文学

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死後59年後の恩赦

最近ロシアが同性愛者差別とも取れる同性愛宣伝禁止法が施行されて話題になっていますね。 しかしロシアに限らず、1960年代半ばくらいまで、キリスト教国では同性愛は法律で禁じられているのが普通でした。 生殖を目的としない性行為は神の意に反するということのようで、異性間でも肛姦は禁止だったようです。 さらに、一部キリスト教原理主義者は、生殖不能な自慰行為やオーラル・セックス、果ては避妊すら認めないというから驚きです。 時代錯誤も甚だしい。 それなら栄養過多の食事も犯罪でしょう。 美食家が多い日本など犯罪者天国ですな。 両性愛者だったフランスのサド侯爵は同性愛の罪で投獄され、フランス革命に拠ってようやく釈放されています。 しかも同性愛は通常死刑だったというから驚きです。 両刀使いがむしろ普通とされた戦国時代を歴史に刻むわが国では信じれない野蛮な法律です。 ランボーとの同性愛に溺れたフランスの詩人、ヴェルレーヌや、英国の作家、オスカー・ワイルドなども同性愛で逮捕されています。 ヴェルレーヌについては「太陽と月に背いて」、オスカー・ワイルドについてはずばり「オスカー・ワイルド」で描かれています。太...
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喫煙迫害

このたび中国政府が役人に対し、公共の場所での喫煙や勤務時間中の喫煙を禁じるお触れを出したそうですね。   中国の喫煙人口は3億人を超え、しかもマナーが悪いとかで、国際的なイメージを上げたいようです。 私はシガリロとかリトルシガーと呼ばれるタバコ大の葉巻を吸っています。 日頃吸うのはブラック・ストーン・バニラという銘柄で、甘い香りがして、癒されます。 また、私はよく、「喫煙者特有の匂いがしない」と言われるので、シガリロはタバコ臭くならないようです。       5年くらい前までは普通のタバコを吸っていたのですが、オランダ人の知り合いができて、そいつが旨そうにこいつを吸っていたため、1本もらったところ、病みつきになりました。 20本入りで1箱550円と若干高めですが、目の玉が飛び出るほどではありません。 で、勤務時間中でも、2時間につき5分くらい、席を外して喫煙所で缶コーヒーなど飲みながらシガリロをくゆらせ、一休みすることを習慣としています。 事務室内で喫煙が許されない以上、やむを得ませんし、そのことで注意されたこともありません。 もし中国のように勤務時間中の喫煙を禁じられたらきついですね...
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十になる子の酒の燗

今宵もまた、懲りもせずウィスキーのロックを傾けています。 こんなに毎夜酒を喰らっては体に毒だと思いながら、気が付くとグラスに琥珀色の液体を注いでいます。 できれば週に2日くらい空けたいのですがねぇ。 酒くさき 鼓うちけり けふの雪 やっぱり酒といえば冬。 勢い、酒と雪を同時に詠んだ句は座りがよろしいようで。 芭蕉の弟子、其角の句です。 ロシアなど寒い国では、酒の消費量も多いようですね。 逆に暑い風土のインド人はあまり飲まないとか。 また北極圏とかになっちゃうと酒を造ることがそもそもできないんだそうで、寒さをしのぐ最良の術が無いとは気の毒です。 酒と風土は切っても切り離せませんね。 アラブ人はかつては酒を飲んでいたようですが、イスラム教の普及により、飲まなくなったとか。 するとちょうどその端境期にあった呑んべえは、さぞかし苦しんだでしょうねぇ。 アル中一歩手前の私に、これから日本国民は全員イスラム教に改宗するから、今後一切酒を飲むなと言われたら、地獄の苦しみでしょうから。 初雪や 十になる子の 酒の燗 これも其角の句。 2人の娘に恵まれ、たいそう子煩悩だったと伝えられる俳人らしい、微笑ま...
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ピグミーの恋

45年以上も前、昭和42年に三島由紀夫はエッセイで、近頃はピグミーの恋が跋扈している、と嘆いています。 その意味するところは、障害を乗り越える強さも持たず、忍ぶ恋の焦燥や高潔をも知らず、むやみとくっついたり離れたりしてばかりいる、やれやれ、といったところかと想像します。 人は易きに流れがちですからねぇ。 また、かつて色恋沙汰は破廉恥とされ、親が決めた相手と結婚するのが普通だったため、親の意向に逆らって恋を貫こうとすれば、必ず障害を乗り越えなければならず、また恋は忍ぶものだったことでしょう。 高度経済成長真っ盛りの昭和40年代前半、にわかに恋愛を謳歌する若者が溢れかえり、それは当時の中年からみれば、破廉恥にも見え、安易にも見えたのでしょう。 でもそれは、中年文学者の美意識には抵触するにせよ、多くの若い男女にとって、楽しいことだったに相違ありません。 ピグミーの恋が薄っぺらく見えたとしても、本人たちは本気だったでしょうし、二人の恋が美的であるかどうかなんて、創作者では無い者にとって、どうでも良いことです。 今はさらに進んだかといえばそうでもなく、草食系だの絶食系だのが溢れかえり、ピグミーの...
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過ちて改めざる、是を過ちと謂う。 「論語」にある言葉です。 全くそのとおり、としか言いようがありません。論語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)谷口 広樹角川書店 このような易しい教えに満ちた「論語」こそ、道徳の教科化にあたって、その柱にすべき、大中華帝国の偉大な教えであろうと思います。 ついでに、現在のレッド・チャイナの人々も再び学びなおすべきでしょう。 人は自己の過ちを認めたがらないもの。 世に尊敬を集める人でも、ちょっとした過ちを隠そうとして、にっちもさっちもいかないものです。 現代社会では、過ちを犯した場合、それを素直に認め、改善策を講じれば、それほど責められることはないものです。 しかしえてして、過ちを糊塗しようとしてさらに嘘をつき、その嘘をさらに強化しようとしてまた嘘をつく、地獄のような循環に巻き込まれた時、組織であれ個人であれ、真なる破滅を迎えるものと思います。 夢野久作という、今では忘れ去られてしまったかのような感がある戦前の作家が、「少女地獄」と言う佳品を残しています。 誰からも好かれたいと願う若い看護婦が自殺するところから物語が始まり、残され...
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