文学

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ゆるめば死ぬる

今日は二十四節季で言う大暑。 「暦便覧」には「暑気いたりつまりたるゆえんなればなり」とあります。 一年中で最も暑い時季。 この前後、ウナギを食す習慣があり、今日のお昼はうな重を頂きました。  念力の ゆるめば死ぬる 大暑かな 村上鬼城の句です。 村上鬼城の世界松本 旭角川書店 いかにも不気味な句ですねぇ。 ひどい今年の暑さ、常人といえども、もし肝心の念力のゆるむ者がいたら、その者は直ちに病んで死んでしまうに違いない、と言ったほどの意かと思われます。 念力がゆるむとは、びっくりするくらいの暑さに気力が萎えて、ということでしょう。 エアコンが普及した現代では、ここまでの過酷な暑さは想像できません。  しかし、熱中症で命を落とす人が、わずかですが毎年出ます。 してみると、上の句、あながち昔の話とばかりも言えないのかもしれません。 にほんブログ村 人気ブログランキングへ
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夏籠や

いよいよ猛暑がやってきました。 職場も自宅もエアコンが効いているうえ、通勤も車なので、正直、ほとんど暑さを感じない夏が、20年ばかり続いています。 そういう意味では、現代の内勤者には、夏らしい夏は無いのかもしれませんね。 そういえば、夏の光に照らされて、毎日弁当を入れているバッグ、大分汚れていることに気づきました。 なんだか侘しい安サラリーマンを地で行っているようで、侘しくなりました。 夏籠や 月ひそやかに 山の上 村上鬼城の句です。 夏籠とは、夏のバッグ。 今風に言うならトートバッグということになりましょうか。 涼しげな夏籠と、妖しい光を放つ月の光との対比が面白いですねぇ。 でもあんまり強烈な暑さは感じられないというか、どちらかと言えば涼しげでさえあります。 わが国は夏が過酷で、建物にしても夏を快適に過ごせるように作られていますが、一方夏は儚くもあります。 冬のようなしつこさは無く、むしろすぐに秋になってしまうイメージです。 それが夏に激しくも物悲しげな彩りを添えるのかもしれません。
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イン・ザ・プール

名医なんだか藪なんだかよく分からない精神科医のもとを訪れる人々を描いた連作短編集「イン・ザ・プール」を読みました。イン・ザ・プール (文春文庫)奥田 英朗文藝春秋 伊良部総合病院の跡取り息子、伊良部医師は精神科医。 しかしそこを訪れる患者はほとんどいません。 伊良部医師はデブで色白で不潔感漂う中年男。 そこに、平凡な不定愁訴から、世にも珍しい起ちっぱなしに苦しむ陰茎強直症のサラリーマン、世の中の男がみなストーカーに思ってしまうモデル、携帯依存症の高校生などなどの患者が登場し、可笑しいやら切ないやら、楽しいユーモア小説集に仕上がっています。 伊良部医師の活躍を描いた続編に「空中ブランコ」という作品集があるようなので、そちらも読んでみようかと思います。空中ブランコ (文春文庫)奥田 英朗文藝春秋 いやぁ、笑いました。 喜劇は精神に良いようです。
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ザ・ベイ

昨夜はわりとよくできたパニック映画を鑑賞しました。 「ザ・ベイ」です。 米国の海辺の田舎町。 ある時、魚が湾内で大量死しているのが発見されます。 どうやら新種の寄生生物の仕業のようです。 ついに人間が感染。 一気に何百人という単位で感染が広がり、しかも体中に水ぶくれのような発疹ができて、その日のうちに亡くなってしまうという怖ろしい病気です。 寄生虫は小さな幼虫の状態で人間の体に入り、内部の肉を食いながら成長し、大きくなると7センチにもなるのです。 感染者がパッと見ゾンビに見える点や、なんとなく安っぽい感じを差し引いても、スピード感があり、ぐいぐいと引き込まれます。 何より怖ろしいのは、米国政府の対応。 田舎町につながる道路を全て封鎖し、誰も感染地帯から逃げられないようにしてしまいます。 町の医師が政府の保健機関に必死でテレビ電話を使って応援要請をしますが、保健機関の回答は、すべての患者を置き去りにして逃げろ、というもの。 しかし、医師本人が自身の体に浮かんだ発疹を示すと、保健機関は沈黙します。 そこで死ねということだと理解した医師は、体が動く限り、患者の撮影を続けます。 後世にその田舎...
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「灰色の虹」あるいは天意

昨夜、貫井徳郎のミステリーを読了しました。 「灰色の虹」です。灰色の虹 (新潮文庫)貫井 徳郎新潮社 顔に大きな痣があり、性格も内気で、彼女が出来たことがないサラリーマン。 しかし、同じ部署の、やはり内気で、お世辞にも美人とは言えない女性と職場の宴会で隣り合い、言葉を交わしたことから、二人は交際を始めます。 二人とも恋愛沙汰は初めて。 初めての喜びに、二人とも舞い上がり、至福の日々を過ごします。 しかしある時、日頃から部下に当たり散らして嫌われている上司が、彼女の悪口を言ったことからサラリーマンがブチ切れ、襟を掴んで謝罪を要求するという小さな事件が勃発。 反省して翌日どうしようかと思案していたところ、上司が何者かに殴られ、頭を地面に打って死亡するという事件が発生。 サラリーマンは無実の罪で逮捕されてしまいます。 威圧的な警察にびびりまくり、検察が無実を見抜いてくれるだろうと期待を寄せて嘘の自白をしてしまいます。 結局、検察も有罪と認定し、裁判に。 最高裁まで争いますが、有罪が確定。 男は7年の懲役に服します。 出所後、彼を待っていたのは母親だけ。 父親は出所前にうつ病を患って自殺、姉も...
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