸せなことはないのですが。さよならの代わりに (幻冬舎文庫)貫井 徳郎幻冬舎
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