文学

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怖いお話

私は幼い頃から、不思議な話や怖い話が大好きで、それは今も変わりません。 考えてみれば、文学の祖とも言うべき神話は、洋の東西を問わず、不思議な物語の連続です。 また、源氏物語にしても、お能の曲にしても、古典文学の場合、多くが、死霊や生霊、化け物が登場します。 物語の本質は、この世ならぬものへの憧れや予感にあると言ってもよいでしょう。 明治維新以降、わが国文学は西洋の影響もあってか、不可思議なお話よりもシリアスな物語が増え、特に私小説などと呼ばれる分野は、貧乏自慢や自己憐憫のようなもので、文学の正統性が失われた感があります。 現在はシリアスなものから不思議なものまで様々あり、何が文学の正統かなんて、考える意味もなくなりました。 良い時代なんだろうと思います。 お好みの物語を堪能すれば良いのですから。 私がどうしてこれほど不思議な話や怖い話を好むのか、よく分かりません。 しかし、不思議な話や怖い話にこそ、人間の本質である、欲望や願望、恐怖、祈りなど、が隠されているように思うのです。 優れた物語に接すると、本当に幸せな気持ちになります。 だから私は、本であれば小説ばかり読みますし、映画であれば...
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さよならの代わりに

今日は午前中、都内の某ホテルで会議でした。 学界の重鎮に何人もご足労願い、私が所属する機関の研究の方向性を話し合う重要な会議。 疲れました。 午後、職場に戻るのが面倒なので、休暇を取って帰宅しました。 午後は読書。 貫井徳郎の小説。 「さよならの代わりに」というミステリ仕立てのSFを読みました。 なんとなく切ない、青春コメディといった趣。 気楽に読むことができました。 明日からまた職場に通わなければいけません。 いつまでも物語の世界にどっぷり浸かって生きていければ、こんな幸せなことはないのですが。さよならの代わりに (幻冬舎文庫)貫井 徳郎幻冬舎
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セーラー服歌人

最近、セーラー服歌人として話題の鳥居の歌集「キリンの子」を読みました。 鳥居と言う人、2歳のときに両親が離婚。 小学5年生の時には目の前で母親が自殺。 養護施設での虐待、ホームレス生活などを経験したという凄絶な過去をお持ちです。 中学生の頃には友人が電車にはねられて自殺する現場にも居合わせたそうです。 自身、自殺未遂やリストカットを繰り返したとか。 義務教育をまともに受けられなかったことを表現するためにセーラー服を着ているそうです。 年齢は不詳。 あおぞらが、妙に、乾いて、紫陽花が、路に、あざやか なんで死んだの いかにも稚拙な歌ですが、不思議と胸に迫ってきます。 冷房を いちばん強くかけ 母の体はすでに 死体へ移る これもうまいとは言えませんが、その情景を思い浮かべると、迫力があります。 それを、冷静に詠ってみせるところに、歌人の真骨頂があるのでしょう。 自身の自殺未遂を詠んだ歌では、 靴底に 砂や海藻沈めたまま 入水後の冬 迎えたブーツ というのが印象的です。 虐待を詠んだ歌として、 理由なく 殴られている 理由なく トイレの床は 硬く冷たい などがあり、慄然とさせられます。 しゃ...
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わたしたちが孤児だったころ

昨夜、カズオ・イシグロの「わたしたちが孤児だったころ」を一気に読了しました。わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)Kazuo Ishiguro,入江 真佐子早川書房 この作者に特有の、どこか切ない感じや、時の流れとともに必然的に訪れる喪失感のようなものを強く感じました。 第一次大戦後。 クリストファー・バンクスは上海の租界で生まれ育ちます。 前半はわりとゆっくりした感じで、隣に住む日本人少年との友情などが描かれます。 ただし、それはクリストファーの追憶という形を通して。 したがって、記憶の錯誤などがあり、必ずしも真実ではありません。 クリストファーが10歳の頃、両親が相次いで謎の失踪を遂げ、彼は孤児になってしまいます。 やむを得ず、英国の伯母のもとに引き取られます。 長じて、彼は探偵になります。 それは、やがて失踪した両親を探すためでもあったのでしょうか。 彼はいくつもの難事件を解決して名声を得、ロンドンの社交界で知られた存在になります。 そしてついに、日中戦争まっただ中の上海に戻り、両親を取り戻すべく、無謀ともいえる捜査に乗り出すのです。 クリストファーの印象はどこかおぼ...
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あじさい

今日で5月も終わり。 そろそろ梅雨でしょうか。 梅雨の後には、過酷な夏がやってきます。  紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘 正岡子規の句です。   日々色を変える紫陽花を擬人化したものかと思います。 人というもの、昨日には誠実であり、またAという相手には真面目に接していても、明日には嘘をつき、Bという人を裏切ったりします。 人と人との付き合いというのは難しいものです。 そうはいっても、概して誠実で真面目、という人もいれば、100人中99人から不誠実で信用できないと思われる人もいます。  概ね日本人は親切で誠実だということになっていますが、それも心々。 受け取る人によって異なるでしょう。 日々乱高下する私の狂った精神が、紫陽花のようではなく、穏やかであり続けることを望みます。にほんブログ村人文ランキング
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