文学

スポンサーリンク
文学

春雨

今日は気温が高く、雨が降っています。 すっかり春雨の風情です。 春の強い陽射しには瘴気が強く漂って、私をして沈ませますが、春雨には瘴気を消す効果があるように感じます。 春雨や ものがたりゆく 簑と傘   与謝蕪村  春雨を詠んだ句で私が最も愛好するものです。 春雨の中を、蓑を被った者と傘をさした者が楽しげに語らいながら歩く姿には、ほのぼのとした風情が感じられ、私の心も癒されます。蕪村俳句集 (岩波文庫)尾形 仂岩波書店郷愁の詩人 与謝蕪村 (岩波文庫)萩原 朔太郎岩波書店 正岡子規の、 くれなゐの 二尺のびたる 薔薇の芽の 針やはらかに 春雨のふる という和歌のほうが、春雨を詠んだ和歌や俳句の中では有名かもしれませんね。子規歌集 (岩波文庫)土屋 文明岩波書店 どちらも、春雨を、春の足音が感じられる好意的なものととらえているように感じられます。 筒井康隆の「敵」という小説では、定年退職して独り悠々自適の生活をおくる元大学教授の日常がつづられています。敵 (新潮文庫)筒井 康隆新潮社 少し頭が弱くなってきた老学者、「春になったらみんなが来てくれるなぁ」という意味のセリフを繰り返し独りごち...
文学

雨水

今日は二十四節季の雨水。 雪が雨に変る頃。 「暦便覧」では、陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり、とされています。 今日、明日は数日前まで雪の予報でしたが、雨水と言うとおり、雪は回避されました。 誰の句でしたか、何かの俳句雑誌で見たように思いますが、 心解く 時くれといふ 雨水かな  という意味深長な句が印象に残っています。   季節の変わり目に、心がからまってしまったのでしょうか。 私はこの時季にそんな心境になることはありませんねぇ。 人それぞれ、物思いの季節は異なると言うことでしょうか? 私はそろそろ足音が聞こえてきた春が持つ強い瘴気を、今から怖れています。にほんブログ村 人文 ブログランキングへ
文学

雪見酒

ここ数日は雪に悩まされることなく、快適に車通勤を続けています。 しかし予報では、明日から明後日にかけて雪になる可能性があるとか。 厭ですねぇ、 なにしろ首都圏は雪に弱く、電車は止まるわ、タクシーは休んじゃうわ、立ち往生する車が続出するわ、歩行者は転ぶわ、碌な事がありません。 私も2回転倒しました。 雪と言えば雪見酒という優雅な楽しみもありますが、サラリーマンにとって平日の雪は地獄の様相を呈します。 なんだか今年の雪の降り方は異常です。 雪見酒 ひとくちふくむ ほがひかな  飯田蛇笏 ほがひとは、ことほぐのほぐで、祝う、といったほどの意です。新編飯田蛇笏全句集飯田 蛇笏,飯田蛇笏生誕百年記念実行委員会角川書店 いかにも幸せでお気楽な雪見酒を詠んで、なんとなく楽しい気分になる句です。 通勤さえうまくいけば、近いうちに楽しい雪見酒が楽しめそうです。 にほんブログ村 人文 ブログランキングへ
文学

鋼の精神

雪が降りしきるなか、定時まで仕事をし、帰宅の途に着きました。 幸い、バスも電車も5分程度の遅延で走っていましたので、ストレスなく帰宅できました。 でも多分、一晩中雪が降ったら、明日の公共交通は全滅でしょうねぇ。 タイミングが良かったとしか言いようがありません。 自宅で降りしきる雪を見る分には、幻想的で美しいものですが、出勤しなければならないとなると、地獄の様相を呈します。 首都圏は雪に慣れていませんからなおさらです。 幸い明日は土曜日。 しかも予報では、気温が高くて雨。 暖かい雨が降れば、雪など溶けてしまうでしょう。 あさっては晴れの予報ですから、今度はお陽様がとどめの一撃で雪を駆逐してくれるでしょう。 あさってはマンション管理組合の年に一度の総会。 その場で次ぎの理事が選任、(と言っても輪番ですが)、されるので、一年に及んだ理事職からも解放されます。 嬉しいですねぇ。 こうやって、季節は確実に春に向かっているのですねぇ。 嬉しいような、少し憂鬱なような。 何しろ私は春の瘴気が苦手。 春愁秋思とは、人の心を表して見事だと思います。 白楽天の「陵園妾」に見られる詩句です。白楽天詩選 (上...
文学

宇宙意志からの警告

1986年の今日、米国でスペース・シャトルのチャレンジャー号が打ち上げ間もなく爆発しました。 高校生だった私は、強い衝撃を覚えたことを鮮明に記憶しています。 その後、大江健三郎の「治療塔」を読んで、不快な思いをしました。治療塔 (講談社文庫)大江 健三郎講談社 なぜなら、この痛ましい事故を、宇宙意志からの警告と表現していたからです。 いくら嘘八百の小説とは言え、それはないでしょう。 いやむしろ、嘘八百だからこそ、真実があぶり出されるはずです。 真実は物語の中にしか存在しないというのが私の持論であることは、このブログで何度も述べてきたところです。 だからこそ、あってもなくてもいいような、嘘八百でしかない文学に、人は過剰なまでの高い価値を見出すのだと思います。 大江健三郎というのは奇妙な人で、国家から与えられるものは拒否するとか言って文化勲章を辞退したかと思ったら、スウェーデン国王が設立したノーベル財団からのノーベル文学賞は嬉々として貰っていましたね。 要するに外国なら良くて日本国だと駄目なんでしょうね。 天下の悪文家としても知られ、嘘か真か、英語で書いて日本語に訳してるんじゃないかと噂さ...
スポンサーリンク