文学

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民王(たみおう)

昨夜、「民王(たみおう)」という小説を読みました。民王 (文春文庫)池井戸 潤文藝春秋 知りませんでしたが、ドラマ化もされていたんですね。民王スペシャル詰め合わせ DVD BOX遠藤憲一,菅田将暉,高橋一生,本仮屋ユイカ,知英東宝 なかなか愉快な、SF仕立ての喜劇でした。 総理大臣とその大学生の息子が入れ替わってしまうというお話。 面白いのは、総理大臣のみならず、経済産業大臣と息子、野党第一党の党首とその娘も入れ替わってしまい、これはどうやら新手の政治的テロだと気付いて、公安や米国のCIAなどもからんでのドタバタ劇が繰り広げられるというもの。 池井戸潤という作家の小説を読むのは初めてで、面白くはありましたが、なんだか紋切型というか、人間の造型が単純すぎるような気がしました。 清濁あわせ持つような人間や、善人でありながらとてつもない悪や闇を抱えている人物を描き出すのが文学の役割の重要な一つであると思います。 この作品には、その点が決定的に欠けています。 エンターテイメントといえども、底の浅い小説では、ライトノベルと変わりありません。 いや、ライトノベルでも、もう少し深い小説が存在していま...
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最後の家族

久しぶりに村上龍の小説を読みました。 「最後の家族」です。最後の家族 (幻冬舎文庫)村上 龍幻冬舎 学生の頃は、「コインロッカー・ベイビーズ」、「愛と幻想のファシズム」、「五分後の世界」など、壮大でメッセージ性の強い村上龍の小説をよく読みましたが、いつの頃からか、ほとんど読まなくなりました。 なんでだかは分かりません。 骨太な物語が、私を疲れさせたのかもしれません。 「最後の家族」はメッセージ性こそ強いものの、どこか地味で、安心感を覚える作品でした。 リストラに怯える父親、自室に引きこもりながらも、向かいの家のDV被害にあっている主婦を救おうと奮闘する21歳の長男、元引きこもりで、今は宝石デザインの仕事をしている青年と不思議な付き合いを続ける女子高生の長女、そして、年下の大工と密かにデートを重ねる主婦の、4人の家族の物語が、それぞれの視点から語られます。 それは小さな物語ですが、だからこそ、切実な物語でもあります。 そこで、救い、ということが語られます。 引きこもりの長男を救いたい母親、向かいの家のDV被害者の主婦を救いたい長男、リストラが現実味を帯び、救いのない父親、宝石デザイナーの...
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騎士団長殺し

村上春樹の最新作、「騎士団長殺し」を一週間ほどかけて読み終わりました。 第1部と第2部、合わせて1,000ページを越える長編です。 私はいわゆるハルキストの自覚はありませんが、彼の小説はすべて読んでいます。 エッセイとかはほとんど読みませんが。 今回の作品は、春樹節炸裂で、相変わらず奇妙な物語が展開します。 しかし、「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」や「鼠三部作」など、20年以上前の作品がきらきら輝いているのに比べ、「1Q84」などもそうですが、自己の作品を焼き直しているような印象を受けました。 ビッグネームであるがゆえ、出版すれば売れるという驕りがあるのでしょうか。 文章も以前に比べて冗長になっているように思います。 しかし、そこは村上春樹。 つい、読んでしまいます。 この、つい読んでしまうという点が、巨匠の巨匠たる所以でしょうか。 お暇があったら読んで見てください。騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編村上 春樹新潮社騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編村上 春樹新潮社にほんブログ村 本・書籍ランキング
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楽にならざり

今日は無事出勤できました。 でもなんだか体が重くて、しんどい一日でした。 体調のせいか、精神状態もよろしくないようで、なんとなく、憂鬱な日でした。 どれだけこんな日を重ねたら、楽になるのでしょうねぇ。 はたらけど はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る 石川啄木の短歌です。 もちろん、私のような精神上の問題を詠ったものではないのかもしれませんが、なんとなく、思い出しました。 やっぱり若隠居するしか、私の精神が安穏でいられる道はなさそうです。
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ペコちゃん雛

今日から3月。 お雛様ももうすぐです。 私には三つ下の妹がいたので、実家には、当時流行っていた7段飾りだか8段飾りだかの立派なお雛様がありました。 今は姪のために飾っているようです。 我が家は子供がありませんが、不二家の景品で当たったペコちゃんとポコちゃんの小さなお雛様を食卓に飾ることを習いとしています。 お雛様だからと言って、華やかなイメージばかりではありません。 大体雛人形というもの、結構不気味です。 夜中に一人で見たら、人形たちが動き出しそうで、薄気味悪く感じるのではないでしょうか。 雛の頬の 冷たきに寄す 我が頬哉 自由律の俳人、尾崎放哉の句です。尾崎放哉全句集 (ちくま文庫)村上 護筑摩書房 お雛様の冷たい頬におのれの頬を寄せるとは、どこか不気味で、物寂しい感じがします。 もっとも、あの真っ白いお雛様の頬が暖かかったなら、よけい気持ち悪いでしょうねぇ。 私もお雛様のお祝いに、我が家のペコちゃん雛の頬を触ってみるとしましょうか。 にほんブログ村 人気ブログランキングへ
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