文学

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オールド・テロリスト

今日から4月だというのに、冷たい雨が降っています。 せっかくの土曜日だというのに。 で、読書など楽しみました。 村上龍の長編「オールド・テロリスト」です。オールド・テロリスト村上 龍文藝春秋 簡単に言ってしまえば、歪んだ現代日本のシステムをリセットしようと、老人たちが過激なテロを繰り広げるというお話。 村上龍らしいといえばこれほどらしい作品はないでしょう。 抜群に面白いエンターテイメントに仕上がっています。 私は、村上龍の頂点は「五分後の世界」かなと思っています。 多くは語りませんが、これは間違いなく名作です。 その後、ゆるやかに筆が衰えてきたような。五分後の世界 (幻冬舎文庫)村上 龍幻冬舎 「オールド・テロリスト」は久々の快作です。 ただ、どこか冗長というか、繰り返しが多い感じは否めません。 扱っている題材から、何か社会派のような意味を汲み取る必要はないでしょう。 単に面白いエンターテイメントとして楽しむのが肝要かと思います。にほんブログ村 本・書籍ランキング
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ノスタルジア

午前中、小池真理子先生の小説「ノスタルジア」を読みました。 文庫本で350ページほどですが、一気に読んでしまいました。 小池真理子先生というと、恋愛譚が多いような気がしますが、モダン・ホラーや幻想譚、怪異譚など、幻想文学と呼ぶべき作品も残しています。 「ノスタルジア」は、恋愛幻想文学とでも言うべき趣の作品です。ノスタルジア (講談社文庫)小池 真理子講談社 22歳から31歳までの9年間、父親と同い年で作家の雅之と道ならぬ恋に生きた繭子。 雅之の突然死で不倫相手と死に別れ、その後15年間、東京郊外で一人ひっそりと暮らしています。 それは今を生きているというより、激しい恋に溺れた9年間の思い出に生きているかのごとくです。 突然、雅之の息子、俊之を名乗る男から、父親の真実の姿を知りたいので会いたい、という手紙が届きます。 会ってみると、息子は父親と瓜二つ。 ちょうど雅之が亡くなった46歳。 繭子も46歳になっています。 そして、まるで雅之との恋愛を反芻するごとく、繭子と俊之は恋に落ちていくのです。 ゆっくりとしたペースで、物語は進みます。 それはまるで、中年男女が、性急に異性を求める能力を失...
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民王(たみおう)

昨夜、「民王(たみおう)」という小説を読みました。民王 (文春文庫)池井戸 潤文藝春秋 知りませんでしたが、ドラマ化もされていたんですね。民王スペシャル詰め合わせ DVD BOX遠藤憲一,菅田将暉,高橋一生,本仮屋ユイカ,知英東宝 なかなか愉快な、SF仕立ての喜劇でした。 総理大臣とその大学生の息子が入れ替わってしまうというお話。 面白いのは、総理大臣のみならず、経済産業大臣と息子、野党第一党の党首とその娘も入れ替わってしまい、これはどうやら新手の政治的テロだと気付いて、公安や米国のCIAなどもからんでのドタバタ劇が繰り広げられるというもの。 池井戸潤という作家の小説を読むのは初めてで、面白くはありましたが、なんだか紋切型というか、人間の造型が単純すぎるような気がしました。 清濁あわせ持つような人間や、善人でありながらとてつもない悪や闇を抱えている人物を描き出すのが文学の役割の重要な一つであると思います。 この作品には、その点が決定的に欠けています。 エンターテイメントといえども、底の浅い小説では、ライトノベルと変わりありません。 いや、ライトノベルでも、もう少し深い小説が存在していま...
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最後の家族

久しぶりに村上龍の小説を読みました。 「最後の家族」です。最後の家族 (幻冬舎文庫)村上 龍幻冬舎 学生の頃は、「コインロッカー・ベイビーズ」、「愛と幻想のファシズム」、「五分後の世界」など、壮大でメッセージ性の強い村上龍の小説をよく読みましたが、いつの頃からか、ほとんど読まなくなりました。 なんでだかは分かりません。 骨太な物語が、私を疲れさせたのかもしれません。 「最後の家族」はメッセージ性こそ強いものの、どこか地味で、安心感を覚える作品でした。 リストラに怯える父親、自室に引きこもりながらも、向かいの家のDV被害にあっている主婦を救おうと奮闘する21歳の長男、元引きこもりで、今は宝石デザインの仕事をしている青年と不思議な付き合いを続ける女子高生の長女、そして、年下の大工と密かにデートを重ねる主婦の、4人の家族の物語が、それぞれの視点から語られます。 それは小さな物語ですが、だからこそ、切実な物語でもあります。 そこで、救い、ということが語られます。 引きこもりの長男を救いたい母親、向かいの家のDV被害者の主婦を救いたい長男、リストラが現実味を帯び、救いのない父親、宝石デザイナーの...
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騎士団長殺し

村上春樹の最新作、「騎士団長殺し」を一週間ほどかけて読み終わりました。 第1部と第2部、合わせて1,000ページを越える長編です。 私はいわゆるハルキストの自覚はありませんが、彼の小説はすべて読んでいます。 エッセイとかはほとんど読みませんが。 今回の作品は、春樹節炸裂で、相変わらず奇妙な物語が展開します。 しかし、「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」や「鼠三部作」など、20年以上前の作品がきらきら輝いているのに比べ、「1Q84」などもそうですが、自己の作品を焼き直しているような印象を受けました。 ビッグネームであるがゆえ、出版すれば売れるという驕りがあるのでしょうか。 文章も以前に比べて冗長になっているように思います。 しかし、そこは村上春樹。 つい、読んでしまいます。 この、つい読んでしまうという点が、巨匠の巨匠たる所以でしょうか。 お暇があったら読んで見てください。騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編村上 春樹新潮社騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編村上 春樹新潮社にほんブログ村 本・書籍ランキング
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