文学 民王(たみおう)
昨夜、「民王(たみおう)」という小説を読みました。民王 (文春文庫)池井戸 潤文藝春秋 知りませんでしたが、ドラマ化もされていたんですね。民王スペシャル詰め合わせ DVD BOX遠藤憲一,菅田将暉,高橋一生,本仮屋ユイカ,知英東宝 なかなか愉快な、SF仕立ての喜劇でした。 総理大臣とその大学生の息子が入れ替わってしまうというお話。 面白いのは、総理大臣のみならず、経済産業大臣と息子、野党第一党の党首とその娘も入れ替わってしまい、これはどうやら新手の政治的テロだと気付いて、公安や米国のCIAなどもからんでのドタバタ劇が繰り広げられるというもの。 池井戸潤という作家の小説を読むのは初めてで、面白くはありましたが、なんだか紋切型というか、人間の造型が単純すぎるような気がしました。 清濁あわせ持つような人間や、善人でありながらとてつもない悪や闇を抱えている人物を描き出すのが文学の役割の重要な一つであると思います。 この作品には、その点が決定的に欠けています。 エンターテイメントといえども、底の浅い小説では、ライトノベルと変わりありません。 いや、ライトノベルでも、もう少し深い小説が存在していま...