文学

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冬至

今日は冬至だそうですね。 一年で最も陽が短い日。 でも明日から少しづつ陽が伸びると思えば、希望が持てます。 柚子湯に入って、かぼちゃを食べる日でもありますが、ただの平日に過ぎない今日、我が家はそんな優雅なことが出来るはずもありません。 ゆげかをる 柚子湯にしづみ 萎びたる 体撫づれば 母のおもほゆ  窪田空穂の歌です。 40代半ばの私の肉体は、萎びたというほどではありませんが、青年のような張りはもちろんありません。 最近よく近所のコナミスポーツクラブでサウナや大きな風呂を楽しみますが、肉体は人それぞれ。 いかにもスポーツクラブらしく、中年から初老の年頃でも引き締まった体の人もいれば、おそらく私と同様にスポーツ施設は利用せず、温浴施設だけを利用しているらしい見事な太鼓腹のおっさんや、高齢ゆえか痩せて萎びてしまったおじいさんもいます。 公衆浴場に行くと、年齢による体の変化を感じさせられます。 子供を公衆浴場に連れていくことも、人は必ず老い、肉体は衰えるのだということを実地に見聞させるのも、教育になるかもしれませんね。 にほんブログ村人気ブログランキングへ
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命売ります

最近ちくま文庫から復刊された三島由紀夫のエンターテイメント、「命売ります」を読みました。命売ります (ちくま文庫)三島 由紀夫筑摩書房 三島由紀夫の作品は、文庫で読めるものはすべて読んでおり、その中には同じくエンターテイメントと言って良い「永すぎた春」や「美徳のよろめき」なども含まれています。永すぎた春 (新潮文庫)三島 由紀夫新潮社美徳のよろめき (新潮文庫)三島 由紀夫新潮社 しかしそれらと今作が決定的に異なっているのは、今作が痛快な冒険小説風な仕上がりになっており、抜群に面白いことでしょう。 新聞の活字がすべてゴキブリに見えたことに絶望して睡眠薬の大量服薬で自殺を試みる青年。 しかしそれは未遂に終わります。 生還した青年は、命は失ったものとして、命売ります、という広告を新聞に掲載します。 ここからじつに怪しげな依頼主が次々に現れ、命がけの仕事を依頼しますが、どういうわけか生き延びて、一財産築いてしまいます。 しかし、彼の存在に危険を感じた秘密結社が彼を殺害しようと試みるに及んで、死への恐怖を喪ったはずの青年に、生きたいという意欲を生ぜしめさせるのです。 それからの彼の生活は、落魄...
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のんびり

今日は休暇を取りました。 本を読んだりして、のんびり過ごしました。 読んだのは、「我が家のヒミツ」。我が家のヒミツ奥田 英朗集英社 なんだか少し筆が衰えたような印象を受けました。 誰でも年を取って、衰えていくんですねぇ。 この世の真実とはいえ、少し、寂しくなりました。
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艶書

メールだのSNSだのといった手段が発達してきましたが、恋の告白をするのに、昔懐かしい恋文という手段は、廃れてしまったのでしょうか? 愛だの恋だのといった艶っぽい話を失って久しい私には、近頃の事情が分かりません。 しかし少なくとも、私が若い時分には、まだ恋文は、重要な告白の手段であったように思います。 古語では、艶書(えんしょ又はえんじょ)とも呼んだ恋文。 ラブレターと言ったほうが通りが良いかもしれませんね。 わが国の浪漫文学の奇才、泉鏡花の掌編に、「艶書」という小説があります。艶書泉 鏡花メーカー情報なし 泉鏡花らしい、流麗な文体と、テンポの良い会話が特徴の、幻想的な作品です。 ある病院に夫の見舞いに行くご婦人。 その美しさに見惚れたお見舞い帰りの男が声をかけます。 病院の近くに狂人がいて、むやみに石を投げる、と警告するのです。 ここから、男女の間に不思議な会話が交わされます。 男がある人妻からの艶書を紛失し、困っていたところ、ご婦人がそれを拾ったというのです。 中身を見たかどうかを気にする男。 女は最初しらばっくれていますが、ほどなくして涼しい顔で「拝見しましたよ」と応えます。 それ...
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白き師走

早いもので師走ももう10日。 今年も残りわずかとなりました。 明日は職場の忘年会。 そんなくだらないことを一つ一つこなしながら、月日は流れていくのですねえ。 風吹て 白き師走の 月夜哉 正岡子規の句です。 師走の慌ただしさとともに、冬の美がうまく詠みこまれていて、私が好む句です。 熱燗が旨い季節でもあります。 今宵、熱燗をちびちびやりながら、白き師走の夜を楽しむといたしましょう。にほんブログ村人気ブログランキングへ
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