文学

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微笑む人

今朝、自室のエアコンが壊れたので、修理を頼みました。 室外機が動いていないとのこと。 もう10年近く経つエアコンで、修理するより買い換えたほうが安いと言われ、仕方なく家電量販店でエアコンを購入しました。 設置工事は12月11日の日曜日。 それまでは、自室は使わず、リビングで過ごそうと思っています。 お昼はきのことベーコンのぺペロンチーノを食し、珈琲などいただいてから自宅マンションに戻り、小説を読みました。 貫井徳郎の「微笑む人」を一気に読みました。 殺人劇ですから、ミステリということになるのでしょうが、不思議な構成の作品でした。 小説家の「私」が事件を取材し、ノン・フィクションにまとめるまでの過程を描く、という形になっています。 物語の冒頭、妻子を殺した犯人が逮捕され、犯人の真実を探るため、犯人の過去を、小学生時代にいたるまで追っていく、というお話。 いきなり、犯人は不可解な動機を口にし、マスコミが大騒ぎ。 本が増えて家が手狭になったため、妻子を殺せば本がきれいに整理できるから殺した、と言うのです。 そんな動機あり得ますか。 しかも犯人は常に微笑みを絶やさず、温厚で、誰からも慕われる誠...
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リバース

今日は朝から都内の貸し会議室で会議。 疲れました。 午後は職場に戻らなくて良いとのことで、帰宅して読書を楽しみました。 読んだのは、「リバース」。 ホラーサスペンスということになるんでしょうか。 長野の小さな村の教会で育った幸子。 高校を卒業すると、東京にあこがれて上京し、広尾の豪邸で住み込みの家政婦として働き始めます。 ハンサムな外科医、美しい妻、聡明で美少女の双子の姉妹。 理想的な家庭での生活に胸躍らせる幸子でしたが、やがて、家族には暗くて深い闇があることに気づき、といったお話。 ホラーサスペンスを得意とする作家は、えてして物語を作る才能に長けていても、文章が下手なことが多いものです。 しかし、この小説の作者、五十嵐貴久という人、抜群に文章がうまくて、読ませます。 この作家の小説を読むのは初めてですが、続けて読んでみようかと思います。リバース (幻冬舎文庫)五十嵐 貴久幻冬舎にほんブログ村 本・書籍 ブログランキングへ
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ひとり雪みる

昨日は雪が降り、ひどく冷え込みました。 今日も厳しい寒さ。 11月でこれは異常です。 昨夜は、リビングのカーテンを開け、部屋を暗くして熱燗で雪見酒を楽しみました。 そこで、種田山頭火のこんな句はいかがでしょう。  ひとり雪みる 酒のこぼれる  寂しい感じと、雪見酒を楽しむ楽しい感じ、両方が感じられます。山頭火句集 (ちくま文庫)村上 護筑摩書房 もう雪は融けてしまいましたから、今夜はこんな贅沢は味わうべくもありません。 それにしても11月でこの雪では、この冬はどれだけ雪が降るのでしょうね。 今から戦々恐々としています。にほんブログ村 人文 ブログランキングへ
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プリズム

今日はどんよりと曇り、寒い日でした。 自宅のプリンターが全く動かなくなってしばらくたつので、近所の大手家電量販店でプリンターを購入し、接続しました。 もうじき年賀状の季節ですからね。 宛名書きを手書きで行うなんて、考えただけでもぞっとします。 それ以外は、自宅で大人しく読書をして過ごしました。 読んだのは、貫井徳郎の「プリズム」。プリズム (創元推理文庫)貫井 徳郎東京創元社 ちょっと変わった構成のミステリーでした。 小学校の若い女教師が自室で死んでいるのが見つかります。 死因は置時計の角で頭を殴られたらしいこと。 この作品は、4人の関係者が、それぞれに推理をめぐらし、別々の結論に至る、という構成になっています。 4つの章で、それぞれ語り手が代わり、連作のような形式になっています。 しかも推理する人物それぞれが、被害者に全く異なる印象を抱いており、ちょっと、芥川龍之介の「藪の中」を連想させます。 立場が代われば見方も変わる、ということを痛感させられます。藪の中 (講談社文庫)芥川 龍之介講談社 まず教え子の男子小学生が推理。 教え子にとっては、被害者は児童の気持ちが分かってくれる、やさ...
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海が引く

秋も深まってまいりました。 今日は朝から冷たい雨。 冬が死の季節だとするなら、秋は死を予感させる頃。 移ろいゆく四季に、人生をなぞらえるのは、季節が豊かなわが国民であってみれば、自然なことでしょう。 秋の暮 大魚の骨を 海が引く 西東三鬼の句です。西東三鬼全句集三橋 敏雄沖積舎 大魚の骨とは、すでに亡くなった魚の骨。 それが海に洗われているというのです。 老境に達した俳人は、その姿に自身の死と、死がもたらすであろう再生を夢見ていたのでしょうか。 壮大な感じがする句ですね。 今年は一つ下の後輩が心不全で突然死し、私もまた、おのれの死を想わずにはいられませんでした。 輪廻転生が、また、成仏が事実なら、死は新たな生への始まりとも言えるでしょう。 後輩は中有の闇を越えて、新たに輪廻の輪に入ったのでしょうか。 あるいは見事涅槃に至り、輪廻の輪から抜け出したのでしょうか。 誰にも分からないことです。 上の句は、誰にもわからない生死の問題を、壮大な景色のなかに切り取ってみせたような感じがします。 黙示的とでも言いましょうか。 私も独り、秋の海で壮大な夢想に浸りたくなりました。にほんブログ村 芸術・人...
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