文学 謎解き+心理描写
午前中は散髪に行ってさっぱりし、午後は読書などして過ごしました。 読んだのは「後悔と真実の色」という思わせぶりなタイトルのミステリーです。 都内で、若い女を狙った連続殺人事件が発生。 人差し指が切り取られ、持ち去られるという猟奇的な特徴を持っています。 犯人に迫るのが警視庁捜査一課の切れ者刑事です。 この小説がユニークなのは、犯人捜査の途中で切れ者刑事が不祥事を起こし、退職させられてしまうこと。 切れ者刑事は妻から逃げるように家出し、ホームレスにまで落ち込んでしまいます。 指蒐集家を自称する犯人や多くの刑事の心理描写が巧みに描かれます。 謎解きと心理的葛藤を両方追って、まずまず成功しています。 特に切れ者刑事が退職に追い込まれた終盤以降、物語は加速していき、息をもつかせぬ迫力です。 文庫本で650ページを超す大作ながら、一気に読ませる力技は見事です。 警視庁と所轄署の暗闘、また、捜査一課とそれ以外の部署との対立が描かれ、これが実際に近いとすると、組織の不備なのではないかと思わせるほどです。 まぁ、私の職場でもセクショナリズムに凝り固まったような愚かな人がいるくらいですから、立場の違いに...