文学

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ドーン

平野啓一郎の長編、「ドーン」を読み終わりました。 重い小説でした。ドーン (講談社文庫)平野 啓一郎講談社 この人が「日蝕」でデビューし、同作で芥川賞を受賞したときは、大変な才能が出てきたものだと思うと同時に、猛烈な嫉妬を感じました。日蝕・一月物語 (新潮文庫)平野 啓一郎新潮社 まだ20代だった私は、いつかは小説で食っていきたいと思っていたので、当時、優れた小説を読むと必ず嫉妬を感じたものです。 それは精神障害を発症した35歳の頃まで続きましたね。 「ドーン」の舞台は近未来の2030年代半ば。 NASAは人類史上初めて、有人火星探査を成功させます。 しかし、火星探査の様子はほとんど描かれません。 日本人クルーの明日人を主人公に、恋愛、不義密通、大統領選をめぐる陰謀、社会的悪、宇宙飛行士の精神といった問題が重層的に描かれます。 ほとんど詰め込みすぎ、くらいに。 この小説でもっとも重要なテーマになっているのは、分人(ディヴィジュアル)という概念。 人間は、妻との関係、職場での関係、親子兄弟や友人との関係など、様々な関係のなかで、核となる人格=インディヴィジュアルの他に、様々な分人=ディヴ...
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日短(ひみじか)

ずいぶん日が短くなりました。 定時で帰っても、職場を出る頃は真っ暗です。 私の職場は郊外にあるので、都会のネオンが恨めしくもあります。 そういえば、なぜ夜長(よなが)は秋の季語で、日短(ひみじか)は冬の季語なのでしょうね。 両方冬の季語でも良さそうね気がします。 浅学非才の身であれば、その理由は分かりません。 日短や かせぐに追ひつく 貧乏神 小林一茶の句です。 この人らしい、生活感を感じさせますね。 一茶句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)小林 一茶角川学芸出版 今週末には冬のボーナスが支給される予定ですが、私にも貧乏神が取りついているようで、なかなかお金は貯まりません。 せっせと働いて、定年後は再雇用など希望せずに遊んで暮らしたいものです。にほんブログ村 人文 ブログランキングへ
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微笑む人

今朝、自室のエアコンが壊れたので、修理を頼みました。 室外機が動いていないとのこと。 もう10年近く経つエアコンで、修理するより買い換えたほうが安いと言われ、仕方なく家電量販店でエアコンを購入しました。 設置工事は12月11日の日曜日。 それまでは、自室は使わず、リビングで過ごそうと思っています。 お昼はきのことベーコンのぺペロンチーノを食し、珈琲などいただいてから自宅マンションに戻り、小説を読みました。 貫井徳郎の「微笑む人」を一気に読みました。 殺人劇ですから、ミステリということになるのでしょうが、不思議な構成の作品でした。 小説家の「私」が事件を取材し、ノン・フィクションにまとめるまでの過程を描く、という形になっています。 物語の冒頭、妻子を殺した犯人が逮捕され、犯人の真実を探るため、犯人の過去を、小学生時代にいたるまで追っていく、というお話。 いきなり、犯人は不可解な動機を口にし、マスコミが大騒ぎ。 本が増えて家が手狭になったため、妻子を殺せば本がきれいに整理できるから殺した、と言うのです。 そんな動機あり得ますか。 しかも犯人は常に微笑みを絶やさず、温厚で、誰からも慕われる誠...
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リバース

今日は朝から都内の貸し会議室で会議。 疲れました。 午後は職場に戻らなくて良いとのことで、帰宅して読書を楽しみました。 読んだのは、「リバース」。 ホラーサスペンスということになるんでしょうか。 長野の小さな村の教会で育った幸子。 高校を卒業すると、東京にあこがれて上京し、広尾の豪邸で住み込みの家政婦として働き始めます。 ハンサムな外科医、美しい妻、聡明で美少女の双子の姉妹。 理想的な家庭での生活に胸躍らせる幸子でしたが、やがて、家族には暗くて深い闇があることに気づき、といったお話。 ホラーサスペンスを得意とする作家は、えてして物語を作る才能に長けていても、文章が下手なことが多いものです。 しかし、この小説の作者、五十嵐貴久という人、抜群に文章がうまくて、読ませます。 この作家の小説を読むのは初めてですが、続けて読んでみようかと思います。リバース (幻冬舎文庫)五十嵐 貴久幻冬舎にほんブログ村 本・書籍 ブログランキングへ
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ひとり雪みる

昨日は雪が降り、ひどく冷え込みました。 今日も厳しい寒さ。 11月でこれは異常です。 昨夜は、リビングのカーテンを開け、部屋を暗くして熱燗で雪見酒を楽しみました。 そこで、種田山頭火のこんな句はいかがでしょう。  ひとり雪みる 酒のこぼれる  寂しい感じと、雪見酒を楽しむ楽しい感じ、両方が感じられます。山頭火句集 (ちくま文庫)村上 護筑摩書房 もう雪は融けてしまいましたから、今夜はこんな贅沢は味わうべくもありません。 それにしても11月でこの雪では、この冬はどれだけ雪が降るのでしょうね。 今から戦々恐々としています。にほんブログ村 人文 ブログランキングへ
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