文学

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初雪

今朝、首都圏では小雪がちらつきました。 初雪です。 おかげでひどく寒い日となりました。 限りなく 降る雪何を もたらすや 西東三鬼の句です。 もちろん、限りなく降るような雪ではなく、ほんのわずかばかりの雪です。 それでも、なんとなく、上の句が頭に浮かびました。 雪は何をもたらすのでしょうね。 私にとってはもっぱら雪見酒ですが、雪は平凡な町を幻想的なものに変貌させる力を持っているようです。 この雪が私の精神に何をもたらすのか、見極めたいものです。 にほんブログ村人文 ブログランキングへ
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東京物語

小津の映画とは関係ありません。 奥田英朗の連作短編集のタイトルです。 1978年4月4日、著者がモデルだと思われる主人公、田村久雄は、18歳でふるさと、名古屋を後にして東京に出てきます。 この日一日を描いた短編から、1989年11月10日、ベルリンの壁崩壊の日、30歳を目前にした一日を切り取って見せた短編まで、主に1980年代の青春物語が、連作短編の形で紡ぎだされていきます。 ユーモア小説というジャンルに入るのでしょうが、失われた時を追慕する郷愁が感じられ、人情小説の趣きを呈しています。 11月10日、男ばかりで集まり、翌日結婚する仲間の前祝いを開いている中、青春が終り、人生が始まる、などと小癪なことをつぶやきつつ、青春の終わりを迎えた男たちがテレビでベルリンの歓喜の様子を見守るラストシーンは極めて暗示的です。 私は1969年生まれ。 1970年代の終りから80年代の終わりにかけて、時代を奮闘する若者の物語に、深い感銘を受けました。東京物語 (集英社文庫)奥田 英朗集英社にほんブログ村 本・書籍 ブログランキングへ
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モナドの領域

今日から年末年始の6連休。 今日はのんびり読書などして過ごしました。 御大、筒井康隆先生の新作「モナドの領域」を読みました。 メタフィクションもしくはパラフィクションの要素を取り込んだ哲学的で難解な小説でした。 GODと呼ばれる神以上の存在を自称する者が登場し、この世界と隣接する他の世界との綻びを論理学的に修繕するさまを、ミステリー仕立てで描いた作品です。 そこそこ読めますが、御大の作品を30年以上にわたって読み続けた私からすると、もはや筆の衰えは隠しようがありません。 痛々しくすら感じます。 引退の潮時ではないでしょうか。モナドの領域筒井 康隆新潮社
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冬至

今日は冬至だそうですね。 一年で最も陽が短い日。 でも明日から少しづつ陽が伸びると思えば、希望が持てます。 柚子湯に入って、かぼちゃを食べる日でもありますが、ただの平日に過ぎない今日、我が家はそんな優雅なことが出来るはずもありません。 ゆげかをる 柚子湯にしづみ 萎びたる 体撫づれば 母のおもほゆ  窪田空穂の歌です。 40代半ばの私の肉体は、萎びたというほどではありませんが、青年のような張りはもちろんありません。 最近よく近所のコナミスポーツクラブでサウナや大きな風呂を楽しみますが、肉体は人それぞれ。 いかにもスポーツクラブらしく、中年から初老の年頃でも引き締まった体の人もいれば、おそらく私と同様にスポーツ施設は利用せず、温浴施設だけを利用しているらしい見事な太鼓腹のおっさんや、高齢ゆえか痩せて萎びてしまったおじいさんもいます。 公衆浴場に行くと、年齢による体の変化を感じさせられます。 子供を公衆浴場に連れていくことも、人は必ず老い、肉体は衰えるのだということを実地に見聞させるのも、教育になるかもしれませんね。 にほんブログ村人気ブログランキングへ
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命売ります

最近ちくま文庫から復刊された三島由紀夫のエンターテイメント、「命売ります」を読みました。命売ります (ちくま文庫)三島 由紀夫筑摩書房 三島由紀夫の作品は、文庫で読めるものはすべて読んでおり、その中には同じくエンターテイメントと言って良い「永すぎた春」や「美徳のよろめき」なども含まれています。永すぎた春 (新潮文庫)三島 由紀夫新潮社美徳のよろめき (新潮文庫)三島 由紀夫新潮社 しかしそれらと今作が決定的に異なっているのは、今作が痛快な冒険小説風な仕上がりになっており、抜群に面白いことでしょう。 新聞の活字がすべてゴキブリに見えたことに絶望して睡眠薬の大量服薬で自殺を試みる青年。 しかしそれは未遂に終わります。 生還した青年は、命は失ったものとして、命売ります、という広告を新聞に掲載します。 ここからじつに怪しげな依頼主が次々に現れ、命がけの仕事を依頼しますが、どういうわけか生き延びて、一財産築いてしまいます。 しかし、彼の存在に危険を感じた秘密結社が彼を殺害しようと試みるに及んで、死への恐怖を喪ったはずの青年に、生きたいという意欲を生ぜしめさせるのです。 それからの彼の生活は、落魄...
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